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  • 卸売業,小売業
  • 100~299人
  • 正社員への転換 ~多様な正社員へ~
  • 正社員への転換 ~正社員へ~
  • 処遇改善
  • キャリアアップ助成金

事例29 メルボ紳士服株式会社 メルボメンズウェアー株式会社 

事例 29

メルボ紳士服株式会社 メルボメンズウェアー株式会社 
正社員転換制度の実践と処遇改善への取り組みにより、優秀な非正規雇用の定着と戦力強化を実現

業種 卸売業,小売業
本社所在地 大阪府
メルボ紳士服株式会社
  正社員数 28名(男性26名、女性2名)

  非正規雇用労働者数
契約社員(※1)    12名(男性8名、女性4名)
パートタイマー(※2)   2名(男性1名、女性1名)
アルバイト(※3)     1名(女性1名)
嘱託(※4)      15名(男性14名、女性1名)
メルボメンズウェアー株式会社
  正社員数 95名(男性74名、女性21名)

  非正規雇用労働者数
契約社員(※1)    70名(男性55名、女性15名)
パートタイマー(※2)   5名(男性2名、女性3名)
アルバイト(※3)     5名(男性1名、女性4名)
嘱託(※4)        7名(男性6名、女性1名)
非正規雇用労働者の主な仕事内容 店舗販売職、事務職

取組みのポイント
■従業員の力を引き出す正社員転換制度
→将来のキャリア設計が可能に
■正規、非正規の分け隔てない処遇改善への取り組み
→モチベーションアップで成果を引き出す

(※1) 契約期間は当初は6か月、1年経過後から1年毎の更新制。月給制。賞与なし。退職金制度有。退職金は正社員と算定ベースは異なる。
(※2) 契約期間は当初は6か月、1年経過後から1年毎の更新制。時給制。賞与、退職金なし。
(※3) 契約期間は3か月の更新制、時給制、賞与、退職金なし。
(※4) 契約期間は1年毎の更新制、月給制、賞与なし。退職金あり。

PDFデータ

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 同グループは、1918年(大正7年)に「平野屋羅紗店」として創業し、高級既製コートを百貨店に納入して以来、現在に至るまで高級紳士服を軸に事業を展開しており、メルボメンズウェアー株式会社、メルボ紳士服株式会社、メルボ紳士服工業株式会社のグループで構成されている。
 メルボメンズウェアー株式会社及びメルボ紳士服株式会社では注文紳士服を主体とした紳士服の小売、卸売業を、メルボ紳士服工業株式会社では主に両社の縫製や商品管理を行っている。
 バブル崩壊以降、百貨店に於ける高級紳士服販売の低迷が長期化したことにより、業績は一挙に悪化し、2001年には民事再生の申し立てを行うこととなった。しかし、1999年にスタートした直営小売事業「麻布テーラー」は、2003年より急成長し、当初1店舗、年間4千万円程度の売上であった事業が、2012年には29店舗、年間売上38億円となり、また、他の直営小売事業の8店舗と合わせて、直営小売事業で売上42億円にまで成長した。


1.取組の内容

◆契約社員の処遇を段階的に改善し、人材確保を図る

 同社では、正社員に適用している処遇を2001年より段階的に契約社員にも適用拡大してきた。積極的な店舗展開を進めるに当たり、重要な戦力となる契約社員の定着と新たな人材の確保という狙いがあった。
 2011年から導入した「契約社員の役職者への登用」では、実際に店長よりも上位職である部長(管理職)に昇進した契約社員もおり、新たなキャリアルートとして契約社員のモチベーション向上に大きく寄与している。
 また、「販売報奨金制度」(個人の販売額に対して報奨金が支給される制度だが、店舗内での個人の役割とチームワークの両方の向上につながるよう、店舗予算達成が条件とされている)についても販売職の契約社員を対象に適用拡大している。オーダーメードによる紳士服の販売では、コミュニケーションを通じて出来上がる世界でたった一つの一着に対する満足度が購入者との信頼関係を深め、その後の付き合いにつながる。的確にニーズを把握した上で購入者を満足させる提案をすることが生命線となる。「販売報奨金制度」の適用拡大では、契約社員の処遇の改善が図られただけではなく、結果として顧客サービス全体の底上げ、顧客確保につながるという好循環が生まれている。
 契約社員の処遇改善による効果は着実に現れており、2014年以降も「家族手当」及び「昇給制度」を契約社員に適用拡大してきた。


