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事例26 賀谷セロファン株式会社

事例 26

賀谷セロファン株式会社
適性の高い人材確保を企図し、非正社員及び派遣社員の正社員転換を推進。

業種 製造業
本社所在地 石川県
正社員数
(平成27年12月16日現在)
正社員:48名(男性35名、女性13名)
非正規雇用労働者数
(平成27年12月16日現在)
契約社員(※1):8名(男性8名)
派遣社員(※2):9名(男性5名、女性4名)
非正規雇用労働者
の主な仕事内容
印刷機械オペレーター、事務
取組のポイント ■ 契約社員と派遣社員を正社員に転換
⇒適性があり、業務経験を積んだ人材確保に成功
■ 年3回の面談と多様な研修実施、資格取得奨励で人材を育成
⇒高品質な製品作りと企画提案力のある企業を目指す

(※1) 1年間の有期労働契約。勤務時間は8:30~17:15の1日7時間45分。給与は月給制。1年契約の契約社員5名のほか、定年後嘱託再雇用2名を契約社員として雇用(平成27年12月時点)。主な業務は、印刷機械のオペレーターと事務。正社員の60%相当の賞与を支給するが(嘱託、学生を含まず)、退職金の支給対象外で、転居を伴う人事異動の対象外。定期昇給の対象外であるが、業務成績が優秀な人材には時給又は賞与を増額することがある。
(※2) 3か月ごとの契約更新。勤務時間は8:30~17:15の1日7時間45分。

PDFデータ

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同社は、昭和24年にセロファンを中心とする包装紙販売業として創業し、プラスチックフィルムの製版・印刷・加工へと事業を拡大してきた。現在はグラビア印刷を中心に、1工場(石川県)、3営業所(富山・京都・長野県)体制で、食品、菓子、雑貨等のパッケージデザインから印刷・加工までを手掛けている。平成24年に本社工場を新築し、高精度8色グラビア印刷機やドライラミネート機を導入するなど、高レベルの衛生設備を備えることで一層の品質向上を目指している。
働きやすい職場環境づくりも推進しており、平成26年度に石川県「いしかわ男女共同参画推進宣言企業」にも選出されている。また、平成27年7月にはパッケージにおける食品安全性を確保するため、「FSSC 22000」認証を取得した。

1.取組の内容

◆適性のある契約社員・派遣社員について、面接試験を経て正社員転換を実施

【適性のある契約社員については、平成19年頃より正社員転換を実施】

同社における契約社員及び派遣社員の1年以内離職率は7割と高い。退職理由として「自分に合わない」、「きつい」、「機械操作を覚えられない」等を挙げる者が多く、パッケージデザインや印刷という業務説明から受ける印象と、実際の業務(印刷機等の機械操作)に差異があるためではないかと推察される。
一方で、正社員の定着率は高く、退職者はほとんどいない。また、業務に適性があると感じた契約社員や派遣社員の多くは正社員転換を希望するため、適性があるとみられる契約社員については正社員に転換させてきた。これを制度として確立するために平成26年4月に正社員転換制度を整備し、就業規則に条項を追加した。正社員転換の実施に当たっては、平成24年にハローワークの助成金活用セミナーで紹介されたキャリアアップ助成金「正規雇用等転換コース」を活用している。

【契約社員の正社員転換試験では面接試験を実施】

契約社員の正社員転換については、必要な時期に必要な人材を転換させることができるよう、随時転換できる旨を就業規則に規定している。
正社員転換試験を受験する要件は、①フルタイム勤務が可能であること、②契約社員として勤務した実績を踏まえて所属長の推薦を得ること(勤務経験1年以上が目安)、③営業職の場合は転居を伴う異動が可能であること、の3つである。
転換を希望する者が要件を満たしている場合には、人事担当課が面接試験を実施し、面接の結果が良好だった者にはレポートの提出を求め、合格者を正社員に転換させる。
ここで提出するレポートは、正社員になったらどのようなキャリアビジョンを持っているか、現場の担当者としてどのような改善提案をしていきたいかといった内容のものである。これを提出してもらうことにより同社として今後どのように成長をサポートしていくかを考え、本人は仕事に対する想いや夢を再確認する、またこれからのキャリアについて考えるきっかけとしている。
なお、正社員転換制度については、契約社員の採用時及び年2回の面談(詳細は後述)において説明し、周知を図っている。

