事例紹介

ホーム 事例紹介 事例12 株式会社細山田商事

  • 不動産業、物品賃貸業
  • 生活関連サービス業、娯楽業
  • 100~299人
  • 人材育成
  • 処遇の改善
  • 正社員への転換 ~正社員へ~
  • 勤務時間を限定した正社員
  • キャリアアップ助成金

事例12 株式会社細山田商事

事例 12

株式会社細山田商事
非正社員を育成し正社員に転換することで、優秀な人材の確保と定着率向上を実現し、企業の競争力を強化。

業種 生活関連サービス業、娯楽業、不動産業、物品賃貸業
本社所在地 鹿児島県
正社員数
(平成27年11月1日現在)
正社員:134名(男性85名、女性49名)
非正規雇用労働者数
(平成27年11月1日現在)
アルバイト(※1)・パート(※2):106名(男性57名、女性49名)
非正規雇用労働者の主な仕事内容 遊技場ホールのフロアやカウンターにおける接客業務
取組のポイント ■ アルバイトをOJTと研修で育成し、正社員に転換
⇒優秀な人材の確保と定着率向上に寄与
■ 年1回の上司評価と、年4回の相互評価制度を実施
⇒アルバイトの接客スキルの向上を目指そうとする意欲が高まり、正社員に転換する社員が増加

(※1)ホール及びカウンタースタッフ業務に携わる。入社してすぐに2か月間の契約をし、その後6か月又は1年ごとに契約を更新する有期雇用。時給制。賞与なし、報奨金あり。異動なし。夜勤あり。
(※2) 無期雇用だが、短時間勤務の社員。事務職やPOP加工等デザイン企画部に従事する。時給制。賞与なし、報奨金あり。異動なし。

PDFデータ

Get ADOBE READER

PDFファイルを見るためには、Adobe Readerというソフトが必要です。
Adobe Readerは無料で配布されていますので、左記のアイコンをクリックしてダウンロードしてください。

昭和50年1月に創業し、不動産事業をはじめ、遊技場経営を含むレジャー事業、LED屋外看板事業、ゴルフ会員権事業等、鹿児島県内を中心に九州各地で多角的に事業を展開している。同社のレジャー事業部では5店舗の遊技場を運営しており、アルバイトとパートを雇用している。
企業の競争力を強化するには人材の育成と定着が必須と考え、教員経験のある社会保険労務士を人事部門に採用した。これにより内部研修を拡充し、評価制度や正社員転換制度の一層の整備を進めている。

1.取組の内容

◆アルバイトには、入社教育のほか、各種研修とマンツーマンのOJTで接客スキル、業務知識を学ばせる

【3日間の入社教育後、2か月間のマンツーマンのOJTで各種指導を実施】

若手が多い職場(20~30代)であることから、接客の基本である礼儀や言葉遣いについて教育を行い、その上で事業の基盤となる「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(以下、「風適法」という。)や遊技機の知識についても学ばせている。
入社したアルバイトに対しては、個別に指導担当の正社員を任命する。本社で3日間の入社教育を実施し、その後は2か月間、指導担当の正社員が同じシフトに入り、終日付き添って勤務し、清掃から接客まで全ての業務についてマンツーマンでOJT指導に当たる。毎日、業務終了後にはミーティングを行い、その日の接客内容を共に振り返る。
パートに対しては、入社2か月後にフォロー研修を実施し、業務面で不安がないかフォローを行っている。
なお、アルバイト・パートをマネジメントする立場の初級管理職には「副主任研修」、多くの社員を率いる上級管理職には「幹部研修」を実施し、部下への接し方や営業のスキル等を学ばせている。

【「接客会議」、「他店舗見学」、「接客マイスター制度」で接客スキルを磨かせる】

アルバイトに対して、3日間の入社研修のほかにも、交替制で月に1回程度、他店舗の仕事を見学させる研修を行い、また交替制で「接客会議」を本社で実施し、接客のスキルを磨かせている。「接客会議」ではアルバイトを含めた接客業務に従事する社員を集め、接客に関する問題や対処等のスキルについて情報交換を行う。出席者はそれぞれの店舗にそれらの知識を持ち帰り、他の社員にも共有することで、店舗全体の接客スキルをより高いものにしている。
また、接客内容やレベルが客観的に常に一定水準となるよう、「接客マイスター制度」((社)サービスカスタマー協会が考案した遊技場スタッフの接客スキル向上のための制度)を導入し、外部講師による研修等にも力を入れている。接客を担当する正社員やアルバイトは、順次、この研修を受講する。このほかにも、正社員、アルバイトを対象に、各種の法令等(風適法、労働災害、社会保険)に関わる研修等を定期的に実施しており、店舗管理者(店長、副店長)に対しては、労働基準法の研修も行っている。

