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事例64 株式会社ストライプインターナショナル

事例 64

株式会社ストライプインターナショナル
会社に関わる全ての人々は「もうひとつの家族(セカンドファミリー)」である。
セカンドファミリーの幸せを考え、多様な働き方、より働き続けやすい環境づくりを進める。

出典)株式会社ストライプインターナショナル提供


会社設立年 1995年2月
本社所在地 岡山県岡山市北区幸町2-8
業種 アパレルの製造小売業、飲食事業、ホテル運営
正社員数 3,437名(2018年1月現在)
-総合職569名
-地域限定職2,868名(エリア指定転勤も可)
-うち、時短勤務
●7時間勤務:48名
●6時間勤務:449名
●5時間勤務:18名
●4時間勤務:50名
非正規雇用労働者数 パートアルバイト(PA) 約2,000名(2018年1月現在)
資本金 1億円
売上高 2017年度実績1,330億円(グループ連結)
取組概要 <背景>
・働き手の価値観やライフスタイルの多様化への対応
・長く働き続けやすい環境づくりを積極的に推進
<内容>
・時短勤務制度、地域限定職の導入・整備
・パートアルバイト(PA)から正社員への登用
・地域限定職を対象としたエリア指定転勤制度を新設
・「イクメン推進休暇」、「大切な人休暇」など独自の制度による環境整備
<効果・結果>
・採用競争力の高まり、人材の確保
・従業員の安心感向上、人材の定着
・女性活躍推進

PDFデータ

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 同社は、1994年に創業し、翌年2月に有限会社クロスカンパニーとして岡山県に設立された。1999年、後の主力ブランドとなる「earth music&ecology」の立ち上げを機にSPA(speciality store retailer of private label apparel、製造小売)へ転換し、2014年には直営店舗1,000店舗を突破した。2016年3月株式会社ストライプインターナショナルに社名変更し、現在に至る。
 経営理念として、「セカンドファミリー」を掲げ、「仕事上の関係よりも親密で、信頼し合える、家族の次に大切な関係、それがセカンドファミリー。その関係を社員同士、関係各社、お客様へも広げ続けます。」というメッセージを社員に伝え、仕事上の関係よりも親密で信頼し合える対象を、親しみを込めて「セカンドファミリー」と呼んでいる。セカンドファミリーの活動として、社員の平均年齢が20代であることをふまえ、ストライプインターナショナルの社員専用アプリ「amily」や社員向けにウェブ限定の企業発本格バラエティ番組「ストライプTV」(動画版社内報)を提供する等の独自の取組を行っている。
 同社では、アパレル業界No.1の「終身雇用」の仕組みを目指し、様々な制度を実施しており、 2018年に、繊研新聞社が全国の服飾専門学校の約1,300人の学生(19年3月卒業予定)を対象に実施した調査では、「就職を希望する」企業、「注目している」企業の両部門で1位を獲得した。仕事と家庭との両立が出来る、働きやすいアパレル企業を目指し、日々取組を進めている。

1.取組の背景

◆「全員正社員」から多様な働き方へ

 創業当時、アパレル業界ではアルバイト9割、正社員1割の採用が通常であり、特にアルバイトの場合、商品知識や十分な接客スキルを持たないまま、店頭に立つケースが多かった。そのため、同社では、全社員商品知識やスキルを持つべしとして、創業以来「全員正社員」にこだわり、人材確保と育成に努めてきた。
 しかし昨今、就職希望者から「正社員ではなく、まずはアルバイトとして会社の動向を知りたい」、「正社員は責任が重いイメージがある」、「趣味と両立して流動的な働き方をしたい」などの働き方に対する多様な要望が増えていることから、2015年に全員正社員制度を廃止し、正社員かパートアルバイト(以下「PA」と言う)を選択できるよう制度改革を行った。その上で、より個人のライフスタイルに合った働き方が選べるよう、勤務時間や勤務地を限定した働き方や、「イクメン推進休暇」、「大切な人休暇」など独自の制度整備を進め、働きやすい環境作りを進めている。


2.取組の内容①(多様な働き方)