 


◆奨学金支援制度

 奨学金支援制度は、奨学金を返済している正社員(契約社員は適用なし)に対し、入社~5年間、月額2万円を上限として補助する制度であるが、後述する正社員転換制度を活用し、契約社員から正社員に転換した従業員にも転換後から3年間、月額1万円を上限として適用している。


◆自己申告制度と個人チャレンジ制度

 同社には、「自己申告制度」と「個人チャレンジ制度」というユニークな制度がある。
 「自己申告制度」は、勤務地、勤務時間、職場環境など上司には直接話しづらい希望や要望を人事部に直接申告することができる制度である。風通しが良く、従業員一人ひとりが持つ特性を最大限発揮できる組織を構築するために導入している。従業員のニーズを踏まえた労働条件のイージーオーダーであって、柔軟で多様な働き方が可能となっている。従業員の満足度が上がることにより、仕事に対する意欲とともに仕事の質が高まることを期待している。
 また、日常業務にとらわれない幅広い視野を養ってもらい、従業員が持つ潜在能力を最大限発揮してもらうために導入した制度が「個人チャレンジ制度」である。通常できないような体験(挑戦)を会社が長期研修(1か月間)という形で認めるという制度であり、入社2年目以上であれば、契約社員でも応募することができる。1か月間を使って何がしたいのか、何ができるのかを従業員自らが考え、個人チャレンジ目標を設定する。従業員が応募した目標の中から選考が行われ、採択されれば30日の休暇付与(出勤扱い)と50万円の補助金が交付される。これまでに「安曇野のバンガローで30日間通信教育に集中」、「自転車で日本縦断」、「各国の民族衣装の情報収集」など多種多様なチャレンジが行われている。導入当初は、どんな目標を設定すれば良いのか相場観も分からず応募者は少なかったが、チャレンジャーによる発表会を開催するなど制度に対する理解を深める取組を進め、少しずつではあるが応募者が増えてきている。この制度は、会社という枠にとらわれず、自分自身で決めた目標を実現することで従業員が大きく成長し、幅広い分野で活躍して欲しいと考える同社のチャレンジでもある。


◆本人の希望を重視した正社員転換制度を整備

 同社では、契約社員から正社員への転換を積極的に推進しているが、以前は、転換の希望者がいた場合に、その都度、会議等で対象者を選定してきたが、本人の希望を重視した正社員転換制度を2008年に整備した。
 雇用形態や性別などの違いに関わらず、すべての社員に対して、成長の機会を公平に提供している。

  <正社員転換の候補者となる主な条件>
   ①本人の希望がある
   ②勤続期間満3年以上である
   ③上司の推薦がある
   ④転勤可能である

 勤続年数3年以上という期間は短いものではないが、紳士服のプロフェッショナルを育成するという同社の姿勢の表れであり、契約社員が正社員への転換を意識し始める時期とも一致していると同社は考えている。

 正社員転換した従業員は、契約社員として働いていた経験を活かして、より質の高い職務を遂行しており、販売実績が向上している傾向にもある。また、正社員転換と同時に店舗責任者を任せられる従業員も誕生している。




2.効果と課題、今後の運用方針

◆正社員転換制度によりモチベーションアップと人材の定着に効果発揮

 同社では、正社員転換制度により既に46名を転換しており、本年度も11名の転換を予定している。今年度は正社員転換対象者の要件を満たした契約社員のうち辞退者などを除いた全員が転換されたことになる。また、勤続期間の要件を3年以上としていることでミスマッチが相当程度解消され、転換後の離職はほとんどなく(1割未満)、課題であった契約社員の定着に効果を発揮している。今後も正社員転換制度と新卒採用の両輪により、非正規雇用労働者の割合を低下させ、会社全体の生産性を向上させたいと考えている。
 また、正社員転換をすることで、より安定した立場で仕事ができるという安心感が生まれ、日々の仕事に集中して取り組めるようになり、将来のビジョンも描きやすくなったという従業員の声が多い。勤続年数が長くなればなるほど、従業員は自分自身の存在意義や組織において果たしている役割を自覚することができるため、会社への帰属意識も高まってきたと感じている。

