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事例66 東建コーポレーション株式会社

事例 66

東建コーポレーション株式会社
職務内容と勤務エリアに着目した正社員区分を構築。成果主義による待遇と、 キャリア観に合わせた勤務の両立を実現。

出典)東建コーポレーション株式会社提供資料より転載


会社設立年 1976年
本社所在地 愛知県名古屋市中区丸の内2丁目1番33号 東建本社丸の内ビル
業種 建設業
正社員数 5,128名(男性4,103名、女性1,025名)(2018年12月1日現在)
非正規雇用労働者数 パート社員262名
嘱託雇用者102名(2018年12月1日現在)
資本金 48億円
営業利益 196億7千万円(2018年4月30日現在)
取組概要 <背景>
・2006年に正社員の雇用区分を総合職/地域特定総合職A・B・C/事務職に変更。
・職務内容と勤務エリアに着目した雇用区分へ見直したことで、社内のキャリアパスを明確化。
<内容>
・地域特定総合職と総合職については、相互に転換が可能。
・事務職からは、地域特定総合職を経て総合職への転換が可能。
・パート社員及び派遣社員については、勤務実績から地域特定総合職及び事務職への転換が可能。
<効果・結果>
・パート社員及び派遣社員からは、毎年平均10名程度が正社員へ転換。
・正社員の雇用区分の変更においては、自身のキャリア観と職務に応じた勤務エリアによる選択が可能。

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 東建コーポレーション株式会社は1974年に愛知県刈谷市にて、土地活用の専門会社「東名商事」として創業。1976年に株式会社東名商事を設立した。1992年には現在の社名である「東建コーポレーション株式会社」に商号を変更した。
 東建コーポレーショングループは、土地所有者向けのリース建築事業を主要業務とする「東建コーポレーション株式会社」を中核として、住宅建材総合メーカーである「ナスラック株式会社」、土地オーナーの資金面をサポートする「東建リースファンド」、グループ全体の企業広告・ツール(映像・写真・印刷物等)制作を担う「東通エィジェンシー」と、リゾート経営(東建多度CC、東建塩河CCの2ゴルフ場運営)に関する会社から構成される企業グループである。


 創業以来の土地オーナー向けの建築リース事業(営業、住宅建築・施工、仲介管理)の枠を超えて、バリアフリー仕様の建築商品開発や都市部での高級賃貸マンション事業の展開等、まちづくり・住まいづくりに関わる総合的な建設企業として、日々新たなビジネスの創出に取り組んでいる。

出典)東建コーポレーション株式会社提供資料より転載

1.取組の背景

◆2006年に正社員の雇用区分を整理

 同社では、創業以来、
 ●総合職(全国転勤が伴う無限定な働き方)
 ●準総合職(遠隔地への転居を伴わない異動に限定した地域限定型)
 ●事務職(定型業務を中心とした一般事務としての業務)
の三区分で正社員を採用・管理してきた。しかし、雇用区分ごとの男女比率に着目すると、準総合職と事務職に女性が集中し、男女雇用機会均等法の趣旨に合致していない実態があった。
 総合職は全国転勤を条件としているが、法令に準拠した雇用区分の仕組みと実態の是正に向けて、2006年に正社員の雇用区分のうち、準総合職を、
 ●地域特定総合職A(営業職のみに適用、事業ブロック内での人事異動あり)
 ●地域特定総合職B(全職種に適用、事業ブロック内での人事異動あり)
 ●地域特定総合職C(営業職以外の職種に適用、自宅から通える範囲での勤務)
の3つに分類し、これまでの総合職と事務職を含めた5分類とした。

2.取組の内容(正社員の雇用区分における転換制度)

