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事例48 株式会社ニトリホールディングス

事例 48

株式会社ニトリホールディングス
勤務地限定正社員(エリア限定総合職)をはじめとする多様な働き方を導入し、離職率の低下、女性活躍を推進させ、更なる成長を目指し躍進中。

創業年 1967年
会社設立年 1972年
本社所在地 〒001-0907 北海道札幌市北区新琴似七条一丁目2番39号
業種 卸売業、小売業
正社員数 5,400名(男性3,794名、女性1,606名)
非正規雇用労働者数 27,710名(男性8,104名、女性19,606名)
資本金 133億7,000万円 ※2020年2月期連結
売上高 6,422億円
【2020年10月21日時点】

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社員数


沿革

1967年12月 「似鳥家具店」を創業
1972年 3月 「似鳥家具卸センター株式会社」を設立
1986年 7月 社名を「株式会社ニトリ」に変更し店名を「ホームファニシング ニトリ」に変更
1993年 3月 本州第1号店「勝田店」を茨城県ひたちなか市にオープン
2002年10月 東京証券取引所一部に株式を上場
2004年 9月 インターネット通販(ニトリネット)への参入開始
2006年 4月 東京都北区に東京本部併設の「赤羽店」オープン
2014年11月 製品安全対策優良企業表彰において、2年連続で「商務流通保安審議官賞」を受賞
2015年10月 400店舗達成
2020年10月 636店舗を展開中

 創業者である似鳥昭雄が1967年12月に札幌市内で「似鳥家具店」を創業したところから始まる当社は、「住まいの豊かさを世界の人々に提供する。」というロマン(=企業理念)実現に向け店舗数を着実に増やし、現在では国内外あわせて636 店舗を展開している。(※2021年10月末時点)

 ニトリグループの最大の特色は、商品の企画開発から原材料調達、工場生産、品質検査、物流、販売までの全てを自社でプロデュースし、かつその全域に関わるITシステムも一括管理していることである。「製造物流IT小売業」という垂直統合型のサプライチェーンを統制・管理する、独自のビジネスモデルを構築している。販売する商品の約90%が自社開発輸入品・PB(プライベートブランド)であり、低価格、適正な品質、さらにコーディネーションや機能の充実を図るため、独自の商品開発とサプライチェーンの更なる高度化に取り組んでいる。そのため、社内に多種多様な職種があることが特長である。今後は、海外への更なる出店、新規事業への拡大も推し進めながら、ロマンとビジョン(=長期目標)の達成に向けて、人材の育成と多様な人材が活躍できる環境づくりにさらに注力していく。


1.社員体系

 当社では正規雇用の総合職社員、エリア限定総合職社員と非正規雇用労働者の契約社員、パート社員に分類される。


2.多様な正社員制度について

 勤務地限定正社員(エリア限定総合職社員)への転換を制度化している

(1)勤務地限定正社員制度の概要

 この制度は、育児や介護、配偶者の仕事の都合といった個人の与件・事情により、転居ができなくなった総合職社員が地域を限定して働ける制度である。さらに契約社員、パート社員からのステップアップとしても活用される。

(2)多様な正社員制度に対する考え

 製造物流IT小売業である当社では、サプライチェーン全般に関する幅広い業務知識と、1つ1つの領域においての高い専門性が必要である。また、郊外のロードサイド店舗からスタートし、現在は百貨店や駅前への出店、さらにアパレル事業へも進出するなど、近年は小売業としての業態も多様化しており、人材に対するニーズも多様化している。

「多様な働き方」導入支援セミナー資料より転載


 その多様な人材の育成を支える、当社の人材教育の要が「配転教育」である。システムエンジニアやデザイナーなどの一部の専門職を除き、3~5年ごとに部門・部署を変わる配置転換システムを全社員のキャリア形成の根幹に位置づけ、実施している。
 このシステムは、それぞれの社員が配置転換によって経験した専門性を横につなぎ、その社員独自の専門性を構築することを目的とする。社員一人ひとりが唯一無二の“スペシャリスト(=エキスパート・ゼネラリスト)”として成長し、世界で活躍する人材へと成長することを目指す教育システムである。
 このような一人ひとりのキャリアの可能性を広げる配転教育は、一見すると限定正社員制度とは相反するように見えるが、人材の個別の働き方に関する要請に柔軟に応えられるよう、その土台には安心して働ける勤務地限定正社員制度(エリア限定総合職社員)をはじめ、変形労働時間制やその他の多様な働き方が制度化されている。

