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事例50 株式会社 進幸

事例 50

株式会社 進幸
パート職員の正社員登用と人材育成・賃金テーブル改定でモチベーションアップ


会社設立年 1980年
本社所在地 北海道札幌市中央区南三条西二丁目1-1H&Bプラザ3F
業種 社会福祉事業(介護保険サービス等の提供)
正社員数
(2017年7月1日現在)
27名(男性12名、女性16名)
非正規雇用労働者数
(2017年7月1日現在)
パート社員68名(男性21名、女性47名)
<正社員+非正規雇用労働者の内訳>
(男性33名、女性63名)
(20歳代10名、30歳代12名、40歳代11名、50歳代11名、60歳代24名)
資本金 3,000万円
売上高
取組概要 <背景>
若者、助成の働きやすい職場へと環境改善する目的で、雇用管理に関する諸制度を整備し、人材の確保、定着を図ってきた。
<内容>
・正社員転換制度:パートでの6ヶ月の勤務経過後に短時間正社員に登用する制度を導入。
・人材育成:正社員、パート社員のわけ隔てなく、介護関連スキルの向上を目的に介護初任者研修・実務者研修のほか、キャリアアップ助成金を活用した外部研修への参加奨励、内部研修の定期実施に取組んでいる。
・処遇改善:パートを含む全従業員への定期健康診断の実施。賃金テーブルの改定による平均賃金のアップを2年連続で実施。
<効果・結果>
若年層、女性従業員が積極的に役割を果たしてくれるようになり、自発的に責任ある立場を受容してくれるようになった。
・外部研修受講実績:パート社員平成28年度4名、平成29年度(夏まで)1名
・処遇改善:平均賃金:平成27年度前年度比2%アップ、平成28年度前年度比2%アップ

PDFデータ

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 1980年、苫小牧市において前身企業を創業、平成12年10月より介護保険制度における訪問介護事業に参入。利用者のクオリティオブライフを最優先に、職員・利用者ともに住みなれた地域で自然体で歩んでいけるよう事業を展開してきた。
 平成12年の訪問介護に続き、平成14年には居宅介護支援事業、平成15年には通所介護、認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)、自立支援法における身体障がい者デイサービス事業を開始した。平成18年から20年にかけて、相談支援事業(平成18年)、障がい者就労移行支援事業(平成19年)、就労継続支援A型(平成19年)、障がい者グループホーム(平成20年)、児童デイサービス(平成20年)に参入し、平成29年6月現在、札幌市に4拠点、苫小牧市に2拠点、傘下事業所計19事業所での事業を展開中である。

1.取組の背景

◆人材の定着に向けた労務管理・人材育成の実践

 同社では、社会福祉、介護関連事業を展開していることから、職員の長期的な定着と、継続的なスキルアップ、人材育成を重視してきた。また、女性職員が多く、女性の活躍に向けた土壌もあった。
 そのため、事業所内保育所の設置、介護用リフトの設置など、職員が働きやすい環境を整え、かつ、人材育成に配慮を行うことで定着率を高める工夫を行ってきた。
 一方、社会福祉・介護関連産業では人材の不足が指摘されているように、同社でも数年前から安定的な人材確保はこれまで以上に重要な課題となってきた。特に、若者と同社の主戦力である女性職員の定着は重要と考え、更なる職場環境の改善を行うこととした。
 また、若者やパート職員などにも積極的に責任ある立場での仕事に取組んでもらい、キャリアアップに積極的になっていってもらいたいという人材育成の面からも制度の改定を検討する必要を感じていた。


2.取組の内容

◆パート職員の正職員登用

 平成29年度前半の導入を目指し、パート職員の正職員登用制度の導入に取組んでいる。制度はパート職員として6ヶ月以上勤務した職員を対象に、まずは短時間正職員への登用を行うという内容である。就労時間の長短については、登用の候補となる層のパート職員のニーズを把握し、検討を行ったもの。
 制度導入の目的には、「責任ある立場への登用」と、特に女性に対して「子供の成長に合わせた働き方」の実現という面があった。
 制度の導入にあたっては、これまでの就業規則を変更し、平成29年8月1日より短時間正職員制度の運用を開始した。就業規則の改定は顧問契約を結んでいる社会保険労務士、労働局担当者と相談しつつ進めた。就業規則の改定は非常に広範な検討を必要とするため、専門家との協力体制の確立が大切。

◆長期的なスキル形成を見据えた人材育成

 同社では介護事業では、介護初任者研修、介護実務者研修に関して、正職員、パート職員の別なく、積極的に研修の受講を勧めてきた。これは、介護サービスの質の向上に関して職員のスキルアップを支援する取組であるほか、介護福祉士国家試験の受験資格に介護実務者研修の受講が盛り込まれるなど、職員のキャリアアップを見据えた研修受講推奨となっている。
 そのほか、外部研修の奨励(職員が必要に応じて参加したい研修を選択)、介護技術等の向上に向けた内部研修の定期開催などに取組んでいる。
 これらの取組と正職員登用、短時間正職員制度を組み合わせ、若者、女性が責任ある立場を受容しながらキャリアを積んでいける職場、子どもをはじめ、家族の状況に合わせた働き方を実現できる職場の実現を通して、長期の定着とキャリアアップを図っている。

