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事例38 株式会社ケーブルテレビ富山

事例 38

株式会社ケーブルテレビ富山
非正規雇用労働者を専門職正社員として転換することにより、優秀な社員の戦力化に取組む


会社設立年 1994年
本社所在地 富山県富山市桜橋通り3-1 富山電気ビル新館3階
業種 情報通信業
正社員数
(2017年7月18日現在)
76名(男性37名、女性39名)
非正規雇用労働者数
(2017年7月18日現在)
パート社員 15名(男性1名、女性14名)
嘱託社員 3名(男性1名、女性2名)
派遣社員 4名(女性のみ)
資本金 20億1,060万円
売上高
(2017年3月31日現在)
48億3,747万円
取組概要 <背景>
・事業拡大に伴う業務負担の増加と離職増加
・人手不足による新規採用の困難化
<内容>
・正規雇用転換制度を導入し、非正規雇用労働者を専門職正社員に転換
<効果・結果>
・同社の業務内容や企業風土に適した優秀な人材の確保、定着
・従業員のモチベーションアップ

PDFデータ

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 同社は、富山市を主な営業エリアとするケーブルテレビ事業者である。平成6年4月に富山県、富山市をはじめとする自治体と地元経済界が中心となり、企画会社(富山ケーブルテレビ企画株式会社、資本金2,000万円、株主20名)を設立した。同年10月に商号を株式会社ケーブルテレビ富山に変更、同時に事業目的も変更して事業会社へ移行し現在に至る。
 平成7年2月に郵政大臣から有線テレビジョン放送施設設置許可状の交付を受け、平成8年4月に開局、本放送を開始した。その後、平成12年にケーブルインターネット接続サービス、平成14年には、BSデジタル放送、CSデジタル放送と順次事業展開を実施した。社内では番組制作も実施しており、テレビサービス利用者に対し放映している。
 平成26年5月にウェブ・インターネット関連事業としてミタスト光サービスを、平成27年3月には、格安なケーブルスマホサービス及び「TOYAMA Free Wi-Fi」の提供を開始している。
 同社は、「地域からの信頼と期待に応え、地域の安心と発展に貢献」を行動指針として、地域の情報を積極的に発信しながら、デジタル化、情報化により快適な生活を追及し、地域になくてはならない総合的な情報通信会社を目指して事業に取組んでいる。


1.取組の背景

◆優秀な人材を基盤とした安定した企業運営への懸念

 人材確保については、正社員は将来の経営幹部候補である総合職として年に1、2名程度を募集し、定期採用試験により採用している。しかし、近年の経済状況の好転により、富山県においても有効求人倍率が徐々に高くなっており、優秀な人材を確保し続けることは、難しい状況となっている。
 事業規模については、インターネットの普及などに伴って取扱う業務が拡大し、サービスの種類や組み合わせも多様化、細分化してきた。業務の拡大によって、「正確に業務内容を把握していなければ、お客様に対応ができない」という課題が生じた。また、サービス内容が多様化、細分化することに伴い、「サービス内容の推奨プランをお問い合せのお客様に提案する」ための商品知識が日々の業務遂行の中で重要になってきた。
 事業拡大と人材不足が進む状況の中で、お客様と直接対話する窓口・電話応対業務や契約申込書入力業務については、非正規雇用労働者が中心となって担当してきた。多様な商品知識とサービス内容を短期間で習得できるような研修を実施した上での業務であったが、業務への対応が困難との理由から、離職が相次いだ。
 こうした事態を受け、経営層には「新規の人材確保が出来ず、また、現在勤務している有能な非正規雇用労働者が退職すると安定した企業運営が出来なくなる」との懸念が生じていた。


