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事例57 株式会社白虎

事例 57

株式会社白虎
正社員転換、定期健診受診、社会保険加入により、コンビニエンスストアで働く非正規従業員の身分や生活の安定と向上を推進

出典)株式会社セブン&アイ・ホールディングス提供


会社設立年 2012年
本社所在地 福島県会津若松市門田町堤沢字下村5
業種 小売業
正社員数
(2017年12月16日現在)
6名
非正規雇用労働者数
(2017年12月16日現在)
パート・アルバイト12名
*女性8名、男性4名
*学生3名、20代3名、30代2名、40代2名、50代2名
資本金 300万円
売上高
取組概要 <背景>
・法人化と人手不足
<内容>
・正社員登用
・定期健康診断の実施
・社会保険加入
・各種マニュアル整備
<効果・結果>
・従業員の意識向上
・従業員数の増加
・離職者の減少
・採用コストの減少

PDFデータ

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 同社は、2006年にコンビニエンスストアのフランチャイズに加盟し、会津若松駅前にコンビニを開店。2012年に同社を設立し、法人化した。
 同社代表(オーナー)は、地方首長の家系に生まれながら、決められたレールの上を歩みたくないという思いから、自衛隊、国会議員事務所、民間企業での勤務を経て、コンビニ経営の世界に入った。フランチャイズの仕組みを活用して、自分のマネジメントがどこまで通じるかを試したかったという。現在、業績は好調に推移している。
 やっぱり「人」という意識から、従業員一人ひとりをみつめ、大事にする。正規・非正規の区別なく、従業員の生活向上に向けた諸施策に取り組む。

1.取組の背景

◆法人化と人手不足

 同社は、2006年にコンビニエンスストアのフランチャイズ加盟店として創業し、2012年に同社を設立し、法人化した。事業が安定するまでは、正社員を雇うことができなかった。同社オーナーは、それまでがんばってきてくれた非正規従業員に対し、待遇面で少しでもよくしてあげたい、小さな環境で一生懸命やっている人を大切にしたい、という思いを強く抱いていた。
 また、同社が経営するコンビニは、駅前という立地上、酔っ払いや無断駐車(1日数十台)が多く、暴行事件などトラブル対応が大変な状況にある。その一方で、経営に余裕がなく、従業員の賃金をあげることができない。このため、なかなか人が定着しなかった。2011年の東日本大震災後は、一時的に経済が潤い、地域の人があえて働こうとしなくなったことも、人手不足に影響した。
 こうした中で、同社では、2012年の法人化を契機に、従業員の定着に向け、賃金アップや福利厚生充実にますます力を入れることとした。フランチャイズ加盟店ではあるが、法人を立ち上げたことで、自社で就業規則等を整備し、雇用管理改善をできるようになったことも大きかった。


2.取組の内容①(正社員登用)

◆収入安定と意識向上を目的に正規転換

 一つには、非正規従業員から正社員への転換制度を創設した。2015年9月、パートタイマー等就業規則に正規雇用への転換制度を規定し、2016年度に2人について正社員転換を実施した。
 従業員の固定給化による収入の安定と、身分の安定による意識の向上が目的である。正社員になると、賃金に加えて賞与が支給され、社会保険にも加入できる。実際に働く日時は、週5日、1日8時間をもとに、毎日顔をあわせながら様子をみて、本人に希望を聞きながら決める。
 正規雇用労働者への転換にあたっては、試験は実施しない。適性の見極めは非正規従業員の頃から行い、日常の業務状態を把握することで試験は不要との認識である。同社では、年1回、非正規も含めて、評価面談を行う。業務内容を区切り、それぞれの業務の実施可否を把握する確認表等を用いて、自己評価と上長評価を行い、その差をみる。その上で、両者の方向性を統一するとともに、評価を賃金等に反映する。従業員に、自分のがんばりで利益が上がった分を、自分にも還元されていることを認識してもらう。同時に、従業員に細かい収支は説明しないが、収益がこの水準を下回ると雇用に影響するなど、最低ラインを示すようにしている。


3.取組の内容②(処遇改善)

◆定期健康診断の実施

 また、同社では、非正規従業員の福利厚生充実として、定期健康診断を会社負担により年1回行い、健康管理を講じる。4~5年前から実施していたが、2015年9月にパートタイマー等就業規則に健康診断制度を規定し、以後、制度に沿って毎年行っている。
 非正規従業員12名のうち、学生3名を除く9名全員が、正規雇用労働者と同様の健康診断を受診する。同社が独自に、近くにあるクリニックと提携し実施。約2時間の健診で、検査内容はクリニックが設定する。毎年10月~11月に、インフルエンザの予防接種(会社負担)とセットで受診するようにしている。
 従業員が健康を害すと、シフトに影響する。コンビニエンスストアでは、24時間365日どこが欠けてもダメなので、従業員の健康管理に尽力する。

◆社会保険加入


出典)株式会社白虎提供

 同社では、法人化とともに、社会保険に加入した。非正規従業員も社会保険に加入し、賃金+社会保険+有給休暇の三本柱で処遇する。
 同社で働く非正規従業員の中には大卒者もいて、学歴にかなった処遇をしたいと考える。働く者の地位や身分を高めたい。その一つとして社会保険に入れたい。そのために法人化を急いだという面もある。
 同社では、非正規従業員に1年間の育児休業を取得させ、雇用保険による育児給付金も支給した。


4.取組の内容③(その他)

◆各種マニュアル整備

 その他、同社では非正規従業員の働きやすい環境づくりとして、様々な業務マニュアルを作成している。会社が作って従業員に提供するのではなく、従業員が自分達で作り上げたところが特徴的である。瞬停・停電や万引き・強盗・火災等のトラブル対応マニュアル、クレーム対応手順などを整備する。それぞれのマニュアルには、事態が生じた際の確認事項、オーナーや関係機関等への連絡の順番と連絡先(電話番号)、対応すべきことと留意点・配慮点等がきめ細かに記載されている。


