事例紹介

ホーム 事例紹介 事例68 ダイレックス株式会社

  • 卸売業、小売業
  • 1,000人~
  • 正社員への転換~正社員へ~
  • 正社員への転換~多様な正社員へ~
  • 職務を限定した正社員
  • 勤務地を限定した正社員

事例68 ダイレックス株式会社

事例68

ダイレックス株式会社
社員ニーズに応える三種の正社員制度とパートタイム労働者の登用で優秀な人材の定着を図る。

会社設立年 2007年7月
本社所在地 佐賀県佐賀市高木瀬町大字長瀬930番地
業種 卸売業、小売業(ディスカウントストア)
正社員数 1089名(男性918名、女性171名)(2018年3月31日現在)
非正規雇用労働者数 準社員 91名 (男性24名、女性67名)(2018年3月31日現在)
パートタイム労働者6031名(男性987名、女性5044名)(2018年3月31日現在)
資本金 33億6945万円(2018年3月期)
売上高 1985億円(2018年3月期)
取組概要 <背景>
・ 事業成長に伴う勤務地の広域化に対応しつつ、人材の確保・定着に向けた雇用条件の充実を図ることで優秀な人材の確保定着を進める必要があった。
<内容>
・ 正社員を主として異動範囲の違いから全国転勤有り、地方ブロック内の転居を伴う異動有り、自宅通勤圏内のみの異動の三区分からの選択制とした。
・ パートタイム労働者の無期社員化、正社員転換へのキャリアパスを設定するとともに、各雇用区分間の職務、処遇の整合を図った。
<効果・結果>
・ 社員の安心感の向上。
・ 異動を理由とする退職の減少。
・ 定着・採用における競争力の強化。

PDFデータ

Get ADOBE READER

PDFファイルを見るためには、Adobe Readerというソフトが必要です。
Adobe Readerは無料で配布されていますので、左記のアイコンをクリックしてダウンロードしてください。

 ダイレックス株式会社は日用雑貨、化粧雑貨、衣料品、テープ用品、スポーツ用品、食料品、文房具、日曜大工用品、ペット用品、カー用品、家庭園芸用品、家電製品、薬品、酒類、灯油などの販売を行うディスカウントストア事業を営む企業である。
 同社は1988年に株式会社サガカメラとして設立、1991年に商号変更、2004年にはJASDAQ証券取引所に株式上場など成長を果たしてきたサンクスジャパン株式会社を、2007年にグループ内に設立されたMBOによる親会社として、2008年に吸収合併したものである。さらに事業基盤強化のため、2009年には大手ドラッグストアチェーンである株式会社サンドラッグのグループ企業となった。
 佐賀市で誕生した同社は、創業以来の経営理念である「夢を持ち豊かに生きよう」を合言葉に、現在では九州一円のほか、中国、四国、近畿、関東、信越・北陸地域にも店舗を展開している。

1.取組の背景

◆店舗網拡大と勤務地の広域化

 会社の成長に伴い、ハイペースな店舗展開、創業地から全国への展開が図られるようになり、転居を伴う異動が増加していったのと並行して、従業員個々の家庭の事情に合わせた柔軟な働き方を実現すべく、2016年より多様な働き方の導入に向けた取組を開始した。
 同社は佐賀県で創業したが、現在は新潟県や長野県といった信越地方や群馬県、埼玉県といった関東地方にも店舗を展開しており、今後も店舗数を増加させる計画を持つ。一定のペースで出店を続けるためには、既存店からスタッフを転勤させるとともに、地元人材の採用・活用も進めていく必要がある点から、地域に根差した働き方を確立していく必要があったものである。
 こうした背景から、同社では2016年より全国転勤のある「ナショナル社員」、「リージョナル社員」、「エリア社員」の三区分での雇用を開始した。また、パートタイム労働者の社員(無期)転換も進めている。

2.取組の内容

◆従業員の事情に合わせた三種の雇用区分

 2016年より正社員を対象に勤務地域および昇格に限定のある雇用区分を導入した。現在の正社員雇用区分は、いわゆる総合職である「ナショナル社員」、異動範囲が地方ブロックに限定される「リージョナル社員」、勤務地が自宅からの通勤圏内に限定される「エリア社員」からなる。これらの雇用区分は採用時に選択可能であるほか、入社後の転換も可能となっている。
 各区分の処遇等は表1のとおり。