2.取組の内容

◆非正規雇用労働者の戦力化

 正規雇用転換制度の導入以前は、総合職の採用試験の合格者のみを正社員としていたが、大学卒の新人を一から教育して戦力化する為には相当の時間を要する。事業拡大が進む中で即戦力となる正社員を確保し、時代に取り残されずサービスを継続的に提供する必要があった。
 そこで、担当業務に精通している非正規雇用労働者を専門職正社員として雇用することを主眼に、人事制度を抜本的に改定し、正規雇用転換制度を平成26年度に導入。平成27年度の4月から転換を開始した。
 この制度を導入することにより、安定した人材確保、専門的な商品知識・スキル・ノウハウの蓄積、また、非正規雇用労働者自身の雇用の安定にも寄与できるものと考えた。

◆派遣社員、パート社員を対象とした、正規雇用転換制度を導入

 正規雇用転換制度の導入に合わせて、従来のいわゆる正社員を「総合職正社員」、転換制度によって非正規雇用労働者から転換した正社員を「専門職正社員」に分類し、さらに専門職正社員については、業務部門と営業部門に分類している。いずれの正社員についても、待遇面に差は無く、賃金体系や福利厚生等は同じにしている。転換に伴い給与は増額になるように制度を設計し、同時に責任も増加する仕組みとした。


雇用形態



 社内で業務に携わる非正規雇用労働者は、業務部門に所属する者は2年以上、営業部門に所属する者は1年以上の在職期間があり、所属長からの推薦を得た者が転換試験に応募することができる。応募に先立ち所属長が対象者と面接を実施しており、基本的には希望者が応募する。応募者の中で筆記・面接試験に合格した者が正社員へ転換するが、試験においては、過去の業務内容や実績に加えてコミュニケーション能力等を考慮して合否を決定している。
 正規雇用転換制度については、事前に非正規雇用労働者全員に説明する機会を設けており、会社側の意図などを伝え、積極的な応募を促している。なお、仮に転換制度を見送った場合であっても、次年度以降も引き続き応募することは可能としている。また、一回の受験で仮に不合格となった場合であっても、翌年度以降に再挑戦することも可能である。


専門職正社員転換制度の流れ



 選考試験に合格すると、翌年度の4月1日付で専門職正社員へ転換するが、原則としては、業務部門に所属していた者が「業務部門専門職正社員」、営業部門に所属していた者は「営業部門専門職正社員」に転換する。転換後も担当部署、担当業務は変わらず、今まで担当していた業務をそのまま継続して担当することにしており、急激に環境が変化しないように配慮をしている。





各雇用形態の労働条件




3.効果と課題、今後の運用方針

◆転換制度により正社員の確保に加えて離職率が激減

 制度開始の初年度平成27年度は、専門職正社員として27名を転換、平成28年度は5名を転換し、平成29年度は3名が転換した。現在の正社員数76名に対し、半数に近い全体の47%が専門職正社員ということになる。即戦力を必要とし、継続的な人材を確保したかった同社としては、大成功というべき成果であった。
 転換した社員については、「正社員」に立場が変わったことにより、一つひとつの業務内容に問題意識を持ち始め、業務改善に関する発言が増えた。従業員同士の意見交換も活発になっている。会社全体をみても社内に協調性や結束力が生まれており、業務面でも経営層の期待通りの結果が出ている。
 転換者の積極的な姿勢や活躍する姿は非正規雇用で勤務している社員にも好影響を及ぼしており、「自分自身も専門職正社員として勤務したい」と正社員転換への目標を持ち、専門的知識の習得や自身の業務改善に取組むきっかけになっている。
 また、会社全体の特徴として女性が多いため、転換制度の実施に伴って社内で時短勤務を選択する者が増加し、「離職ではなく時短勤務による就業継続」という選択をする社員が増えている。会社全体としても女性同士の助け合いが進んでおり、結果として若手社員のロールモデルになり得る社員が増加している。2017年11月には、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく認定マークである「えるぼし」の3段階目の認定を取得した。今後女性の活躍が一層進むと考えている。
 経営層の危機感のきっかけとなった離職率は制度導入により、激減した。この点については、期待以上の効果が得られている。

