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  • 卸売業、小売業
  • 300~999人
  • 人材育成
  • 処遇の改善
  • 正社員への転換 ~多様な正社員へ~
  • 正社員への転換 ~正社員へ~
  • 勤務地を限定した正社員

事例07 株式会社フレスタ

事例 07

株式会社フレスタ
「資格等級制度」「職務能力評価制度」を導入し、昇進・昇格基準並びに時給額を明確化。
正社員転換に当たっては、段階的な研修を実施。

業種 卸売業、小売業
本社所在地 広島県
正社員数
(2016年3月1日現在)
正社員:560名(男性444名、女性116名)
多様な正社員:33名(男性20名、女性13名)
非正規雇用労働者数
(2016年3月1日現在)
契約社員:20名(男性4名、女性16名)
パートタイマー:2,832名(男性356名、女性2,476名)
アルバイト:1,036名(男性471名、女性565名)
非正規雇用労働者の主な仕事内容 部門ごとに(食肉、水産、青果、惣菜、ドライグロッサリー、日配、レジ、デモキッチンの8部門)レジや品出し等に従事する
取組のポイント ■ パートタイマーの評価項目を明文化し、本人、チーフ、店長による評価を実施
■ 昇進・昇格の基準を明確化、上級職昇格に当たっては試験を実施
⇒自身に必要なスキルが明らかとなり、努力が時給に反映されるため、パートタイマーが主体的に仕事を行うように
■ 等級やレベルに応じた多様な研修を整備
⇒パートタイマーのスキルの向上のみならず、正社員として活躍することを見据えた育成が可能に
■ 正社員として働く意欲を重視して正社員転換を実施
⇒能力のみならず、意欲も高いパートタイマーを正社員として確保することが可能に

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同社は1887年に菓子・煙草の小売店として創業し、現在は広島県、岡山県、山口県に約60店舗のスーパーマーケットを展開している。創業時より「正直な商売」を重要視しながらも、顧客満足にこだわり「食」を中心に快適な「暮らし」の創造提案企業を目指すことを企業理念として掲げている。
 同社は2011年、厚生労働省のポジティブアクション推進企業の認定を受けている。取組の背景としては、正社員の女性割合が20%と低く、また女性正社員が3年後に離職する割合が5%、10年後に離職する割合が20%と高かったことが挙げられる。2020年までに女性の係長クラスを25名、課長クラスを5名輩出するという目標を掲げ、仕事とプライベートを両立させ、どのようなライフステージにおいても働き続けられる会社を目指している。

1.取組の内容

◆パートタイマーの強化を目指して、等級制度と評価制度を全面的に見直し

【パートタイマーの能力を育成し、正当に評価すべく、資格等級制度と職務能力評価制度を導入】

同社では以前からパートタイマー(※1) を対象に能力評価を実施していたが、評価項目や昇格の基準は曖昧であり、店長の裁量によるところが大きかった。そのため、パートタイマーとの面談やアンケート調査で「いくら働いても時給が上がらない」といった不満が出ており、特に勤続年数の長いパートタイマーの仕事に対する自主性、積極性が低下していた。
また、同社では2005年頃から、人口減少や生産年齢人口の減少の影響により、将来的に従業員の確保が難しくなるのではないかという危機感を持っていた。そこで、少ない従業員でも店舗を運営していくために、既に同社で働いているパートタイマーの更なる活用が求められていた。
以上の状況を踏まえ、パートタイマーの能力を最大限に発揮させるとともに、その能力を適切に評価するために、2005年頃から制度改革を検討しはじめ、2011年に「資格等級制度」、2012年に「職務能力評価制度」を導入した。導入に当たっては、従業員に対してヒアリングを行うとともに、導入後は制度概要を全従業員に説明するべく、エリアごとに説明会を開催した。
また、両制度の仕組みを「スマイル社員用ガイドブック」としてまとめ、社内のイントラネットに掲示しているとともに、印刷したものを各事業所に掲示し、全ての従業員がいつでも制度について確認できるようにしている。

(※1)契約期間は半年間。1日当たりの労働時間は4時間の者が大多数(1割程度は6時間勤務)。店舗の異動はあるが転居を伴うことはない。同社で実施している能力開発や正社員転換の対象は主に「パートタイマー」であるため、以降では「パートタイマー」についてのみ記載する。