◆バリエーション豊かな短時間勤務制度

 同社では、2014年から短時間正社員制度を導入した。通常は、8時間のフルタイム勤務であるが、短時間勤務の場合、4時間、5時間、6時間、7時間の区分の中から勤務時間を選択できる。短時間勤務であっても、処遇は8時間勤務と同等である。勤務時間の都合上、例えば店舗の閉店準備ができない等の業務調整は必要であるが、基本的な業務範囲や責務が限定されたり、キャリアアップが阻害されたりすることはない。
 時短勤務への切り替えは、月や期を区切りとして行われる。短時間勤務への切り替えに際し、試験や研修等の制約はない。本人の希望や事情に基づき、上長を通じて申請し、切り替えが可能である。
 2011年の東日本大震災時に多くの社員から要望があったことから、以前は、入社時から4時間もしくは6時間勤務を選択できる制度もあった。現在は、8時間勤務で働いた後、短時間勤務に切り替えるケースが増えたため、はじめから短時間正社員としての採用は行っていない。

◆地域限定職・総合職が選択できる

 正社員は、「地域限定職」または「総合職」を選択することができる。総合職は全国転勤があり、地域限定職は、拠点から勤務可能範囲内に限った勤務となる。
 全国転勤か勤務可能範囲かという2択であったが、社員から「全国は難しいが、地域限定職よりも広い範囲で働きたい」という要望が増えたことを受け、2018年3月から「エリア指定転勤制度」を新設した。「エリア指定転勤制度」を利用することで、地域限定職でも指定地域に幅を広げて転勤を経験することができる。地域限定職の対象地域は個人の事情に合わせて調整されるため、厳密な定義はない。例えば、東京在住であるが、静岡にいる実母の様子が気になるため、静岡勤務も検討したいというケースでは、エリア指定転勤制度を利用して東京と静岡を対象エリアとして働くことができる。
 地域限定職か総合職かの選択や、エリア指定転勤制度の利用有無については、入社後も変更が可能である。
 総合職の場合、全国転勤に係わる手当が付くが、その点を除き、地域限定職、総合職の選択により、福利厚生や処遇に違いが生じることはない。管理職の場合、出張が生じることもあるため、本人の希望や事情によるが、地域限定職、総合職の選択によって、昇進昇格の上限に差が出ることはない。

3.取組の内容②(正社員への登用)

◆PAから正社員への登用

 多様な働き方の実現と短時間正社員制度によるシフト調整を目的として、2015年よりPAの雇用形態による採用を開始した。
 また、全店舗を対象に月の平均残業時間を管理し、一定の時間を超えると管理職にアラートが届くような仕組みを構築する等、残業0に向けて取り組んでいる。
 PAに対しても一定の品質・レベルを求めているが、振り返りノートを用いた先輩スタッフによるデイリーのフィードバックや、月に1度の店舗責任者による面談、人事部主催の研修(学生PA研修、ベーシック研修、ステップアップ研修等。参加は任意)などの、PAに対する手厚いサポートにより、PAの成長を手助けしている。
 PAは時給換算で給与が支払われ、地域によって時給の設定は異なる。昇給、減給、契約の継続可否等の決定に際しては、工程試験が実施される。工程試験では、接客、電話応対、在庫管理などの各工程が明確に示されており、その工程別に品質や効率性などに問題ないか、店舗責任者が専用のジャッジシートを用いて評価を行う。その結果によって、昇給、減給、契約の継続可否等が決定される。
 PAから正社員への切り替えが可能となっており、PAとしての採用段階や、月に一度実施される店舗責任者との面談などで、定期的に周知と意思確認を行っている。PA自ら切り替えの希望を店舗責任者に伝える場合もある。正社員への切り替えにあたっては、工程クリアの他に、店舗責任者による日々の働きぶりを評価したジャッジシートによる判定と面談が必須となる。それらをクリアすることができれば、まずは「インターン」として店舗で働き、その後正式に正社員に転換される。正社員転換時は、原則8時間勤務での採用となり、その後時短勤務の選択ができる。
 2018年9月時点では、これまでに約2,000名のPAのうち約200名が正社員に切り替えている。

4.取組の内容③(その他)

◆イクメン推進休暇、大切な人休暇など独自の制度

 同社では、定期的に従業員に対し満足度調査を実施しており、現制度への不満や新しい提案は、フリーコメントとして記載することができる。すべての回答は社長によって確認され、制度改革・整備に活かされている。同社の制度のなかにはこの従業員満足度調査の結果を受けて作られたものもあり、現在では下記のような多種多様な制度がある。(各制度取得条件あり)