◆専門職正社員のスペシャリスト化と人事制度改定

 正規雇用転換制度を導入した当初から、「専門職正社員から、更にスキルアップ、キャリアアップを目指してもらうために、どのように制度設計すべきか」という専門職正社員のキャリアパスが課題となっていた。
 そこで、転換制度開始後の平成28年7月に専門職正社員のスペシャリスト化とキャリアパスの明確化を目指し、新しい役職を設置した。一部職種に限ってはいるが、総合職正社員の主任と同程度の責任を有する「リーダー職」を新設し、人事制度を改定した。具体的には、業務部門で番組制作業務に関する「ディレクター」と電話応対を中心としたお客様サービスに関する「スーパーバイザー」、営業部門での「リーダー職」である。平成28年7月に人事部長の推薦によりディレクター1名、スーパーバイザー2名の計3名が昇格した。


雇用形態別のキャリアパス



 キャリアパスは導入して間もないため、該当する職種も僅かで適用者も少ない。しかし、昇格した3名は熱意を持って業務に取組んでおり、制度新設自体は成功したと考えている。今後は適用職種の拡大を検討するとともに、転換後の昇格のための要件(勤務年数や業績等)を詳細に検討していく必要がある。また、キャリアパスの導入により、専門職正社員の意識がどのように変化するのかも注視していきたいと考えている。


4.活躍する従業員の声

番組制作部所属
西 晶子 氏

年代 30代 性別 女性
勤続年数 16年
キャリアアップの過程 平成14年に、直接雇用のパート社員として番組制作部に配属、番組制作全般を担当。
平成27年3月まで、番組企画、カメラマン、AD、編集業務を担当。
平成26年度、転換試験に合格。
平成27年4月1日に専門職正社員として採用。
平成28年7月1日にディレクターに就任。

◆番組制作一筋、正社員としてさらなる貢献を!

 当初は、パート社員として番組企画を担当し、先輩社員から映像用カメラの撮影方法の指導を受け、カメラマンなどの業務を担当していた。その後、担当する業務が拡大していく中、所属長から強く選考試験の受験を勧められ、平成27年4月1日に専門職正社員に転換した。
 正社員転換後は、生活情報番組の全般、地元で開催されるスポーツ番組、生中継の制作業務を担当し、平成28年7月1日にはディレクターに就任した。
 生活情報番組では、担当として企画の立案、現地取材、カメラ撮影の指示、編集までを担当、スポーツ番組では、主に高校野球の地元校紹介番組、ダイジェスト番組の制作を担当している。専門職正社員になり、これまでの経験をさらに生かしたより質の高い番組づくりに貢献したいと考えている。

◆今後の目標、業務の取組について

 「地域になくてはならない情報通信会社とは何か」「地元に愛される情報通信会社とは何か」を考えながら、ケーブルテレビの社会的、公共的な使命と地域密着の役割を基本に地元のコミュニケーションを育む番組制作、視聴者が必要としている生活情報を提供する番組制作を目指したい。

お客様サービス部
カスタマーチーム所属
深川 弥生 氏

年代 40代 性別 女性
勤続年数 16年
キャリアアップの過程 平成14年7月に派遣社員としてお客様サービス部に配属、電話オペレーター業務を担当。
平成26年度、転換試験に合格。
平成27年4月1日に専門職正社員として採用。
平成28年7月1日にスーパーバイザーに就任。

◆派遣社員から専門職正社員に転換、さらに責任感を持って、業務を行うようになった

 当初は派遣社員として、電話オペレーター業務のみを担当していたが、その後派遣社員の増員に伴い、派遣社員の教育担当も兼任するようになった。
 他の派遣社員からは、立場が同じ派遣社員ということで指導を聞き入れてもらえない場面もあった。特に業務に対する姿勢、接客マナーなどの指導は難しく、円滑に業務を遂行することができずにいた。
 その状況の中、所属長から専門職正社員の選考試験の受験を勧められ、平成27年4月に専門職正社員へ転換したことにより、派遣社員の方にも指導を聞き入れてもらいやすくなった。さらに平成28年7月にはスーパーバイザーに就任し、派遣社員以外のオペレーターに対する指導、フォローも行えるようになり、今まで以上に責任感を持って、業務の指導などを行っている。