【時給額と連動した資格等級制度を導入、入社後は本人の実力に応じた等級に格付】

新たに導入した資格等級制度では、2つのレベル(レベルⅠとレベルⅡ)と4つの資格等級(初級職、中級職、上級職、ベスト職)を設定しており、レベルⅠには初級職と中級職、レベルⅡには上級職が該当する。「レベルⅠ」は上司の指示の下で定型業務を中心に従事する者、「レベルⅡ」は部下に対して指示・支援ができる者と位置付けている。
同社に入社したパートタイマーは、一定期間「研修職」という位置付けでチーフの指導を受けながら基本的なスキルを身につける。入社月によって多少の違いはあるものの、入社後約1~2か月後にスキルの定着度合いについて評価を行い、評価の合計点数が60点未満であれば初級職、60点以上であれば中級職に正式に格付けする(評価項目の詳細は後述)。
各等級には10の号俸を設けており、号俸によって時給が決まっている。初級職と中級職の場合は、4号俸から5号俸、6号俸から7号俸、8号俸から9号俸に号俸が上がる際に5円ずつ、上級職の場合は1号俸上がると10円ずつ時給が上がる仕組みとなっている。パートリーダーは上級職のパートタイマーが務める場合が多いが、中級職のパートタイマーがパートリーダーを務めている場合は、パートリーダー手当を月額3,000円支給している。
更に、上級職の中でも、一定の昇格要件を満たしたパートタイマーは、「ベスト職」(※2) に昇格し、部門長として勤務することになる。ベスト職に適用している給与制度は、初級職~上級職とは異なり、日給月給制となっている。ベスト職の中にも10の号俸を設けており、号俸が上がると賃金も上がる仕組みになっている。全てのパートタイマーにベスト職を目指してほしいという想いから、給与水準は高く設定し、正社員とほぼ同じにしている。

(※2)契約期間が1年間の契約社員として扱っている。

【部門共通の評価項目と部門ごとの評価項目により、部門において必要なスキルを明確化】

同社では2012年より導入した職務能力評価制度に基づき、7月と3月に人事考課を行っている。この制度では、評価項目を「共通項目」と「選択項目」の2種類に分類している。共通項目は、一般的に社会人に必要なスキルについての12項目、選択項目は、担当する部門ごとに必要なスキルを35項目設定している。共通項目は全ての部門で共通であり、選択項目は8つの部門ごとに必要とされているスキルに応じて設定している。
評価時には、評価項目ごとの達成度をA・B・Cの3段階で自己評価したのちにチーフと店長が評価し、全項目の合計点数を100点満点として算出する。
評価項目は、紙媒体でもイントラネット上でも常時閲覧することが可能であるため、パートタイマーは自身に求められるスキルを把握して日々の業務に当たることができる。
評価結果は「OJTコミュニケーションシート」に記入され、イントラネットを通じて誰でも自身の評価結果を確認することが可能である。また、このシートを活用して、店長との面談時にフィードバックも行っている。

評価シート(青果部門、選択項目を抜粋)

【評価結果に基づき、昇給と賞与額を決定し、昇格試験の受験資格を付与】

パートタイマーの号俸は、7月と3月の評価結果により決定されている。号俸が上がる基準は各号俸により異なるが、「初級職10号俸」から「中級職1号俸」への昇格には60点以上、「中級職10号俸」から「上級職1号俸」への昇格には85点以上が必要とされている。また、「中級職10号俸」から「上級職1号俸」、「上級職10号俸」から「ベスト職1号俸」への昇格については、それぞれ2月に昇格試験を受ける必要があるため、7月の評価結果によって、昇格試験の受験資格を与えている。なお、評価結果は、6月と12月に支給する賞与額にも反映している。

【中級職から上級職、上級職からベスト職への昇格時に昇格試験を実施し、マネジメントに適した人材を選出】

「中級職10号俸」から「上級職1号俸」、「上級職10号俸」から「ベスト職1号俸」への昇格に当たっては、評価項目の合計点数に加えて、店長の推薦と昇格試験に合格することを条件としている。該当するパートタイマーがいた場合は、本社から店長に通知するとともに、昇格の候補として推薦するかどうかを確認する。店長からの推薦を得ると、人事担当者が該当のパートタイマーと面接を実施し、マネジメントに関する研修を受講させる。その後、研修の内容に関する試験を実施し、これらに合格することで「上級職1号俸」への昇格が認められる。試験の合格率は70%程度であり、毎年30名程度が「上級職1号俸」に昇格している。