(3)制度導入の経緯

 配転教育を実行するにあたり、ニトリの社員(現在の総合職社員)は、転勤を伴う部署の異動がキャリア形成の過程で当然に発生し得る。そのため、一時的に転勤が難しい状況になった場合でも安心して働き続けられるように、2008年に社員に対して「ホームタウン制度」を新設した。これは、社員が結婚・育児・介護などの事由・要件にあわせて一定期間、希望地域で転居を伴わない働き方を選択できる制度である。出店拡大に伴って、転勤先が全国へと拡大するなか、ライフイベント等で一時的に転勤が困難な社員が増加したため、人材の定着を企図して導入した。3年から最長5年間は転居を伴う異動の対象から除外される。
 更に、2012年には、新たに「エリア限定総合職社員制度」を新設した。ホームタウン制度は適用期間に限りがあるため、ライフイベントを理由とする退職を完全に防ぐことはできなかった。そこで、社内の雇用形態を整理し、「総合職社員」「エリア限定総合職社員」「契約社員」「パート・アルバイト社員」の四種に分類した。総合職社員は全ての事業所で勤務が可能であり、無制限な働き方を想定しているのに対し、エリア限定総合職社員は勤務地域に限定がある働き方。そして、契約社員とパート社員は地域の他に契約期間の定めがある働き方となっている。

雇用形態の変遷

(4)雇用管理区分転換ルール

 現在制度上は、四つの雇用形態間のあらゆる転換も可能である。総合職社員がエリア限定総合職社員へ転換する場合の条件としては、自宅から2時間以内で通勤可能な事業所が5か所以上あること、入社1年以上経過していることである。
 また、総合職社員からそのほかの社員群への転換は書類の申請のみで転換が可能である。一方で、契約社員、パート社員から社員への転換は書類審査、採用試験、面接が課せられている。

※参照)社員群転換制度について
エリア限定総合職への転換は下記に示す社員群転換制度のもと運営されている。
この制度は、個人のライフステージ、ワークライフバランスの変化に応じ、正非正規 雇用労働者の間をフレキシブルに結ぶ制度である。


「多様な働き方」導入支援セミナー資料より転載

(5)総合職社員とエリア限定総合職社員の処遇の違いと昇進の上限設定

 これらの雇用形態については、公平性の維持の観点から、処遇も異なるように設計されている。総合職社員とエリア限定総合職社員の処遇については、全国転勤の負担を考慮して、年収に差が出る設計となっている。また、エリア限定総合職社員については、就任できる職位に上限が設定されている。契約社員とパート社員については、退職金がない点が他の雇用形態と大きく異なる他、賃金の考え方もそれぞれ独自に設計されている。

雇用形態と処遇一覧

(6)制度導入の工夫点

 制度を作るだけではなく、作った制度をいかに活用してもらうかという点に重点を置き、制度設計だけでなくその運用方法までを構築。その一環として、制度を使う側の立場から考えた「ワークライフバランスのための制度BOOK」という冊子を毎年発行して全社員に配布し、育児や介護など、ライフイベントごとに社員が活用できる制度や働き方の選択肢を明示している。
 また、制度の利用率を上げ、働きやすい環境をつくるためには、従業員一人ひとりが異なる事情を抱えていることを理解し、多様な働き方を許容する企業文化を醸成することが重要と考え、啓蒙活動にも力を入れている。例えば、社内報やオウンドメディア「ニトリン」で制度を活用して働く様々な従業員の紹介や、外部講師を招いてのダイバーシティセミナーの開催を通じ、社員へ多様な働き方の周知および理解の促進を行っている。

(7)取組の結果

 エリア限定総合職の利用者数は2016年から2020年までの過去5年間で67人から192人(男6:女性4)まで増大した。
 また、この制度を含め後述する多様な正社員制度全体の成果として、ホームファッション商品のバイヤーに従事する女性の人数が3年間で約3倍に増え、バイヤーの過半数を女性が占めることとなった。家の中を整え、飾るものである家具・インテリア用品は、一般に家族の中でも女性の意見や決定権が強い傾向にあり、女性の意見や感性は商品開発や店舗運営において重要な意味を持っている。



3.他の「多様な働き方」制度について

 当社ではこのエリア限定総合職社員制度以外にも様々な制度を設け、多様な働き方を実現している。

・短時間勤務制度

 妊娠中の女性社員、小学生以下の子供と同居して養育する社員、要介護状態にある家族を介護する社員を対象に、1日5時間以上15分刻みで労働時間を設定できる制度。
 2016年の制度導入時から2020年までの間に86名から189名まで利用者が増大した。

・変形労働時間制

 部署関係なく、全ての従業員が変形労働時間制(シフト制)で働いており、実働6時間~10時間の間で調整が可能である。

・勤務間インターバル制度

 当社で働く全ての社員に対して、勤務終了後から翌日の業務開始までの間に、10時間以上の休息時間を設けることを定めている。2019年4月より法令で努力義務として制定された「勤務間インタ-バル制度」を、当社では2017年から導入していた。
 短時間勤務制度、変形労働時間制と組み合わせることで、自身の業務や家族の状況にあわせて出勤・退勤時間を日ごとに調整し、個人の状況に合わせたより自由度の高い勤務を可能としている。

・私傷病特別有給休暇

 失効した有給休暇を最大120日積み立てでき、妊娠期~子供が1歳6ヶ月になるまで使用することができる制度。

・出産・育児支援休暇

 保有する有給休暇がなくなった際に、妊娠・育児の支援として最大50日の特別有給休暇が付与される制度。

・日祝託児費用補助制度

 日曜・祝日に出勤するために、託児サービスにかかった実費について、子供1人につき、年間25万円を上限として会社が費用負担する制度。