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事例09 株式会社りそな銀行

事例 09

株式会社りそな銀行
スマート社員制度の導入により、キャリア形成の中断を防ぐとともに、非正規雇用労働者のキャリアアップの間口を拡げた

会社設立年 2003年(大阪野村銀行創業:1918年)
本社所在地 〒541-0051 大阪府大阪市中央区備後町2丁目2番1号
業種 金融業、保険業
正社員数 9,306名(男性 4,937名、女性 4,369名)
非正規雇用労働者数 4,154名(男性 413名、女性 3,741名) 
資本金 2,799億円
売上高 5,092億円(2019年)
【2020年10月現在】

PDFデータ

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社員数


沿革

1918年 大阪市に株式会社大阪野村銀行設立
1948年 商号を株式会社大和銀行に変更
2002年 法人名をりそなグループに変更
2003年 株式会社あさひ銀行と合併し、商号を株式会社りそな銀行に変更
2009年 りそな信託銀行株式会社と合併
2010年 株式会社りそなホールディングス及び株式会社りそな銀行の東京本社を東京 都江東区木場に移転

 大和銀行とあさひ銀行の合併により誕生したりそな銀行は、3大メガバンクに次ぐ規模を有し、旧野村銀行時代より一貫して信託併営を継続している唯一の都市銀行である


1.社員体系

 当社の社員体系は、大きく正社員とパートナー社員(非正規雇用労働者)に分かれており、正社員のうちスマート社員は、職務または勤務時間が限定された社員である。(付表1「社員体系」参照)
 パートナー社員含む全ての社員は、勤務地が限定される「本拠エリア制度」が適用されている。本拠エリア制度とは、勤務地を「関東エリア」または「関西エリア」のいずれかを入社2年目に選択する制度である。入社3年目以降は選択したエリアで勤務し、基本的にはエリアの変更はない。
 また、当社では、転居を伴わない店舗への異動・配置を基本としており、勤務先は、自宅から2時間以内で通勤できる店舗に限られている。
 ただし、人事面談において承諾を得た社員には、転居を伴う異動を提案する場合がある。

付表1 社員体系



2.「多様な社員」制度について

 当社では、職務限定スマート社員制度(職務限定社員制度)と勤務時間限定スマート社員制度(勤務時間限定社員制度)を導入している。

(1)職務限定スマート社員

 ①制度の概要

 パートナー社員から社員へ登用された者が職務限定スマート社員に該当する。パートナー社員のときに従事していた業務を引き続き担当し、勤務時間はフルタイムとなる。実績を積み、将来的には社員へのキャリアアップを希望する者が利用できる制度である。

 ②制度導入のきっかけ

 職務限定スマート社員制度を導入する前は、パートナー社員から社員への登用制度のみがあった。職務が限定されているパートナー社員から、突然職務の限定のない社員への登用となるため、社員転換を躊躇するパートナー社員が多くいた。そこで、職務限定スマート社員という雇用管理区分を設けることで、社員転換への道を段階的なものとし、社員登用の間口を拡げられる制度を導入した。

(2)勤務時間限定社員制度(勤務時間限定スマート社員)

 ①制度の概要

 1日の所定労働時間7時間45分に対して、15分刻みで1日の勤務時間を設定し勤務する社員である。1日の所定労働時間を最大6時間まで短縮することができ、転換の対象となるのは、原則小学校3年生までの子どもを育てる社員と、法律で定められた期間を上回って長期的に介護をしている社員に限定されており、その他の事由については、例外的なものは個別に判断し制度の利用を認める場合がある。

 ②制度導入のきっかけ

 勤務時間限定スマート社員制度を導入する前は、育児や介護でフルタイムでの勤務が困難となる社員は、一度パートナー社員に転換させることで離職を防いでいた。しかし、それでは職務内容や責任、手当やインセンティブの部分等で社員との差が大きくなってしまうことや、一度パートナーに転換することによってキャリア形成が中断されることが課題であった。
 そこで、家庭の事情で時間に制約のある社員にも、仕事でかかる負荷を下げつつ待遇を可能な限り下げずに働いてもらうため、制度を導入した。