◆パートタイマーのスキルアップを目的として多種多様な研修を実施

【パートタイマー全員が受講可能な集合研修とeラーニングを整備】

同社では、パートタイマーが店舗運営の中心的な戦力となっており、パートタイマーの育成は必要不可欠である。そのため同社ではパートタイマーの能力開発に力を入れており、集合研修やイントラネットを活用したeラーニングを受講することができる。これらの研修はパートタイマーも正社員と同様に受講することができる。
集合研修では、等級ごとに準備された研修(出勤扱い)と、自己啓発の位置付けとしての研修(公休扱い)がある。特に後者では、「コミュニケーション研修」や「プレゼンテーション研修」等の社会人全般に必要なスキルを身につける研修だけではなく、「食品表示研修」といったスーパーマーケットならではの研修を整備しており、パートタイマーの1割程度が参加している。
eラーニングでは、「計数(※3)」、「コミュニケーション」、「セルフ・ラインケア(※4)」、「食品表示」の4種類を準備している。eラーニングでは、店舗内に設置しているPCを利用して資料を読み込み、最後に10問程度のテストを受けることになっている。これらのeラーニングは、等級に関係なく、パートタイマー全員が勤務時間中に自由に受講することができる。

(※3)数値管理に必要な用語や数式について学ぶ講習である。
(※4)ストレスの影響やメンタルヘルスに関する学習、同僚や部下に対する関わり方やマネジメントについて学ぶ講習である。

【上級職への昇格を見据え、初級職・中級職向けの研修を強化】

とりわけ初級職のパートタイマーには、早い段階から上級職への昇格を見据えて、知識やスキルを蓄積してほしいと考えている。そのため2014年より、肉・魚・野菜・総菜部門において、勤務時間中の部門別研修を3か月に1度実施している。この研修の中には部門で求められる専門的な知識に関する研修のほかに、「上級職としての働き方」や「シフトの決め方」等の研修も整備し、パートタイマーが上級職への昇格を意識できるよう工夫している。また、上級職になると発注作業や書類を作成することが多くなり、PCスキルが要求される。しかし、パートタイマーの中にはPCに対して苦手意識を持っている者も多いため、イントラネットの活用方法や、発注端末の活用方法に関する研修も実施している。

研修・資格試験一覧

◆能力だけではなく、高い意欲を持ったパートタイマーの定着を図るため、正社員転換を実施

【転換後の正社員へのフォロー不足による離職率・退職率の上昇を受け、正社員転換制度を見直し】

優秀なパートタイマーには長く働いてもらいたいという思いから、同社では以前から、正社員として働いてほしいパートタイマーに対して、1日程度の説明と研修を行い、翌日から正社員として勤務してもらっていた。しかし、このような短期間での説明と研修だけでは、正社員として働くという自覚を十分に持つことができない場合も多かった。パートタイマーから正社員に転換した者の中には、転換以前のように定型的な作業のみを担当し、マネジメントの業務を避けるなど、同社が正社員に求める役割を担うことができないケースも多く生じた。このように、正社員に求める同社の意向と、正社員転換した者の意識との間でずれが生じ、休職者・退職者が続出するという事態に陥ってしまった。
これらの経験から、同社では正社員として働く意識をしっかりと身につけてもらえるような制度整備を検討するようになった。人事部の担当者がジョブ・カード制度(※5) の有期実習型訓練について詳しく知っていたため、2010年度より当該制度を利用した「有期実習型訓練」を採用し、正社員転換制度を改定した。現在は社内での研修制度を確立することができたため、ジョブ・カード制度は利用しなくなったが、正社員転換の仕組みは基本的には変わっていない。

(※5)正社員経験が少ない方等が正社員になることを目指して、キャリア・コンサルティングを通じ、企業学習と座学を組み合わせた、厚労省が実施している職業訓練プログラムである。