5.取組の効果、今後の運用方針

◆従業員の意識向上

 同社では、正社員登用の取組は業務効率アップ、人事労務管理の安定、従業員の意欲・意識とスキル向上などの効果をあげている。健康診断も、対象者は喜び、大事にされていると感じ、感謝して仕事に対する意識が上がってきた。
 その他、取組の効果として、従業員数の増加、離職者の減少、採用コストの減少などがあげられる。


出典)株式会社白虎提供



◆今後もコンビニ業界のイメージ刷新に向けて

 今後も継続していきたいと考えるが、課題は、諸々の取組を実施するための資金が十分でないことである。キャリアアップ助成金が諸制度導入の後押しとなったが、今後も助成金を活用しながら取組を推進していく方針である。
 周辺地域の同フランチャイズ店には、こうした助成金等の情報が届いていないようであり、社会保険労務士や行政機関等からの情報提供や支援が求められる。そうしていくことで、コンビニ業界全体のイメージ刷新が必要と、オーナーは考える。現状、コンビニの多くはフランチャイズで経営される。フランチャイズ経営は、何も知らない者が参入できるというメリットがある一方で、収益構造上の難しさもある。コンビニは、30代40代男性の就業率が低い。家族を養える収入がない業種という状況を根づかせたことが背景にある。この30年間のコンビニに対するイメージを崩すべく、同社は今後も従業員の雇用改善に取り組む。


6.活躍する従業員の声

伊関 恵さん

年代 30代 性別 女性
勤続年数 5年
キャリアアップの過程 2013年9月、社会との接点を持ちたいと思い、夜勤のパートとして働き始める。
その後、時間帯の責任者に就任。
2015年9月に正社員に転換。パートや学生バイトを教育しながら、夜間業務を続ける。

◆自分も子どもも社会の中でもまれたかった

 伊関さんは、2013年9月に同社に入社した。5年間仕事のブランクがあり、社会との接点を欠いていることに危機感を感じていた。同居する実母が、仕事をしていたことも影響した。また、子どもが子どもの中でもまれるよう、幼稚園ではなく保育園に入れたかったことも、働き始めた理由である。
 仕事の内容については、車の運転ができないと事務職は難しいと、ハローワークに言われた。徒歩で通える範囲で働きたいと思っていたところ、同社のコンビニを利用していて求人を見て、応募した。それまで2社で働いた経験があるが、子どもに何かあっても、働いていると日中に抜けるのは難しいと思った。それで、急な子どもの病気にも対応できるよう、夜間にパートで働くことにした。子どもはいったん寝つくと寝ていてくれるし、夜であれば夫が仕事から帰っているので、子どもをみてくれる。週3日、22:00~6:00の勤務でスタートした。
 業務は「夜勤」と「発注」を担当。夜勤とは、夜間に行う納品、検品、陳列、什器(フライ器具等)の清掃などの仕事で、2:00に飲料、3:00にフローズン、5:00にパンの納品があり、続いて一連の作業を行う。発注は、アイス、フライ、コーヒーのカップ等の発注を行う。夜間といえども、朝5時に発着するバスの乗客や、夜12時~1時には単身でホテルに泊まるお客さんが来るので、接客をしながら他の業務を行うこととなる。

◆家庭の事情で正社員転換を希望


出典)株式会社白虎提供

 その後は順調に進んだ。以前に飲食店の経理や小売業の販売で働いたことがあるので、レジ業務はさほど苦労なくできた。むしろ業種が違うのでワクワク感が強く、外とのつながりがうれしかった。忙しいお店で忙しく働くことができた。他のパートの人が辞めていき、上が空くことで、パートとして時間帯の責任者にもなった。
 2015年9月に正社員に転換した。当時、夫が自己都合で退職したため、社会保険に加入したく、時間を増やして正社員になれないかオーナーに相談した。同社で社員の求人をしていたので、転換の可能性があると思い相談したところ、すぐに正社員に転換してもらえることになった。
 正社員への転換にともない、週のうち5日は21:30~6:15の8時間労働、1日は夜中短時間勤務(3時間)に勤務形態が変更となった。担当業務は、発注の取扱商品は変わったが、基本、変わらなかった。転換後は正社員としてパートのフォローもすることになった。パートには、高校生から高齢者までいる。全体をみながら、段取りを考えて、指示を出す。転換後は、責任が違うことを自覚して、以前よりもまわりをみるようになった。

◆日々勉強

 お客さんや一緒に働く人など、いろいろな人がいるので難しい。自分の考えを伝えられる人、伝えられない人、受け止め方や反応が違う。対人関係の仕事なので、いかにお客さんに失礼なくうまくまわし、いかにパートの人達にわかりやすく教えるか。「日々勉強」と、伊関さんは言う。
 接客は楽しい。常連と話すのは楽しい。パートや学生バイトに対しては、教育期間の中で、実績を積んで仕込んでいく。自分の経験を教えるのは難しく、言葉の使い方が一番大事である。仕事がゆっくりな人は何が遅いか、本人に自己分析してもらい、自分も分析する。他の人の仕事をやりながら、仕事をするのが好き。どうやったら、うまくやれるか、こうしたらよいなど、いろいろ考えながら働く。年配の人にも、仕事のやり方を提案する。
 特に夜中は従業員が2人なので、コミュニケーションをとりながら進める必要がある。お客さんが多いと、納品の作業ができない。「状況は毎日違い、これが面白い、楽しい。忙しく、ヒマな時がないのがいい」と、伊関さんは語る。