表 1 正社員に対する制度の一例



5.取組の効果、今後の運用方針

◆就職を希望する企業、注目している企業No.1に輝く

 同社の取組は、人材確保の観点でも効果を発揮している。
 2018年、繊研新聞社が全国の服飾専門学校の約1,300人の学生(19年3月卒業予定)を対象に実施した調査では、「就職を希望する」企業、「注目している」企業の両部門で1位を獲得し、応募者増につながったことで採用も順調に進捗している。また、アパレル業界では新卒の離職率が高い傾向にある中、同社の離職率は低い傾向にあり、社員のエンゲージメント度数も上がり、社員の定着につながっている。

◆育児中でも希望があればフルタイム勤務へ

 産休明けに復職後、時短勤務を選択する正社員が多い中、最近では、「残業を撤廃したのであれば、育児中であっても8時間勤務が可能ではないか」という意見も出てきている。やむなく短時間勤務を選択した場合、8時間勤務への不安を取り払い、8時間勤務への転換が促せるよう、準備を進めている。

6.活躍する従業員の声

earth music&ecology
むさし村山 スタッフ
田邊 千菜美さん

年代 20代 性別 女性
勤続年数 11か月
キャリアアップの過程 2017年11月にPAとして働き始め、2018年5月に正社員へと転換した。
現在は、むさし村山店でスタッフとして働いている。

◆PAから正社員へ

 福利厚生が整っていることと、接客を仕事にしたいという想いから、同社に応募し、2017年にPAとして採用された。会社が行っているベーシック研修等を受講し、店舗で技術を磨きながら、正社員への転換に挑戦。工程試験とジャッジシートによる判定の結果、2018年5月に正社員への転換が叶い、現在に至る。現在は販売員として技術を磨いているが、ゆくゆくは研修を行う側となり、自身の経験やスキルを後輩に継承したいと考えている。
 正社員転換後、業務以外の場面における変化として、手当や休暇がPAの時よりもさらに充実したことが挙げられる。ライフスタイルをお客様に提案するライフスタイルアドバイザーとして、自身のライフスタイルを充実させる時間が確保できるようになった。また、一人暮らし手当などの福利厚生が充実していることも、正社員として働き続けるモチベーションになっている。働き続けやすいよう会社が独自の制度を整備していることから、結婚、出産、子育てなどライフスタイルに変化があっても働き続けているモデルが身近におり、自身の働き続けたいという希望や可能性につながっている。

Hotel koe tokyo
Guest relations officer
ブラソフ ビクトルさん

年代 20代 性別 男性
勤続年数 9か月
キャリアアップの過程 2018年1月にPAとして働き始め、2018年6月に正社員へと転換した。現在は、ホテル併設型グローバル旗艦店Hotel koe tokyoでGuest relations officerとして働いている。

◆さらなるおもてなしを追求するためPAとして転職

 以前は大阪のビジネスホテルに勤務していた。ゲストへのおもてなしをさらに追求したいという想いを抱えていた時期に、知人からhotel koé Tokyoを紹介され、2018年1月に同社に転職した。
 PAとして入社後、PA研修やシスター/ブラザー制度(OJT)により、基本的な接客の仕方やいろはについて学んだ。前職の経験から「分かったつもり」になっていた内容もあったため、非常に有意義であったという。また、経験者に対して研修を行わない企業も多く、同社では経験者に対しても丁寧な育成プログラムを用意していると感じた。

◆PAから正社員へ転換、いずれはマネージャー職へ

 正社員への登用制度は、採用時の説明会ですでに聞いており、入社後も会社の情報連絡ツールによって、詳細な連絡を確認することができた。PAとして働きながら、「接客6工程」の研修の受講など正社員として必要なスキルの獲得と向上のための努力を重ね、2018年6月に正社員に転換することができた。アルバイトから正社員への転換は簡単ではないと考えていたが、同社は転換の道がしっかりと示されており、また日々の取組姿勢から評価してくれる点がよいと感じた。
 今後はPRやイベントの管理などにも携わりつつ、ゆくゆくは後輩育成、指導を行うマネージャー職へのキャリアアップを目指したいと考えている。同ホテルでは外国からのお客様も多く、彼らから「日本のホテルといえはhotel koé」と思ってもらえるような存在となれるよう、今後も業務に取り組みたい。