【試験や面接を実施し、能力と意欲の両面から正社員転換者を選抜】

正社員転換の候補者となる条件は、①勤続年数が2年以上であること、②「レベルⅠ」の総合点が70点以上(目安)であること(すなわち中級職以上であるということ)、③店長の推薦があること、の3点である。上記の条件を全て満たしたパートタイマーに対して、毎年9月に正社員転換試験を実施している。受験の際の年齢制限は特に設けていない。
正社員転換試験では、能力検査、適性検査、簡単な計算問題に加えて、本社人事担当者との面接を実施している。また、接遇マナーや「報連相が十分にできるか」など、基本的な社会人としてのスキルに関する項目を45項目設定し、勤務時の評価を行う。これらの試験結果を点数化し、候補者の順位付けを行った上で、転換計画に沿う人数に合格を出すこととなる。合格すると、翌年度の4月より大卒の新入社員と同等の等級に格付けされ、正式に正社員への転換が認められる。
現在は毎年6~7名程度が正社員転換試験にチャレンジし、2~3名(※6) が合格している。正社員として十分なスキルを持っていても、正社員としてどのように仕事に貢献していきたいのかという思いが伝わらないと、不合格にする場合もある。同社では、お客さまの満足や感動のために何ができるかを考え、行動できる従業員になってほしいと考えている。そのため、パートタイマーが自分自身のキャリアアップだけでなく、チームや組織の一員としてどのように成長し、お客さまにどのようなサービスや商品を提供したいと考えているかを重視している。

(※6)男女比は1:2程度であり、平均30歳程度である。

【内定期間6か月と転換後2か月の8か月間に441時間の実習型訓練を実施】

9月に正社員転換が決定してから正社員に転換する4月までの半年間で、内定者は約265時間、店舗での実習形式の研修を受ける。更に、転換後の2か月間は、1週間のうち2日間は学科研修、残りは実技研修を受講する。これらの研修は合計で441時間に上る。かつては正社員として働く上で必要な意識を十分に身につけさせることができなかったという過去の反省から、このような長時間の研修を設定し、十分な教育を行っている。研修には、コミュニケーション能力の向上を目指した接遇研修やリーダーシップ論研修、マーケティング研修、ロジカルシンキング研修等が含まれており、本社人事担当者や店長が講師を担当する場合もある。

正社員転換内定期間及び正社員転換後の研修時間

研修時期 概要 時間
内定期間(6か月) 店舗実習 2.5時間×106日=265時間
入社後(2か月) Off-JT(学科) 8時間×8日=64時間
Off-JT(実技) 8時間×14日=112時間

また、内定者は日誌を作成し、毎月1回、1か月間のまとめと翌月の目標を提出する必要がある。目標設定時には、現時点のスキルを確認した上で、翌月身につけるべきスキルを決定する。例えば、鯵1ケース(20匹程度)を捌くのに45分程度かかっている場合、パートタイマーの一般的なスピードとしては鯵1ケースを20分程度で捌かなくてはいけないため、「鯵の三枚おろしの効率的な調理方法を学ぶ。1ケース30分で捌く」といった目標を設定している。
日誌は店長が内容を確認し、次の課題を与えるなどのフィードバックを行う。また、研修は同じ4月に入社予定の大卒の内定者(20名程度)と共に受講する(※7) 。これは、「同じ正社員」として改めて認識してもらうこと、仕事上で協力できる関係性を構築してもらうことを企図したものである。

更に内定者は、OJTとして各部門のチーフが指導者となり、定型業務と部門運営のためのマネジメント業務の双方を学ぶ。このように、充実した研修制度を整備することで、正社員として必要なスキルを身につけることに加えて、正社員として働くための意識が醸成されるよう、工夫している。

(※7)大卒の内定者は、研修の参加は任意となっている(参加した際には交通費を支給している)。

2.効果と課題、今後の運用方針

◆透明性の高い資格等級制度、職務能力評価制度を整備することで、パートタイマーが主体的に仕事を行う

資格等級制度、職務能力評価制度導入後は、客観的な指標に基づいてパートタイマー一人ひとりの能力やスキルに応じた公正な時給を設定することができるようになったため、パートタイマーから時給に対する不満の声は上がらなくなった。頑張れば頑張った分だけ、その結果が処遇に反映されると、仕事に対する意識の持ち方が変わるようである。以前は、与えられた仕事をただこなすだけでも就業時間まで勤務すれば良いと考えているかのような面もあったが、現在は目標を達成するために、主体的に仕事を行うようになっていると感じる。
制度導入前は「時給を上げるためにはどうすれば良いか」という質問が多かったが、導入後は「自分には○○というスキルが足りないため、身につけたいのだが、どの研修を受ければ良いか」という、より具体的な相談を受けることが増えた。