【派遣社員も契約社員と同じ要件で正社員として採用】

派遣社員の場合も、業務に対する適性が高い者は、契約社員の正社員転換と同じ要件で、契約満了後に正社員として採用している。
派遣社員の正社員転換に当たっては、平成24年度より派遣労働者雇用安定化特別奨励金を数回にわたって受給している。

各雇用区分の関係

【正社員転換の判断では、チームリーダーの素養があるかを重視】

正社員転換に際しては、職場からの推薦を要件とし、将来的に印刷機械操作のチームリーダーに当たる機長になれる人材であるかという点を重視している。
機械操作を身につけ一定品質の作業ができ、安全面での配慮ができているなど、勤務姿勢が良いと機長が判断した場合は、年2回の面談の際に、正社員転換について説明し、意向を打診する。
派遣社員が正社員転換を希望する場合は、本人から派遣会社に相談してもらい、派遣会社が受諾すると同社に連絡があり、転換日を協議して決めている。
既に1年以上の勤務実績があった上で職場推薦を受験要件としているため、正社員転換試験における面接では、主に正社員として勤務する上で会社が求める期待像を伝え、本人の意思を確認することを目的としている。
平成24年度と平成26年度で、候補者6名全員を正社員に転換した。(派遣社員5名、契約社員1名)

◆正社員転換後は業務内容や処遇が変化し、人事考課や職能等級制度の対象に

【正社員転換後の業務内容と処遇の変化】

正社員転換後は担当業務が変わり、生産課で印刷機械オペレーターの補助をしていた者は、メインの印刷機械オペレーターとして責任を持って機械を操作する立場になる。後輩育成・指導という役割も加わり、将来は機長を目指すことになる。
処遇の面では、定期昇給の対象となり、賞与も満額支給される。転居を伴う異動の対象になるが、生産課所属者は工場が他の地域にないため転居を伴う異動はなく、営業部だけが転居を伴う異動の対象となる。なお、転居を伴う異動を行う際には転居手当、単身赴任手当等を支給する制度があり、できるだけ本人の負担が軽くなるよう配慮している。

生産課で正社員に転換した場合のキャリアアップモデル

【人事考課と職能等級制度を適用】

全従業員を対象とした年2回の成績考課と、正社員を対象とした年1回の能力考課を実施している。
成績考課では、半期ごとに各自で目標設定シートを作成して自己評価を実施し、上長との面談で振り返りをした上で会社や部署の方針と合致した目標を設定している。評価結果は賞与に反映される。
能力考課では、直接管理者である課長と部長の2名が8つの職能資格ごとに職務要件書の基準と比較し評価を行う。評価結果は昇格と昇給に反映される。昇格はポイント制で、昇格要件を満たす必要があり、所定の資格取得が要件となっている。中央職業能力開発協会が実施するビジネス・キャリア検定の取得も、昇格の要件にしている。

◆「作業習熟度評価表」により、自身の到達度を確認

日々の業務に当たり、「作業習熟度評価表」を用いて各自が自分自身の作業レベルを確認している。
この作業習熟度評価表は、派遣社員・契約社員・正社員に関わらず全員が同じものを使用している。業務を簡単なものから難しいものの順に項目立ててあり、完全にできるようになった項目にはA、もう少し努力が必要な項目にはC、というように各自でチェックをする。これを見れば、自分ができる業務、できない業務が一目で分かる形になっており、自身の到達度の確認、課題の把握等に役立てている。

◆幅広い知識を持たせるための研修制度と資格取得奨励制度

【OJTを中心とした社内研修のほか、年1回のメンタルヘルス研修等も実施】

雇用形態に関わらず全従業員を対象として、就業規則と安全事項を学ぶ半日の入社時研修や、食品安全システムFSSC及びISOの規格にのっとった研修を年に数回実施している。
同じく全従業員を対象として、年1回外部講師を招き、メンタルヘルスに関する研修も実施している。
実際の業務に関する教育訓練については、各職場でOJTを実施しているほか、安全、品質管理、機械操作や薬品使用に関わる研修については、随時必要に応じて実施している。
今後は、勤務年数ごとに対象者を分けて実施する研修の導入を検討したい。

