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事例22 学校法人沼ノ端学園

事例 22

学校法人沼ノ端学園
非正規雇用の人材を育成して正職員へ転換するほか、短時間正職員制度を導入して多様な働き方を実現。

業種 教育、学習支援業
本社所在地 北海道
正社員数
(平成28年8月1日現在)
フルタイム正職員:30名(男性3名、女性27名)
短時間正職員:3名(女性2名、男性1名)
非正規雇用労働者数
(平成28年8月1日現在)
契約職員(※1) : 9名(男性5名、女性4名)
パート職員(※2) : 36名(男性3名、女性33名)
非正規雇用労働者の主な仕事内容 保育士、幼稚園教諭(学年補助)、養護教諭、ドライバー、用務、清掃
取組のポイント ■非正規職員に現場経験を積ませて正職員に転換
⇒実践を通して育成し、優秀な人材を確保
■短時間正職員制度を導入
⇒多様な働き方が可能に

(※1)契約期間1年間。7:45~15:45のフルタイム勤務。時給制。賞与なし。
(※2)契約期間1年間。短時間勤務で、幼稚園における学年補助は8:30~14:00、預かり保育は幼稚園で過ごす前後7:00~17:30。時給制。賞与なし。

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平成2年に、苫小牧市に幼稚園を創業して以来、26年間にわたり幼児教育や保育等教育分野で、地域とともに発展してきた。地域経済の発展とともに事業を 拡大し、現在は2つの幼稚園と預かり保育、未就園児の保育施設及び認可外の保育園を運営しており、両園合わせて約800名の園児を預かっている。
平成29年4月には、幼保連携型認定こども園(定員110名)と小規模保育事業所(定員19名)を開設予定である。
正職員と契約職員・パート職員を合わせて、新卒を年間3名程度、経験者を年間5~6名程度中途採用しているが、その多くは育児が一段落した有資格の経験者で、契約職員・パート職員として採用しており、また、障害児の受け入れも 行っているため、養護教諭や看護師の有資格者についても採用を行っている。
これまでのところ、必要な人員は確保できているが、新卒については優秀な人材の確保が難しくなってきていることや、幼稚園教諭については、採用後に即戦力として活躍できる者ばかりではないことからも、正職員の内部登用の必要性を感じているところ。

1.取組の内容

◆現場で経験を積んだ非正規職員の正職員転換を進め、責任範囲を拡大

【優秀な人材確保のために、正職員転換を制度化】

従来から、職務に関わらず契約職員・パート職員を正職員に転換してきたが、優秀な職員が長く働きやすい環境を整え、離職防止と人材定着を企図し、平成27年度に正職員転換制度を導入した。
正職員転換制度については、年2回の面接を通じて説明するほか、採用時にも説明することとしており、優秀な職員に対しては、早めに正職員転換について打診することも心がけている。

【1年以上の勤務経験と複数の要件を満たせば、正職員転換が可能】

正職員への転換試験を年1回実施している。
応募要件は、①同法人での勤務経験1年以上、②上長(施設長等)推薦、③フルタイム正職員又は短時間正職員としての勤務が可能、④同法人が運営する施設へ異動可能、の4つである。
毎年11月に本人が上長経由で申請し、12月に園長及び事務長との面接を行い、合否を決める。応募に当たって現場の実績に応じた上長の推薦を要件としているため、これまでのところ不合格者はいない。
2015年4月付けでは、事務職員、未就園児保育の責任者、預かり保育・学年補助担当者3名が正職員に転換し、未就園児保育の責任者については、業務上の責任が大きい役職であるため、パート職員のまま継続勤務させることは適切ではないと判断し、正職員に転換させることにより業務上の責任とのバランスを取った。また、転換した幼稚園教諭は、補助的な役割からクラス担任となり、新年度からは、より責任の大きい業務に就いている。
なお、正職員に転換すると、賃金が時給制から月給制になり、賞与も月給の4.2か月分+62,000円を3回に分けて支給する。