このようにパートタイマー自身が求められているスキルや役割をより明確に認識することができるようになったため、目標達成のために積極的に仕事に取り組む者が増えた。結果として、店舗全体の業務の効率化につながっている。

◆試験や面接等の正社員転換試験を実施することで、能力だけではなく、意欲の高い正社員の確保が可能に

意欲や能力が高いパートタイマーを正社員として雇用することで人材の確保につながっている。特に最近は景気回復の影響もあり、スーパーマーケット同士で人材確保競争が激しいため、人材の採用が年々困難になっている。そのような状況で人材を確保できるということは企業の経営の面でも非常に重要である。実際に、資格等級制度と職務能力評価制度の導入後、同社の経常利益は約1%程度改善されている。
また、正社員転換試験時に実施する面接では、「正社員として会社にどのように貢献していきたいのか」という点を重視して聞いているため、正社員となった後も高い意欲を持ち、活躍している者も多い。制度の導入以前よりも、パートタイマーが店舗経営に対して積極的に意見を出すようになったと実感している。研修への参加者数、資格受験者数についても3年前と比較して、約1割増加した。

◆パートタイマーに対して正社員として働く意欲をどのように醸成していくかが課題

正社員への転換試験の受験者の中には、能力はあっても、働く上での意欲が十分ではない者も見受けられる。面接では「正社員になってから何をしたいか」ということについて問いかけるようにしているが、その問いに十分に答えられず、積極性が足りないという理由で不合格になるパートタイマーも多い。同社としては、転換試験受験者は全員合格させたいため、パートタイマーにいかに正社員として働くイメージを持ってもらえるかが課題である。
このような状況を打開すべく、現在同社では、パートタイマーの意識改善のために、事業所ごとにプロジェクトチームを立ち上げ、独自の取組を行っている。笑顔での接客を目指すチームや、余暇の時間の確保を掲げるチーム等、その取組は様々である。

◆充実したPC環境の整備により、eラーニングの受講者増を目指す

様々な研修を整備しているものの、実際のところはパートタイマーによって研修の受講状況にはばらつきがある。特に、店舗のPCで実施しているeラーニングは、店舗に設置しているPCの数が限られていることもあり、受講者が少ない。今後はPC環境の整備等を実施することで、よりパートタイマーが研修を受講しやすい環境を整えていきたい。

◆他社との人材確保競争に勝ち抜くため、店舗限定正社員や職務限定正社員の導入、パートタイマーの働き方の見直しを検討

同社が店舗を多く展開している広島県では、これまでのパートタイマーの応募状況や働き方の希望を聞いていると、経済的に余裕のある家庭が多く、フルタイムで働きたいと考えている主婦は多くはないように思われる。また、サービス業界や販売業界においては既に労働力の取り合いがはじまっているため、従業員のニーズに合った働き方を導入することは喫緊の課題である。更に、労働契約法の改正を受けて、パートタイマーの契約期間を無期化した後の処遇について検討する必要性も生じている。
これらの状況から、現在同社では、店舗限定の正社員や職務限定の正社員の導入を考えている。現在はまだ検討段階ではあるが、早ければ2016年4月に新制度の運用を開始したいと考えている。また、パートタイマーで青果部門から鮮魚部門等、部門を横断して業務を遂行できるような制度も取り入れていきたいと考えている。

3.活躍する従業員の声

横川店 ドライ部門チーフ
I氏

年代 30代 性別 男性
勤続年数 11年
キャリアアップの過程 大学在学中のアルバイトをきっかけに卒業後パート勤務を経て2009年正社員へ。

◆公務員志望であったが現店長に声をかけられ正社員に

もともと大学在学中に現在の店舗とは別の店舗でアルバイトとして勤務していたが、当時は就職先を見つけることが難しく、卒業後は公務員試験の勉強を続けながらパートタイマーとして勤務していた。大学卒業後1年が経つ頃に、当時自分をアルバイトとして雇ってくれた店長から、「正社員になっても公務員の勉強はできるのだから、正社員になったらどうか」という誘いを受けた。パートタイマーとして勤務するより待遇が良く、勉強との両立もできると考え、正社員になることを決意した。当時は、正社員転換時に、スーパーマーケット検定ベーシック1級を保有していること、能力検査、適性検査、簡単な計算問題の正社員転換試験に合格すること、面接に合格することが条件であった。
正社員転換後は6時間勤務であり、公務員試験の試験日や試験が近い日は勤務時間の調整を行うなど、柔軟に対応してもらっていたが、正社員として仕事を経験するうちに魅力を感じ、同社で正社員として働き続けることにした。