◆職種により該当する雇用区分が異なる

 同社では2018年現在、正社員の職種としては、大きく分けて、

  • 営業職(土地所有者とのリース契約の開拓・締結を担当)
  • 建築職/設計職(建築はマンション・アパート・店舗などのリース建築物件の施工・管理、設計は積算・構造計算・意匠設計、新商品の開発等を担当)
  • 仲介職(リース建築物の入居者確保及び土地所有者との仲介、管理物件の維持管理を担当)
  • 本社スタッフ職(管理局、企画、Web制作、総務・人事・経理等のバックオフィスを担当)
  • 事務職(各部における事務全般業務担当)
の5職種に区分され、職種により該当する雇用区分が異なっている。また、非正規雇用については、契約期間6か月の有期パート社員と、定年後再雇用の嘱託社員がいるほか、派遣社員が勤務している。
 職種と雇用区分、及び嘱託・パート・派遣社員の働き方を整理すると、以下の通りである。


社員区分一覧

(委託業者にて作成)


 正社員の処遇については、基本給その他手当を含む月額給与・賞与・退職金が支給される。
 水準としては、総合職が最も高い。地域特定総合職Aについては、総合職と比較した際に、月額の固定給は同一であるが、賞与及び退職金の算定基礎となる基本給の金額がやや少なく、調整手当によって月額給与が同一となるように支給されている。
 総合職>地域特定総合職A>地域特定総合職B>地域特定総合職C>事務職の順で、金額が高くなっており、それは人事異動の範囲や担当業務の職務に着目した設計としているためである。
 職種で処遇を比較した場合、営業職については、契約物件の着工・完工という営業成果に応じて歩合給が支給される仕組みのため、年収平均では営業職が最も高給となっている。

◆営業職の成果主義に基づく雇用区分転換

 営業部においては成果給制度を取り入れており、契約実績に伴う社内格付(職階)の見直しが適時実施されている。
 営業職については、創業者の、「営業こそが会社の中核である」「営業については、成果に応じた処遇を徹底する」との方針の下で、頻繁かつ柔軟な転換が実施されている。このため、営業実績と勤務エリアによって適時雇用区分の変更が可能となっている。具体的には、総合職、地域特定職A、地域特定職Bの雇用区分間において柔軟な転換がなされる。
 転換の基準として、①総合職には現場での企画・判断・折衝能力が必要とされるため、職務経験から管理職や各分野の専門スタッフとして広範囲に勤務することを期待する。②地域特定職Aは、総合職と同じ能力を有しながら、勤務エリアに制限がある場合に適用される。③地域特定職Bは、自己の職務を遂行し、その職務経験から各分野の専門スタッフとして勤務する。
 雇用形態の転換は、営業職の場合、受注実績と着工実績に基づき、人事管理部が要件を満たす候補者リストをまとめる。勤務エリア変更が伴う総合職への転換では、さらに勤務エリアの変更に関する本人同意を得た上、人事審査委員会で協議を行ない、決定する。
 さらに他職種と比較して、営業部のみの特徴的な点は、営業実績評価に基づく「格付(職階)の変更」が随時実施されている点である。
 契約物件の着工実績が社内基準に達した場合、あるいは逆に未受注期間が長くなった場合は、本人格付の上下動が発表され、格付変更に伴って職階手当も変動する。これは、「営業部自動昇降格制度」として運用され、場合によっては、雇用区分の変更に及ぶケースもある。

◆その他の職種の雇用区分の転換

 建築職・設計職、及び仲介職に関する雇用区分の転換については、公認資格、社内資格取得等の要件を定めるとともに、転勤発生時にはその範囲に応じて雇用区分が変更される制度となっている。逆に、個人事情によって勤務エリアを限定したい場合については、本人申請に基づき雇用区分の変更が可能である。申請は本人が起案し、部門長を経由して人事管理部へ提出する。
 また、本社スタッフは原則として総合職として採用されているが、事務職については、本社勤務者の場合、経歴や担当職務によって、地域特定総合職C及び地域特定総合職B並びに総合職への転換が可能である。総合職から地域特定総合職への転換は、その背景として主に「本人事情」があるため、社員のキャリア観によって勤務範囲の選択(縮小)が可能である。自身のライフスタイルとの兼ね合いから地域特定総合職への転換を希望するケースがある。
 上記職種の雇用形態の転換は、営業職とは異なり、会社の期が変更される5月に発表となるため、各職種から雇用区分の変更を希望する候補者リストを人事管理部がまとめ、人事審査委員会で協議し、決定する。