◆より多様な働き方や柔軟な制度の導入を検討

 多くの契約社員が正社員転換制度に応募する一方で、家庭の事情等で転勤が困難なため、手を上げることができない契約社員も一部いる。今後は、すべての従業員が力を発揮できるよう勤務地限定正社員、短時間正社員など、より多様な働き方や柔軟な制度を導入していきたいと考えている。これらの制度のうち、勤務地限定正社員制度については、2017年3月11日から導入することが決まっている。









3.活躍する従業員の声

財務経理部 松下 優子氏

年代 30代 性別 女性
勤続年数 6年
キャリアアップの過程 2010年入社。6年間の契約社員としての勤務を経て、2016年4月に正社員転換。現在は経理担当として活躍している。


◆経理の仕事でキャリアアップ

 前職は、税理士事務所で補助者として働いていたが、自分自身が責任を持って経理全般にわたる仕事をしたいという思いが強くなり、同社への入社を決めた。入社後は、契約社員として1年更新で勤務しており、正社員への転換を勧められたこともあったが、何となく踏み切れずにいた。入社して6年、もともと経理職でキャリアアップをしたいと考えていたこともあるが、同社で仕事を続けるうちに更に上を目指して頑張りたいという思いが次第に強くなっていった。正社員になり将来のビジョンを描きながら働きたい、仕事に対してもっとモチベーションを上げていきたい、自分自身の中で明確になった強い思いから、本年度、正社員転換に応募した。

◆もっと会社のために役に立ちたい

 契約社員の時も意見を聞いてもらっていたが、正社員になってからは更に意見を言える環境を提供してもらっている。これが「会社の一員として頑張っている」という実感になり、今まで以上に責任感を持って仕事に取り組めている。また、自信を持って仕事に取り組めるようになり、「もっと幅広い仕事にチャレンジしたい」という気持ちが強くなった。
 正社員になり今まで経験したことのない仕事も増え大変ではあるが、もっと会社のために役に立ちたいという気持ちのほうが勝っている。



PR販促室 則定 美穂氏

年代 20代 性別 女性
勤続年数 2年
キャリアアップの過程 2014年入社。2年間の契約社員としての勤務を経て3年目。来年4月に正社員転換予定。現在は、販売促進、POPデザイン担当として活躍している。


◆アルバイトから契約社員、そして正社員へ

 デザインを勉強しながらアルバイトとして同社の販売職として勤務していた。これまでの勤務経験とデザインのスキルを活かして、デザイン、販売促進職として入社を勧められたのがきっかけで契約社員となった。契約社員としての勤務当初は仕事に慣れることができず不安も多かったが、元々アルバイトとして働いていた経験もあって仕事を続けるにつれ、POPなど自分自身の仕事の成果に喜びを積み重ねることができ、日々充実感を味わえている。今年で入社3年目を迎えるが、「これからもっとスキルを磨き、様々な仕事に関わりたい」という気持ちが高まっており、自分自身が目指す目標をしっかり見据え、安定した立場で仕事を続けたいという思いから、正社員で働くことを意識するようになった。正社員転換の要件を満たす来年、正社員への転換に応募しようと考えている。

◆自分自身が成長しながら会社に貢献できることを楽しみに

 これまで、展示会の案内状や雑誌に掲載してもらうためのデザイン開発、現場(店舗)とのコミュニケーション、連携などの仕事に携わってきた。いずれも難しい仕事ではあるが、難しい分、達成感や充実感を感じることができている。実際、自分が作ったPOPなどが店舗や展示会で置かれているのを見た時、「あれは私が作ったPOPだ」と大きな喜びを感じ、次の仕事へのやる気もすごく高まっていく。この日々の経験は何事にも代え難いもので、言葉では言い表せないほど素晴らしいことだと感じている。正社員に転換した後も積極的に仕事に取り組み、自分自身がもっともっと成長しながら会社に貢献できることを楽しみにしている。入社3年目となる日が今から本当に待ち遠しい。