表1 各雇用区分の概要


 現在の各区分の社員数は以下のとおりである。

表1 正社員における雇用区分別構成


 社員区分の転換は、限定の強い方向(「ナショナル社員」→「リージョナル社員」→「エリア社員」)への転換を希望する際は、毎年5月に実施する希望聞き取りの際に申し出を行うことで、各店舗等での上長面談を経て実施される。一方、限定を緩める方向(「エリア社員」→「リージョナル社員」→「ナショナル社員」)の場合は、随時転換を可能としている。出店計画やそれに基づく配員計画との関係から、地域限定を強める場合の転換は申し出、実施のタイミングを統一している。

◆パートタイム労働者の準社員・正社員転換制度

 同社では、店舗を中心に多くのパートタイム労働者が活躍している。同社はパートタイム労働者を貴重な戦力であると考えており、本人の希望に基づく社員転換制度を設けている。
 同社の社員転換制度では、パートタイム労働者から「準社員」と呼ばれる転勤の無い無期雇用社員に転換、その後本人の希望により正社員(「ナショナル社員」「リージョナル社員」「エリア社員」)への転換が可能となる。
 転換にあたっては、パートタイム労働者のうち社員転換を希望する者の申し出を基に、直属の上長が「昇級申請書」を作成し、上席者に提出することで転換プロセスが開始される。店舗を例にとると、パートタイム労働者からの申し出を受け、過去の実績評価等一定の基準を踏まえて店長が申請書を作成し、地域店舗を統括するエリア長に提出。エリア長の審査を経て、広域店舗の統括を行うブロック長の審査の後、本部人事部門で転換が決定される。
 準社員は正社員一般職層と同等の職務を担当することとされ、処遇も正社員一般職層と同等(基本給等)とされる。ただし、準社員は転換時の店舗からの転勤を免除されるほか、昇格がない点が正社員との違いとなる。

図1 正社員転換プロセス(イメージ)


 パートタイム労働者から準社員への転換実績は2017年に40名、2018年に50名程度である。準社員から正社員への転換は2017年91名、2018年に51名であった。

3.その他の取組

◆キャリアアップを支える取組

 同社では、基礎的なスキルを身に着けるための教育研修については、雇用区分による差を設けず、職務に応じた内容を提供することとしている。現在は、教育担当の専任部門を設け、能力開発に全社的に注力していく体制を整えたところである。
 能力開発に関して、業種柄特徴的な仕組みとして、「登録販売者資格取得支援」が挙げられる。同社の店舗では医薬品の取扱があることから、一般用医薬品(第2類・第3類に限る)販売を行うための専門資格である「登録販売者」資格の取得を従業員に勧めている。資格取得のための講座やテキスト等の支援を行っており、これらの支援の内容は、パートタイム労働者を含むすべての雇用区分において同じである。

4.効果と課題、今後の運用方針

◆定着と社員の安心感向上

 店舗数を拡大している状況であり、採用率や離職率等の数値とこれまでの取組の直接的な関係性は十分に分析できていないものの、多様な働き方の選択肢を用意することで社員の安心感の向上に繋がっている。また、離職者の離職理由として転居不可、家庭との両立困難等の理由がほとんど見られなくなっていることから、社員の定着に一定の効果を発揮していると考えられる。
 また、三~四年前頃より、新卒採用者の地元志向の強まりが感じられていることもあり、異動範囲の限定が可能な同社の制度は採用競争力への寄与も期待されている。

◆雇用区分間の比率・異動範囲設定の検討

 同社の正社員雇用区分のうち、現在は「リージョナル社員」の比率が約4.8%と低くなっている。この背景には、リージョナル社員の異動範囲が、転居を伴う転勤を含む地方ブロック単位となっている点が挙げられる。比率が低い点については、地方ブロック単位の異動は地域限定としては範囲が広すぎるのではないかと考えており、今後、より社員ニーズに沿った領域設定を検討していく可能性がある。

◆社員ニーズに沿った柔軟性のある働き方の実現へ

 同社では引き続き店舗網を拡大していく計画であり、今後も社会背景として人材不足状況は続くとみている。このため、人材の確保は当然ながら、人材の定着に一層注力していく方針である。そのため、多様な働き方ニーズに応えられる柔軟性のある働き方の実現を目指して、今後も制度の検討を続けていく予定である。