3.取組内容(非正規雇用から正社員への転換)

 同社では、優秀な非正規雇用社員の戦力化及び社員のノウハウ伝承の観点から、非正規雇用として勤務するパート社員、及び派遣社員からの正社員転換を実施している。
 同社のパート社員及び派遣社員は、仲介業務に従事する者は地域特定総合職Bか地域特定総合職Cとして、また事務に従事する者は事務職に転換が可能である。

 パート社員から正社員への転換については、
 ●パート社員としての勤務歴
 ●担当業務の評価
 ●必要とされる公認資格(職種によって建築士、宅地建物取引士等)の保有状況
を踏まえて、本人希望を確認の上で面接を実施し、正社員転換を決定している。
 転換の実施時期については、各部門の人員事情、パート契約の満了時期と、該当するパート社員の転換希望意思を踏まえて、審査を行っている。
 派遣社員から正社員への転換についても、各部門の人員事情、派遣契約の満了時期を考慮し、派遣社員としての勤務履歴・業務評価を確認の上、本人への直接雇用に対する希望確認を行なう。派遣会社と正社員採用に関する調整後、所属部門長、人事部門が採用審査(実績評価、面接)を実施して直接雇用(正社員採用)に変更となる。
 いずれの雇用転換も、正社員と同等の事務能力を有し、パートや派遣から雇用区分を切り替えるにふさわしいと判断される場合に転換を実施している。仮に派遣社員が正社員への採用審査に合格できなかった際は、従来の派遣契約を継続するか、あるいは派遣契約の期間満了によって終了する。

4.効果と課題、今後の運用方針

 非正規雇用社員からの「正社員登用制度」については、パート社員・派遣社員を含めて例年10名程度の転換実績がある。全国の店舗運営を支えているのは、長期間勤務する優秀なパート社員という実態もあるため、人手不足が深刻化する近年において、正社員への転換は今後も重要な経営課題となっている。
 今後の課題としては、事務職のキャリアパスの設計である。総合職と事務職で業務内容が大きく異なっているため、事務職が同一部署・同一業務を継続し、キャリアステップできていないという課題認識がある。事務職から地域特定総合職への転換をしやすいルールを導入し、意欲ある事務職を他の職種の正社員として登用することも検討していく必要がある。

5.活躍する従業員の声

人事管理部 人事教育課
Kさん

年代 20代 性別 男性
勤続年数 7年
キャリアアップの過程 2012年新卒採用(地域特定総合職B)で入社。営業職として、鳥取県の事業所に勤務。
2014年総合職に転換。
2017年採用担当業務への配置転換に伴い、本社へ異動。新卒採用に従事し、現在に至る。

入社3年目に総合職に転換

 2012年に新卒採用で営業職として入社したKさん。就職活動時から「営業」という業務に興味を抱き、営業職を中心に入社試験を受けていたという。入社の決め手は会社説明会での、「成果に応じて給与がアップする」「土日のどちらかは休める」という説明だったと話す。説明会の時点から営業職の難しさや厳しさは感じていたが、社会人のキャリア初期に難しい業務に従事することで、早い成長が期待できることも魅力に感じた。
 入社後は鳥取県内の事業所に配属。地域特定総合職Bのため、全国15ブロック(配属当時)のうち、東中国ブロック(入社当時)での勤務となったが、出身が兵庫県のため、転居を伴う配属となった。営業職として勤務する中で、入社3年目に営業実績から総合職に転換。総合職への転換を打診された際には、全国転勤になる点は気にならず、処遇がアップすることを魅力に感じたと話す。転換後も引き続き鳥取県内の事業所で営業として勤務を継続していた。