◆処遇改善

 賃金規定を改定し、平成27年度に前年度比2%、平成28年度にも同様に2%の賃金アップを実施している。規定の改定に際しては顧問社会保険労務士に相談し、賃金テーブルの改定を実施した。
 賃金上昇は、経営上簡単なことではなく、経営上のリスクを負う可能性もあるが、賃金アップによる職員の意欲向上につながる可能性を重視した。
 賃金テーブルはパート職員にも適用され、毎期の人事評価を実施しつつ、仕事ぶりを処遇に反映させる取組を続けている。現在は、正職員とパート職員の賃金テーブルは別立てで用意されているため、正社員登用が本格化することも見据え、将来的には両賃金テーブルの連結も目指したい。

◆取組にあたってのポイント

 長期勤続と人材育成を中心とした取組設計を行っている。取組のねらいは大きく二点。ひとつは若者、女性の責任ある立場への登用、二点目が従業員の子どもの成長に合わせた働き方の実現、である。いわば、活躍と定着の両面で、従業員が働くことを支援するという姿勢で取組を検討、導入してきた。
 また、取組の導入プロセスでは、社会保険労務士、北海道労働局担当者との就業規則変更に関する事前相談を行い、スムースな制度導入に向けた支援を受けた。就業規則は長らく改定していなかったため、今回の制度導入に際して、幅広い見直しを行うこととなった。この点は、従業員の働き方の実態に即した支援を行っていくうえでも、よりこまめな改定を行っていくことが望ましいと感じている。


3.効果と課題、今後の運用方針

◆責任ある立場への登用で積極性アップ。職場全体のモチベーションアップにも効果あり。

 平成29年1月より検討を開始し、導入検討6ヶ月で制度運用の目処が得られた。事業収益等の企業活動そのものへの直接的な効果はまだ明確には現れていない。
 取組の効果に関しては、主に従業員の仕事への姿勢の面で変化を感じているところ。特に、若者と女性が積極的に役割分担に参加し、責任ある立場を自発的に受容してくれるようになった点で、大きな手応えを感じている。
 また、研修受講によるスキルアップや資格取得による処遇改善によって、必ずしも制度の主要なターゲットとはなっていなかった職員のモチベーションアップも見られ、職場全体の活性化に効果が見られている。

◆正社員化、働き方の多様化を経営の工夫で進めていく。

 正社員転換制度の導入にともない、実際の転換支援を実施中であり、今後他の制度と併せて人材の定着・育成に向けた相乗効果が発揮されることが期待される。また、現在、パート職員の賃金テーブルを構築し、評価制度とともに運用を行っている。賃金テーブルは現在のところ別立てとなっているが、将来的にはパート職員の賃金テーブルと正職員の賃金テーブルの整合をはかり、正社員転換制度等の一層の活用を促していきたい。
 現在多くの取組を矢継ぎ早に導入していることや正社員転換の進展などによる労務費の増加分を生産性向上によってカバーしていける体制作り、経営計画が必要と認識している。人材需要に応え、正社員化を進めることで発生する労務費を経営の工夫によって成長につなげていくことは、企業として正しいあり方であると考えている。需要の拡大が続く介護・福祉関連産業にあって、企業は業界を支える人材を確保・育成していく責任があると考えている。
 今後は、高齢者、障害者も含めて労働時間を多様化し、各自が働ける分野で、能力を発揮していってもらえるようにしていきたい。


4.活躍する従業員の声

本部(経理担当)
松浦 美由紀さん

年代 30代 性別 女性
勤続年数
キャリアアップの過程 経理のプロとして、子育てとの両立のためパート職員の雇用形態で入社。
経理担当としてやりがいを持って勤務してきたが、より責任のある立場で、安定して仕事に向き合いたいと考え、正職員転換制度に応募。

◆経理のプロとして。正職員化で安定と自信を持って積極的に仕事に取り組む。

 平成29年8月までパート職員として勤務。現在、夫、子ども(3歳)とともに暮らす。勤務時間は9時から17時で残業はほとんど無し。現在の業務は本部での経理を担当。
 新卒で就職後、前職まで一貫して経理担当を務めてきた松浦さん。進幸のパート職員の募集を目にした際も経理担当ということで希望する仕事内容であったことが応募の決め手に。また、まだ小さいお子さんの子育てとの両立を図る上で、法人に保育園が併設されていることも進幸を勤務先に選ぶ後押しになったとのこと。
 入社後は希望通り、経理業務を担当しており、「やりたい仕事をきちんと出来ている」と感じているそう。パート職員として勤務する中で、会社が正職員への転換制度を検討していることを聞き、平成29年度の正職員転換を希望した。これまでも仕事の内容などにはやりがいを感じていたが、雇用形態が正社員に転換することで、安定感が得られるとともに自信を持って仕事に取り組んでいけるようになるのではないかと考えたとのこと。
 会社側も、松浦さんのこれまでの勤務内容や、今後も安定して働いていって欲しいという希望を持っており、正職員転換の候補となった。
 松浦さんは、正職員化の後も仕事の量や内容は大きく変わるとは考えていないが、より大きな責任感と積極性をもって仕事に取り組んでいけるようになると考えている。