【同業他社と連携し、相互の工場見学等の研修を毎年実施】

全国グラビア協同組合連合会所属の同業他社と連携して、相互の工場見学や合同のグループディスカッション等を行う研修を実施している。契約社員も対象としており、毎回、課長を含む5名程度が参加している。訪問先企業によって日帰り又は一泊二日の日程となり、これまでに関東、近畿、中国、四国の企業を訪問した実績がある。
社長及び工場長は、この研修によって企業間のつながりを強め、切磋琢磨して業界全体が成長することを目指している。

【社外研修・セミナーに契約社員及び派遣社員も参加させる】

社外研修やセミナーは主に正社員が対象であるが、契約社員や派遣社員も参加可能であるものには、積極的に参加させている(業務時間内と、自由参加の業務時間外がある)。
例えば、フィルムやインクのメーカーが主催する研修や、雑誌社が開催するパッケージデザインに関する研修、経営者協会や商工会議所が開催する生産管理、物流、リーダーシップ、ロジカル・シンキング等に関わる研修等、多岐にわたる研修に参加させている。

【各種資格の取得を奨励し、手当を支給】

幅広い知識を習得し、企画提案力に生かしてほしいと考え、10年以上前から正社員に対して資格取得を奨励し、手当を支給している。手当の金額は、業務との関連性や資格の難易度によって規定している。
業務と関連があり昇級に必要なものを「昇級認定資格」、業務に直接関係ないが幅広い知識習得に役立つと認定しているものを「チャレンジ資格」に規定し、手当支給額や付与するポイント数を資格別に定めている。
昇格認定資格の対象となっている資格は十種類以上あり、例えばビジネス・キャリア検定、危険物取扱者(乙種4類)、有機溶剤作業主任者、第一種衛生管理者、消防設備士第6類消火器、2級ボイラー技士、フォークリフト運転者、クレーン5トン未満取扱者、安心運転管理者、防火管理者等である。
チャレンジ資格としては、社会保険労務士、税理士、中小企業診断士、ビジネスマネージャー検定、カラーコーディネーター、販売士、ビジネス能力検定、日商簿記、メンタルヘルスマネジメント、漢字検定、コミュニケーション検定、TOEIC等がある。

2.効果と課題、今後の運用方針

◆正社員転換すると、当事者意識が高まり業務に対する主体的な取組がみられる

正社員に転換した者は、契約社員や派遣社員として働いていた時よりも当事者意識が高まることで、主体的に業務に取り組むようになり、責任感も増しているように映る。また、資格を取得して幅広い知識を身につけ管理職を目指すなど、目標が明確になり、向学心や向上心を持つ姿勢もみられる。
印刷機械オペレーターの派遣社員だけでなく、2年間事務に従事した派遣社員も正社員に転換した実績があり、転換後はより責任感を持って取り組んでいる。今後は、ますます能力を向上させてほしい。

【限定正社員について将来的な検討対象に】

営業以外の職種では転勤がなく、事務職は営業所ごとに各地域で採用していることから、勤務地を限定した正社員制度の必要性はない。しかしながら、従業員が仕事と育児・介護を両立しやすいように勤務時間を限定した正社員の制度については、将来的に導入を検討したいと考えている。
また、結婚に伴う転居により離職した元社員にパッケージデザインを発注し、成果を上げていることから、職種によってはテレワークも有効な雇用形態だと認識しており、これについては制度の整備を検討したい。
同社の業務は、パッケージの企画・提案から印刷・加工まで多岐にわたるため、必要な人材も多様である。これまでもキャリアアップ助成金を活用することで、積極的に人材確保を進めることができたが、今後は研修の充実だけでなく、個別事情に合わせた働き方を認めることで多様な人材を確保し、柔軟な発想や豊富なアイディアを活用して、業務を発展させたいと考えている。