◆電話オペレーターのヒアリング能力の向上、接客マナーの修得を目指す

 入社した当時の事業内容は、ケーブルテレビ、インターネットだけだった。現在のサービスと比べるとサービス内容の組み合わせも、工事内容も単純でお客様への対応が容易だった。しかし、今は、固定電話サービス、スマホサービスなども取り扱っており、サービス内容が多様化、細分化している。今、入社してくる社員は短期間でこれらの商品知識、サービス内容を修得しなければならず、大変な苦労をしていると思う。勤続年数が短いオペレーターには、特に気を配り、知識不足でお客様に迷惑がかからないよう指導している。
 電話オペレーターは、ある意味では営業職であり、お客様に対応する電話オペレーターの商品知識とヒアリング能力で契約内容が異なってくる。会話の内容が、企業収益にも影響してくる。私も含め、電話オペレーターのヒアリング能力、接客マナーの更なる向上を目指したいと思う。そして、問い合わせを頂いたお客様の立場になり、どのようなサービスの提供が喜んでいただけるのかを考え、地元密着企業としてお客様満足度の向上を目指したい。




技術部所属
久保 陽子 氏

年代 30代 性別 女性
勤続年数 11年(通算)
キャリアアップの過程 平成18年に派遣社員として技術部に配属、庶務全般、申請業務全般を担当。
平成25年3月に出産、育児のため業務終了。同時に人材派遣会社との雇用契約を解除したが、平成26年3月に改めて、人材派遣会社と雇用契約を締結、同社に職場復帰をした。
平成26年度、転換試験に合格し、平成27年4月1日に専門職正社員に転換。

◆正社員になり責任を問われる立場となった今、業務に取組む姿勢も自分自身、厳しくなったと思う

 入社当初は、派遣社員として技術部の事務全般を担当していた。前職が教職員のため、ケーブルテレビの基本的な知識もなく、未知の世界だったが積極的に業務と向き合い、また、周囲の方々に支えられ、知識を身につけることができた。平成25年3月に出産・育児のため、一度派遣契約を終了したが、平成26年3月に、再度、派遣社員として同社に職場復帰をした。復帰して間もなく、所属長から専門職正社員の転換試験の受験を勧められ、平成27年4月に専門職正社員に転換した。
 派遣社員として勤務していた頃は、担当している業務で失敗をしてしまった時も、立場上責任を取ることができなかった。自分の失敗なのに責任を取ることができず、正社員にお願いをしなければならないことが申し訳ないという気持ちと、何もできない自分への不甲斐なさに落ち込むばかりで、自分の中に葛藤があった。
 正社員となった今は、「責任」が常についてまわる中での業務であり、取組み方も厳しくなったが、それと同時に以前よりも多くのやりがいを日々感じている。

◆今後の目標、業務の取組について

 派遣社員として勤務していた時期は、自身のスキルアップについて考えることはあまりなかったが、正社員になってからは「会社にとって必要な人材になる」という意識が芽生え、平成28年7月に一般社団法人日本CATV技術者協会が主催する資格試験である「第2級CATV技術者資格試験」を受験し合格した。
 これまでは、技術部に所属する社員同士が行っている打ち合わせについて、概略は理解していたものの、具体的な内容までは把握することができていなかった。
 しかし、関連のセミナーを受講することにより、通常業務で交わされていた専門用語を「こういう内容の打ち合わせだったのか」と深く理解することができた。今後も、スキルアップを図るため、自己啓発の意識を継続していきたい。