(3)社員とスマート社員の待遇の違いや昇進について

 業務を限定することや時間外勤務の義務がなくなることについての評価は人それぞれ異なることから、当社では、この水準が良いという正解はないと考えている。納得感のある水準については、業務変更を伴う異動の頻度や時間外勤務の実績を踏まえつつ決定する一方で、業務や勤務時間が限定されていても、活躍しているスマート社員には賞与(業績インセンティブ)の査定において社員と同様の水準が支給できるような仕組みを用意している。
 なお、スマート社員制度を利用したことで降格することはない。例えば、支店長のまま勤務時間スマート社員に転換することも可能である。(付表2「社員の待遇」参照)

付表2 社員の待遇


(4)雇用管理区分転換ルール

 ①社員から勤務時間限定スマート社員・パートナー社員への転換

 転換を希望する月の前々月の15日までに申請書類を提出すれば、該当月の1日より制度利用が可能となる。
 なお、職務限定スマート社員はキャリアアップのための雇用管理区分と位置づけられているため、社員から職務限定スマート社員への転換は認めていない。

 ②スマート社員(育児、介護で社員から転換していたスマート社員)から社員への転換

 転換を希望する月の前々月の15日までに申請書類を提出することで、社員に戻ることができる

 ③パートナー社員からスマート社員への登用、スマート社員から社員への登用

 上司の推薦と本人の希望があれば、転換を希望する前の年度の12月末までに申請が可能であり、適性検査、筆記試験、面接の結果で転換可否が決定する。実際に転換するのは翌年度の4月1日からである。

(5)制度導入における課題と工夫点

 ①職務限定スマート社員制度

 職務限定スマート社員制度の導入に当たっては、適材適所の人事配置を実現することで、労働者個々の能力を発揮してもらうことが重要と考えた。そのため、本人の能力や希望に合わせた多様な働き方を念頭に、パートナー社員の意向についてヒアリングするとともに、そのパートナー社員の職務内容が適正かどうか、他の職務に転換可能かどうかをそのパートナー社員の上司に聞き取りを行うことで、パートナー社員が無理なく社員として働けるような制度とした。

 ②勤務時間限定スマート社員制度

 支店長をはじめとして、様々な職種から20名ほどの女性が集まり、人事制度やダイバーシティ推進のための意見をまとめ会長や社長に直接提言するグループ「Women's Council」を2005年に発足した。その中で、社員の多様な意見を取り入れながら制度設計を行った。

(6)取り組みの結果

 現在、職務限定スマート社員は約140名、勤務時間限定スマート社員は約160名いる。また、2015年には初の女性役員が誕生しており、2020年には女性管理職比率が30%に達した。これは、勤務時間限定スマート社員制度を利用することによって、女性社員が、育児等を理由に自身のキャリア形成を中断することなく働き続けてきたことの効果であると考えている。

3.他の「多様な働き方」ついて

 ・営業店社員への在宅勤務の導入

 これまで本部社員のみを対象としていた在宅勤務を、今年度より営業店の社員も対象として、制度を整えた。

4.今後の課題

 最初から完璧な人事制度を目指してしまっては一歩を踏み出せず、逆に組織として停滞してしまう恐れもある。そうならないためにも、「まずは、やってみる」ということを心がけている。やってみた後に、社員の意見を聞きつつ、そこからまた制度を変えていくという臨機応変さ、柔軟さも必要だと考える。
 制度があっても利用ができなければ意味がない。働きやすい環境の整備のため、社内での研修、eラーニング、対外的にはホームページなどを利用して、引き続き、社長を含めた経営トップによる制度への理解や利用促進のメッセージ発信に努めていく。