◆正社員とアルバイト・パートを対象に、年1回の上司による人事評価に加えて、多面的な「相互評価制度」を年4回実施

同社では、正社員とアルバイト・パートを対象に、上司による年1回の一般的な業務遂行能力や勤務姿勢、協調性等についての人事評価を行っている。これに加えて、正社員とアルバイトについては、自己評価とともに雇用形態に関わらず社員がお互いを評価し合って多面的に評価する「相互評価制度」を導入し、年4回評価を行っている。「相互評価制度」を導入している理由は、評価者の主観や、被評価者との人間関係に基づく要素が評価を左右することなく、より公平な結果を得るためである。
「相互評価制度」は、業務成績シートと意欲シートを用いて行うもので、接客だけでなく、職場仲間への態度や、遵法意識等を問う設問を含む。結果には、個人の勤務状況や仕事への意欲だけではなく、職場の雰囲気や人間関係も現れる。職場仲間への遠慮や、上司からのプレッシャーを避け、職場に悪影響を及ぼさないために、誰が誰の評価をしているかわからないように配慮している。
なお、評価の結果は、正社員の場合は賞与に反映し、アルバイトの場合は、正社員転換に推薦する際の基準となる。評価のフィードバックも行っており、アルバイト及び正社員である一般社員、副主任、主任補佐に対しては店舗管理者が、主任以上に対しては役員が評価結果を伝えている。評価を受ける回数が多いことにより、緊張感と向上心を持って勤務する機会が増え、結果的に、全体的なレベルアップにもつながっている。

◆アルバイトを教育し、優秀な人材を正社員に転換することでサービスの質を向上

【人事評価をもとに正社員転換試験を年4回実施し、アルバイトを正社員転換させる】

アルバイトから正社員への転換試験を年4回実施しており、転換するには以下の4つの段階を踏む。

  1. 上司からの評価と相互評価、双方を含む人事評価結果をもとに、店長と役職者が話し合い、正社員転換候補者を選定する。
  2. 店長又は主任が面接で本人の希望を確かめ、正社員転換試験に推薦する。また、早番遅番の両シフトの対応も可能か確認する。
  3. 役員が正社員転換試験を受験させるかどうか、決裁を行う。
  4. 役員の決裁後、正社員転換試験を受験し、合格後、正社員となる。

正社員転換試験は全て筆記で、計算問題、法律問題、接客の事例問題を出題し、全科目で7割以上正解できた場合にのみ合格させている。受験者の9割が合格しており、勉強不足等で不合格になった場合にも、次回の試験での合格を目指すよう促している。
正社員への転換制度については、採用時に周知するほか、各店舗に常備する就業規則に記載し、研修や人事評価等に際しても周知するようにしている。
また、正社員転換試験を受験することになったアルバイトは、約1か月間の試験準備期間に、接客マニュアルの見直し、過去問題、風適法を読み込むなどの勉強をするが、その際も職場の上司や先輩達が試験対策をアドバイスしている。
同社は、平成26年のキャリアアップ助成金申請前より、年間数名程度ではあるが正社員転換を実施していた。平成25年から正社員転換制度の整備を進め、平成26年度の助成金申請後は一層の正社員転換を推進すべく転換試験の実施回数を6回に増やし、結果的には従来の3倍以上の27名(およそ男性7割、女性3割)が正社員に転換した。

【正社員転換後は社員教育や精算業務を担い、昇級も可能に】

正社員になると人事異動の対象となり、年に2回業績に応じて賞与を支給する。また各種手当も支給しており、マンツーマンの新人教育を担当する際等にも手当を支給している。
正社員転換後は、副主任、主任補佐、主任、店舗管理者(店長・副店長)と段階的に昇級することが可能になる。昇級するにしたがって、社員やアルバイトの教育に携わるようになり、金銭管理を含め、より重要な任務を担うようになる。主任補佐以上では夜勤も増え、特に主任以上は夜勤の回数が多くなって生活のスタイルが変化することから、事前の意思確認を実施している。なお、同社のキャリアプランでは、正社員転換から3年で主任になれるよう、社内外の研修に参加させたり、毎月上長が成長度合いを測る面談を実施する人材育成体制を組んでいる。
また同社では、平成27年5月には遊技部の事業戦略を企画する「事業戦略室」を新設し、現場から若手社員を登用している。全店舗から42名を選び、一次選考を実施し、8名を二次選考に進めた。最終的には3名ほどを選抜する予定であるが、店長・副店長クラスだけでなく正社員転換したばかりの優秀な若手社員も抜擢するなど、社員の更なる事業参画も推進している。