◆短時間正職員制度や子どもの預かり制度により、働き続けやすい職場をつくる

【短時間正職員制度を導入することで、離職者低減を目指す】

正職員・非正規職員問わず、結婚に伴う転居や介護等を理由に、毎年10名程度が離職している。そこで、柔軟な勤務体系を用意することにより、ライフステージの変化に伴う職員の離職を低減させることを企図して、平成27年4月に短時間正職員制度を導入した。
フルタイムの正職員は1日8時間勤務であるのに対し、短時間正職員は、始まりと終わりの30分ずつを短縮し(朝又は夕方1時間の短縮も可能)、7時間勤務とした。月給額は、フルタイム勤務の給与額に7/8を掛けて算出している。

【雇用形態を問わず、職員の子どもを預かる制度】

正職員が育児休業から復職する際や、正職員が退職後に契約職員又はパート職員として復帰する場合、同法人の施設に子どもを預けることができる。これは、職場復帰に子どもの預け先の確保は大きな問題であるため、職員からは自身の勤めている施設に預けることができるので、安心して仕事に取り組むことができる魅力のある制度だと受け入れられており、今後も雇用形態に関わらず多くの職員が活用すると予想している。

◆面接やキャリアプランの提示により業務への意欲を喚起

【年2回の面接を実施して、日頃の働きを振り返る】

雇用形態に関わらず、年2回園長と副園長とが面接を実施している。評価表は用いず、面接で日頃の働きを振り返り、良い点と改善点を伝えている。
幼稚園教諭や保育士の業務範囲は多岐にわたり、成果を数値化することが難しいため評価表は設けていないが、日頃の働きと面接の結果から適切な部署に配置している。

【キャリアプランの提示で職員の積極的な業務姿勢を喚起】

評価表等は設けていないものの、キャリアプランを示して職員に将来的な働き方を提示して、業務に対する積極性を喚起するための仕組みとしている。例えば、能力を身につけて正職員転換して責任範囲を広げていく中で、どのような役職や役割を担ってもらいたいかを示している。

◆全体の研修で認識の共有を図るとともに、個別の資格取得も積極的に支援

【毎週水曜日は研修時間として、各種研修を実施】

幼稚園が半日保育となる水曜日の午後を研修時間と設定し、契約職員・パート職員にも、業務扱いで私立幼稚園協会等、内外の研修に参加させている。このほかにも年2回、園長がテーマを決めて園内研修を実施しており、雇用形態に関わらず全職員が参加しているが、最近の実績としては、外部講師を招き、危機管理の勉強会を実施した。
また新卒採用者と正職員転換者は、夏休み中の3~5日を利用して、私立幼稚園協会主催の初任者研修に参加させている。

【子どもたちの安全のための研修に全職員が参加】

子どもたちの安全を守るため、救命研修に力を入れている。年1回、消防署や警備会社から講師を招き、心臓マッサージやAEDの使い方等に関する救急救命の講義を実施している。このほか、雷や自然災害に関する理解を深める機会も設け、送迎ドライバーを含めた全職員を参加させている。
またドライバーには、園周辺の除雪を行えるように自動車学校主催の外部研修を受講させ、作業免許を取得させた。

【業務範囲拡大、キャリアアップのため資格取得をサポート】

近年は幼稚園教諭と保育士の両方の免許を取得して入職する者が多いが、ベテランの契約職員・パート職員は両方の資格を有する者は多くない。そこで、幼稚園教諭の有資格者が保育士の免許を取った際は、法人が資格取得を助成した。今後は人材の育成に関わる公的な補助金の活用などにより、職員の更なるキャリアアップに繋げていきたいと考えている。

◆賃金水準の引き上げへの取組

業界として幼児期の教育・保育を担う人材の賃金水準が低いという長年の課題を抱えているが、現在は初任給の見直しを進めるとともに、徐々に賃金を引き上げる待遇改善計画を検討しており、既に全パート職員について時給を30~100円上げるなど処遇改善の取組を行っている。また、職員が病気などにより長期休業を余儀なくされた際に、クラス担任を代行した場合など、急な任命に快く応じた職員には、雇用形態に関わらず「特別手当」を支給しており、優秀な職員の業務意欲向上と人材確保のためにも、賞与とバランスをとりながら今後も処遇を改善していきたい。