◆時に困難だがやりがいを感じる正社員業務

現在は、売り場作りやパートタイマーのとりまとめ、数字面での売上管理等を担当している。
店舗では必要に応じてパートタイマーも交えてミーティングを行う。その際にはパートタイマーからも多くの意見が出されるため、それらをとりまとめている。パートタイマーは自分より年齢層が高い場合が多いので、意見をすり合わせることの難しさを実感している。
また、正社員になったことで、店舗の売上に対する責任が生じるようになった。そのため、一定の売上を達成しなければいけないという、パートタイマーとして勤務していた時には感じたことのないプレッシャーを感じている。
だが、プレッシャーを感じる一方で、売上目標を達成することには大きなやりがいを感じている。パートタイマーの方々をまとめるなどの責任ある職務も加わり、店舗運営により多く関わることができ、正社員として働く面白さを感じている。
現店舗の店長は、人としての情に厚く、仕事ぶりはもちろんのこと、パートタイマーやアルバイトの相談に親身になってくれる理想の上司である。自分は入社時からその店長を目標として仕事をしてきた。これからもその目標は変わらず、新入社員の手本となるような社員になりたいと思っている。

◆会社には若手の活用を促進してほしい

現在は、ベテランのパートタイマーが中心となって業務を遂行しており、若手のパートタイマーはベテランの指示の下で仕事をしていることが多いように感じている。ベテランのパートタイマーだけではなく、若手のパートタイマーも活躍できるような仕組みを考えていくことで、早い段階から自分の強みを把握し、キャリアアップにつなげられる。今後も、職務能力評価を公平に実施することで、勤続年数等に影響されることなく、優秀な従業員が活躍できると思う。

室の木店 ドライ部門
チーフ N氏

年代 30代 性別 男性
勤続年数 6年
キャリアアップの過程 別の小売業での勤務経験があり、中途採用試験を受け半年間アルバイト後に正社員転換。

◆3年の小売経験ののちアルバイトとして入社、半年後に正社員転換

入社前は、小売業の会社で正社員として3年間、広告代理店で契約社員として3か月間勤務していた。小売業での経験を生かし、将来的にはバイヤーとして活躍したいと思い、転職を決意した。2009年10月にアルバイトとして同社に入社し、半年経過後に正社員として正式に採用され現在に至っている。
正社員転換時にはスーパーマーケット検定ベーシック1級を保有していること、能力検査、適性検査、簡単な計算問題の正社員転換試験に合格すること、面接に合格することが条件であった。アルバイト勤務時は一般加工食品・菓子・日用雑貨を扱うドライ部門にて勤務していたが、その後ベーカリー部門に異動し商品出しやレジ業務も担当した。

◆人に指示する立場として、パートタイマーの気持ちを尊重するよう留意

現在はドライ部門のチーフとしてパートタイマーの勤務シフトや店舗の売上を管理している。また、1か月に1度、店舗のチーフを集めた会議や店長・マネージャーとの打合せを通して、店舗の戦略を立てている。
アルバイトとして勤務していた際には、先輩や正社員から指示を受け、そのとおりに作業をこなすという立場であった。しかし正社員になってからは、自分が他の従業員に指示を出すようになり、計画どおりに作業をしてもらう必要が出てきた。そのため、今まで以上に責任を感じている。指示をする際には、ただ自分の思いを押し付けるのではなく、パートタイマーの気持ちや考えを尊重することで、仕事に対するやりがいを持ってもらうように留意している。

◆憧れの商品バイヤーを大きな目標に

入社直後は、中途採用者が新卒採用の正社員と同様に活躍できるか不安を感じたこともあったが、同社では中途採用者も新卒採用者も関係なく、頑張れば公平に評価してもらえて、ステップアップすることが可能であるため、今後も同社で仕事を続けていきたいと思う。将来的には自分の目で商品を選ぶバイヤーを目指しており、年に1度の面談等で希望を出している。昨年は1年間、店舗で作業を行いながらバイヤーの業務も体験し、自分が選んだ商品をお客さまが手にとってくれることにやりがいを感じた。将来はバイヤーとして、店舗の売上に貢献したいと考えている。