各雇用区分の関係

◆売上や収益への意識向上を図るため、報奨金制度を導入

売上や収益に対する意識を高めるために、平成25年度からアルバイト・パートを含む全社員を対象とした「大入り袋」と呼ばれる報奨金制度を導入した。
店内を遊技機のレートごとにグループ分けし、1か月間の売上高や集客数が多かったグループに対して報奨金を支給している。金額は内容に応じて変動するが、最高2万円となっており、これによってアルバイト・パートの仕事に対する意欲が上がり、接客の質も向上し、お客様からのクレームの数は制度導入以前に比べ半減していることから、顧客満足度が高まり、集客効果も高まったと感じている。

◆社会人野球チームの監督・選手等を勤務時間限定(優遇)正社員として雇用

同社では、地域に貢献する企業として社会人野球チーム「鹿児島ドリームウェーブ」を支援しており、監督と選手数名を勤務時間限定(優遇)正社員として雇用している。夕方からは野球の練習があるため、9時から17時というシフトになるよう勤務時間を優遇している。
そのほかにも、小さい子どもがいたり、子どもが多く育児に手が掛かるなど、特別な事情がある正社員のために、早番のみの勤務時間限定や短時間勤務を個別の事情を考慮して認めている。

2.効果と課題、今後の運用方針

◆優秀な人材を育成し、定着させることで、企業の競争力を強化させる

【正社員転換制度によりアルバイトが将来をイメージしやすくなり、職場への定着率向上を実現】

正社員転換者の増加に伴い、スキルを高めれば正社員になれるという認識が浸透しはじめ、転換試験の受験を目指して、遊技機や法律に関する知識、接客スキルを高めようとするアルバイトが増えてきた。
また、正社員転換制度によって、アルバイトは、自身の将来像や人生プランを描くことが可能となった。結婚や出産等のライフイベントがあっても転職することなく、正社員への転換を選択でき、その結果、優秀で意欲のある人材が着実に定着してきている。

【今後も人材の成長を、収益増加や企業の成長につなげたい】

能力の高い社員が増えると、接客力や営業力の引上げとなり、企業としても競争力の強化となる。アルバイト等の教育にはコストがかかるものの、優秀で意欲のある正社員を増やすことは、長期的には収益増加につながり、企業としての成長をもたらすと考えている。
今後は、仕事以外の時間を自己成長のために使うような、自己啓発力を持った人材を育成していきたいと考えている。資格取得支援のサポート体制をつくるなど、人事制度を一層整備していく。

3.活躍する従業員の声

ホール係
副主任 堂下慎氏

年代 30代 性別 男性
勤続年数 3年6か月
キャリアアップの過程 アルバイトとして入社。先輩社員に学びながらホールで接客業務の経験を積み、正社員に転換。意欲的な勤務態度が評価されている。

◆アルバイトから正社員転換を経て副主任へ昇格

【先輩社員から仕事を学びつつ、刺激を受けて正社員を目指すように】

平成24年3月にアルバイトとして入社し、ホール業務に就いた。3日間の入社研修の後、ホール業務の現場で先輩の正社員によるOJT指導とサポートを受けながら、遊技機の種類や特性を学ぶとともに接客スキルを磨いていった。
入社当初は正社員になることは希望しておらず、研修で説明を受けたものの関心がなかった。しかしながら、日々の業務を通じて正社員の先輩の接客を見たり、指導担当の社員から自身が正社員に転換した経験を聞いたりするうちに、自分もお客様を満足させるような接客がしたいと思い、正社員を目指すようになった。

【入社1年後に正社員転換試験を受験。正社員転換後、副主任に昇格】

半年の契約を2回更新した平成25年7月に上司から声をかけられ、正社員転換試験の受験を決めた。その後は約1か月の試験勉強を経て、平成25年9月に転換となった。
正社員になると、接客だけでなくホール内の設備管理や、アルバイトの育成・教育も任され、責任を感じる業務が増えつつある。
転換の3か月後に副主任に昇格し、現在は4名のアルバイトを含む10名の部下を指導・管理しながら、主任補佐や主任の仕事を学んでいる。

◆正社員転換を目指す後輩の手本となり、将来的には店長になることを目指す

来店して頂いた全てのお客様に「楽しかった。ありがとう。」と気持ち良く帰宅してもらえる店舗を目指し、先輩社員の接客や社内研修会でのアドバイスを参考に努力している。
将来的には、店長になることを目指し、真剣に日々の業務に取り組んでいる。これからは、先輩や上司がサポートしてくれたように後輩を指導し、正社員転換を目指す後輩の手本となっていきたい。