2.効果と課題、今後の運用方針

◆優秀な人材を定着させ、経営幹部を目指せるような職場作りに尽力

幼稚園教諭や保育士は、ライフステージの変化により離職するケースが多いが、正職員転換制度や短時間勤務制度を導入することで、多様な働き方が可能な職場環境を提供し、優秀な職員の定着につなげたいと考えている。
同時に、経営の視点を持つ職員を育てていくことも重要だと考えている。学年チーフから園長までのキャリアは幼児教育の分野であるが、園長から先は経営的視点が求められる。園の将来や地域の未来像を見据えて、事業としての幼児教育施設運営を考える必要がある。

 

3.活躍する従業員の声

幼稚園教論 菅原 美乃里氏

年代 40代 性別 女性
勤続年数 6年
キャリアアップの過程 平成22年4月にプレスクール担当のパートタイマーとして入職、6年間の勤務を経て、平成28年4月に正職員へ転換。現在は幼稚園の年長児クラスを担当し活躍している。

◆子育てが一段落後、キャリアを生かして更なる経験を積み、正職員に転換

学校卒業後、別の園で幼稚園教諭として働いてきたが、子育てのために一旦退職。その後、3人の子供のうち末の子が小学校2年生になり、子育ても一段落したところで、平成22年4月に短時間勤務のパートタイマーとして入職した。
入職後は短時間勤務のパートタイマーとして1年更新の有期労働契約で勤務していたが、末の子供が中学生になり、時間に余裕が出てきたためフルタイムで働きたいと思っていたところに、園側から正職員転換についての打診を受けたので、思い切って正職員転換試験を受け合格、平成28年4月より正職員として勤務している。

◆正職員転換後は責任も増えたが充実感も増えやりがいを実感

正職員に転換したことで、働く時間が長くなると同時に、子供達と接する時間も長くなり、保護者との連携も増えた。そのため、安心してお子さんを預けて頂けるようにと、より一層安全面等様々な配慮をする必要があることから、今まで以上に責任を感じている。
ただ、責任は重くなったものの、自らの年齢で正職員へ転換させてくれたことについての園に対する感謝の念が大きく、現在は自分のクラスを無事に卒園させることを目標としているが、将来的には、園全体の仕事も率先してサポートできるようになり、益々、園の役に立ちたいという意欲が芽生えている。
転換後は、夏休みや冬休み期間を利用して行われる園外の研修や、様々なジャンルの外部講師による園内の研修を受講したりと、パートタイマーの時には無かった学びの機会を多く頂いている。
また、当園では周囲の先生・スタッフ職員との連携や助け合いもできており、働きやすい職場環境が整っていると感じている。


ドライバー 橘 弘光氏

年代 60代 性別 男性
勤続年数 5年
キャリアアップの過程 平成23年1月に短時間勤務のパートタイマーとして入職。同年4月からは契約職員へ変更、5年間の勤務を経て、平成28年4月に短時間正職員へ転換。現在はドライバー業務以外にも様々な業務をこなし活躍している。

◆短時間パートタイマーから契約職員、そして短時間正職員へ

平成23年1月に幼稚園バス(ワゴン車)のドライバーとして、短時間パートタイマーで入職。入職翌月には大型自動車の免許を取得し、大型の幼稚園バスの運転も可能となったことをきっかけに、同年4月より契約職員に変更。
契約職員になってからは勤務時間が増えたため、畑の整備や園庭の管理等、ドライバー以外の仕事も任されるようになった。
入職当初は受動的な仕事の仕方であったが、仕事に慣れるうちに園のためになることを自ら積極的に行っていきたいという思いから、ちょうど同時期に、新たに導入が決まった短時間正職員制度に応募し、平成28年4月からは短時間正職員として勤務している。

◆短時間正職員として働きやすさを実感、やりがいをもって長く続けられる仕事に

短時間正職員に転換したことで、正職員とほぼ同じ待遇を受けることができるので、給与等の待遇面では、家族手当、住宅手当、寒冷地手当、賞与が、正職員の8分の7の割合で支給され、以前よりも向上した一方、労働時間は8時間から7時間へと短くなったため、年齢的にも体力的にも働きやすさを実感している。
65歳定年まであと2年程であるが、今後はもともと子供が好きなこともあり、この働きやすい環境の中でより一層、園のために長く働き続けたいと考え、新たな資格取得や遊具点検等の研修にも積極的に参加している。また、前職のサービス業での経験も活かしながら、ドライバーの業務だけではなく、細やかな気遣いや配慮を忘れずに業務をこなしていきたい。