3.活躍する従業員の声

印刷機械オペレーター
近野雅也氏

年代 20代 性別 男性
勤続年数 2年6か月
キャリアアップの過程 派遣社員として入社。前職での経験を生かし、正社員になることを目指して入社。約1年で上司から声がかかり、正社員に転換することができた。

◆前職での経験を生かし、正社員転換の実績がある企業を希望して入社

派遣社員として入社し、約1年で上司から声をかけてもらい正社員に転換することができた。正社員転換を実施していることは知っており、入社当初から正社員になることを希望していた。
担当業務はグラビア印刷機の印刷機械オペレーターである。前職でも機械オペレーターの経験があり、経験を生かして短期間で正社員になることができた。

◆派遣社員から正社員になり、将来設計が可能に

派遣社員として他社で機械オペレーターの業務に就き、この仕事をこれからも続けていきたいと思ったが、派遣社員のままでは契約満了後にまた同じ業務に就けるとは限らない。そこで、印刷機械オペレーターで正社員に転換できる可能性があるということで同社に就業を希望し、無事正社員転換することができた。これからはこの業務に専念できることが、派遣社員から正社員になった一番のメリットだと思っている。
また正社員になったことで、将来設計もできるようになった。自分自身だけでなく、家族も安心させることができてとても良かった。

◆正社員になり責任が重くなったが、同時にやりがいにもなっている

派遣社員として勤務していた当時は、指示を受けて与えられた範囲内での業務であったが、正社員になり自らの判断で動くことが多くなった。後輩もできたので教育にも携わっており、彼らのお手本となるよう仕事をしなければいけないと自覚している。
技術が上がると重要な仕事を任せてもらえるようになり、プレッシャーや責任を感じる一方、それがやりがいにもつながっている。
担当業務は技術を要するため、これからも自己研鑽に励むとともに、資格の取得にも力を入れて取り組みたい。また、将来的には、派遣社員の時には不可能であった管理職になり、会社を支えていきたいと考えている。

管理部総務担当
角尾絵里氏

年代 30代 性別 女性
勤続年数 3年11か月
キャリアアップの過程 派遣社員として入社してから1年半ほどで上司から声がかかり、入社から約2年後に正社員に転換した。総務として、社員が働きやすい環境をつくれるよう日々努力している。

◆派遣社員として入社してから約2年後に正社員に転換

派遣社員として入社し、入社当初から現在まで管理部総務を担当している。約1年半が経った頃に上司から声をかけてもらい、正社員転換の準備を進めた。レポートの提出が必要で、上司の指導もあり無事正社員になることができた。入社してからちょうど2年後の転換であった。

◆派遣社員から正社員になり、変わらない環境で働いていけることに安心

派遣会社が提供する仕事には多くの事務の求人があるが、契約満了ごとに別の会社に変わっているとその都度、担当業務はもちろん、会社の習慣や一緒に働く方の名前等もはじめから覚えなくてはならない。正社員になり、これからは同じ環境で働いていけるため安心している。
また、派遣されてきていた立場からこの会社の正社員になったことで、意識が変わり責任感が増した。

◆全社員が働きやすく、業務がスムーズに進むようにすることが自分の仕事

総務担当なので、給与計算や労務管理、社会保険の手続き、春には新入社員の入社準備、年末には年末調整と仕事は多岐にわたっている。
派遣社員として働いていた時は先輩正社員の指示の下で働いていたが、正社員になった現在では、全ての業務を自分一人で担当するようになった。仕事内容は基本的には変わらないものの、仕事量も増え、責任も重くなった。従業員から、子どもの就職や配偶者の退職の際に保険の手続きについて相談されるような機会も増え、大変ではあるが役に立てているとうれしく思う。
総務は、会社で働く全員が働きやすく、業務が支障なく進むよう環境を整えることが仕事だと思っており、これからも良い環境を作れるよう努力していきたい。また、業務上必要な知識を得て役立てるために、秘書検定やビジネス・キャリア検定の取得に向けて勉強している。