◆転換よりも人事異動の方が大きな変化だった

 転機が訪れたのは6年目。営業職から本社スタッフへと配置転換があり、人事管理部員として新卒採用に従事することになった。入社6年目の5月より名古屋市内の本社へ転勤となった。
 採用業務自体には以前から興味があったが、打診があった時は驚いたと話すKさん。入社3年目まで実施されるフォローアップ研修で、人事担当者に対して採用業務に興味を持っていることは伝えていたが、希望は叶わないと思っていたためである。本社への転勤が伴う配置転換ではあったが、ずっと興味があった業務ということで迷いはなかった。
 異動後は業務が大きく変わったと感じている。特に大きな違いは、コミュニケーション相手とその内容である。営業の時は、60代を中心とした地主様が相手であったのに対し、採用業務は20代前半の大学生が中心。自社に興味を持つ学生に対して、会社の「顔」として制度や仕組み、業務のやりがいを説明する業務が中心となったことも大きな変化だった。
 地域特定総合職Bから総合職への転換よりも、配置転換・異動の方が大きな変化だったとKさんは感じている。転勤も伴ったため、覚えることや人間関係も一度リセットされたが、人事管理部には自分が新卒採用で入社した時の採用担当者が引き続き在籍していたため、相談しやすい相手が近くにいたことで乗り越えられた。

◆将来的なキャリアパスを見据える

 2018年現在、新卒採用業務に従事して2年目となったKさん。現在は採用業務を極めたいと感じつつ、長期的なキャリアパスについてはまだ決めかねていると話す。採用業務と営業職、どちらもやりがいがあり、極めていきたい気持ちがある一方で、最終的なキャリアは異なるためである。
 本社スタッフとして業務を続ける場合には、全社の管理業務に関与する立場としてキャリアを歩むのに対し、営業職となれば将来的には事業所長等、組織の責任者として営業部を引っ張る立場を目指すことになる。どちらの業務にも魅力を感じるKさんとしては、もう少し今の採用業務も経験した後で決定したいと考えている。

人事管理部 Tさん

年代 20代 性別 女性
勤続年数 1年
キャリアアップの過程 2017年派遣社員として、勤務開始。新卒採用に従事。
2018年4月より正社員として入社。(地域特定総合職C)派遣社員時代から引き続いて新卒採用に従事し、現在に至る。

◆勤務開始後半年で正社員登用を打診

 2017年4月に派遣社員として勤務を開始したTさん。当時から一貫して新卒採用の支援に従事しており、選考の処理作業や学生への連絡対応等の業務を行なっていたと話す。
 正社員転換の打診があったのは2017年9月。勤務を開始して半年程度経過した時点だった。正社員としての勤務経験がなく、漠然と「正社員」として安定して働きたいと考えていたTさんではあったが、突然の打診に驚き、すぐには決断ができなかった。正社員になりたいという希望はある一方で、責任が増えることへの不安があったためである。
 転換を決意した理由は、周囲の正社員からの助言だった。Tさんが悩みを相談したところ、給与などの処遇が改善することなどの「正社員」のメリットを伝えてくれた他、「Tさんならできる」「不安がる必要はない」といった後押しがあったという。
 その後、人事責任者との面接を経て、派遣開始から1年後に当たる2018年4月に地域特定総合職Cとして入社し、正社員としてのキャリアを開始した。

◆将来的なキャリアはこれから

 正社員としての勤務開始後、仕事に対する取り組み方に変化があった。業務内容は同じであっても、自分で判断する内容が増えたことで、やりがいを感じる場面が増えたという。また、業務全体の進行状況を判断して残業する場面も増えたため、残業時間も増えた。
 将来的なキャリアプランはこれから考えていきたいと感じているが、新卒採用業務に引き続き関わっていきたい。2018年現在、採用業務担当も2年目に入っており、今後は業務の効率化やPDCAサイクルの実施による生産性向上に取り組みたいと考えている。