日時:平成30年2月9日(金)14:00~16:30
場所:TKP東京駅大手町カンファレンスセンター ホール22F
【第1部】基調講演
「多様な働き方」に関する有識者による講演

少子高齢化による生産年齢人口の減少に伴い、企業が人材確保についてどのように対応するべきか、検討しなければならない時代となったと述べられました。
また、少子高齢化によって、介護のための離職が増えてきており、特に40代、50代の一定のキャリアを持つ社員が、介護や病気のために流出し続けていると、ご説明されました。さらに企業の人手不足の解消に向けた必要な対応として、「働く場所」、「働く時間」、「働く人」を限定しない環境の整備が必要であり、これまでの常識を見直す時代になりつつあるとお話されました。
加えて非正規雇用から正社員転換のキャリアパスを明確にすることで、従業員のモチベーションの引き上げと正社員転換に成功した事例を紹介して頂きました。
最後に「勤務地限定社員」、「職務限定社員」、「勤務時間限定社員」など、多様な正社員制度によって、「安心して働ける」、「ライフプランに応じて働ける」ことができ、モチベーションの向上、更には人材育成と人材の定着につながると締めくくられました。
【第2部】事例紹介
多様な働き方に関して取組を実施している企業の事例紹介
「We believe in people! 多様で安心できる働き方をめざして」

同社は、設立時より「より快適な毎日を、より多くの方々に。」というビジョンを掲げています。スウェーデン発祥の会社で地理的に日照時間が短く多くの時間を家で過ごす背景があり、「家が世界で一番大事な場所」という創始者の想いがあること、「子どもが世界で一番大切な存在」という想いが経営理念、人事理念に反映されているとのことです。お客様はもちろん、従業員も快適に過ごせる取り組みを紹介していただきました。
具体的な取組みについて、同一労働同一賃金の制度導入、パートタイマーの正社員化、福利厚生の利用が出来ること、全従業員が応募できる社内公募制度の導入などがありました。また、店舗に「ダーギス」と呼ばれる企業内託児所の設立など、全社員が安心して長く働ける環境があることを紹介していただきました。
「非正規社員から正社員への転換」

まず、飲食業界における同社の人員構成の特徴(男女比率、正社員比率等)や正社員に求められるもの等についてお話がありました。正規社員だけでなく、非正規社員(アルバイト)の募集も難しく採用コストも年々高まっている現状もお話いただきました。
同社の非正規社員の動機形成の様々な取組についてご紹介がありました。フランチャイズ本部におけるモチベーションアップのための技能コンテストの開催やパートナーフォーラム、アルバイト勉強会、店内ミーティング、アルバイト年間表彰等を実施されています。そして、非正規社員から正規社員への入社経路、非正規から正規への登用のメリット、非正規から正規への登用の課題と対策、今後の対策について述べられました。
【第3部】パネルディスカッション

会場からの各社への質問
パネルディスカッションでは、会場からの多くの質疑を通して議論を深めました。会場からは、正社員化によるコストについて、派遣社員から正社員に転換した際の収入の変化について、目標設定がどのように決められるのかについて、質問が出されました。
正社員化による経営コスト
イケア・ジャパンの岩崎氏より、全社員の正社員化に伴い大きなコストがかかったが、正社員化を実行する2年前からプランを立てて役員の理解を得たことと、そもそも人へのコストは投資であるという考えが社内風土にあったと、お話されました。
高い女性幹部の割合について
イケア・ジャパンの岩崎氏より、社長が女性ということもあり、女性幹部のロールモデルが多いことと、配属される職種において性差がないこと、正社員一人ひとりにリーダーシップが求められる社内文化であることが、高い女性幹部の割合の要因ではないかと、お話されました。
労働契約法改正に伴う2018年4月の対応
太陽エンタープライズの小林氏より、非正規社員の労働条件を大きく変えるつもりはないが、現在20名の有期の契約社員については無期の契約社員に転換することを考えていると、お話されました。
その他の質問
その他に人材育成や社内公募制度、短日勤務についても会場から質問が出され、多岐にわたる議論が展開されました。
文責:開催事務局