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事例70 株式会社ミスターマックス・ホールディングス

事例70

株式会社ミスターマックス・ホールディングス
社員がもっと安心して長く働き続けられるように、ライフスタイルの変化に伴い、勤務地を限定して働きたいというニーズに応える

出典)株式会社ミスターマックス・ホールディングス提供資料より転載


会社設立年 1950年
本社所在地 福岡市東区松田1丁目5番7号
業種 小売業
正社員数 738名(男性 642名、女性 96名)
うち、エリア職57名(男性 40名、女性17名)
(2019年2月現在)
非正規雇用労働者数 パートタイマー・アルバイト 3342人(2019年2月現在)
資本金 10,229,738千円(2018年2月28日現在)
営業収益 118,324百万円(2018年2月28日現在)
取組概要 <背景>
・転居を伴う転勤が難しい従業員が働き続けられるための選択肢や、パートタイマーが正社員に転換する際の転居を伴う転勤なしの働き方の選択肢の必要性があった。
<内容>
・エリア職制度の導入。
・正社員転換制度の導入。
<効果・結果>
・ライフイベントを理由とした離職の防止
・やる気のあるパートタイマーのキャリアアップ、パートタイマーの戦力化

PDFデータ

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 <沿革・企業概要>
 同社は、1950年に有限会社平野ラジオ電気商会として創立された後、1961年に組織変更により平野電機株式会社に、1980年にはさらに株式会社ミスターマックスに社名を変更した。1978年のMrMax長住店開店を皮切りに、ディスカウントストアに軸足を置いた事業形態に変化し、1994年に東証一部に上場を果たした。2017年9月に持株会社体制に移行した際、小売事業部門を子会社化し、現在に至る。
 57店舗(関東地区10店舗、中国地区9店舗、九州地区38店舗)のディスカウントストアを展開しており、オンライン店舗も運営している(2019年2月現在)。出店については、形態を多様化しており、「ディスカウントストア」を基本フォーマットに、2,000坪クラスの大型店、1,200坪クラスの中型店、700坪クラスの小型店のディスカウントストアの3つのタイプと、従来のディスカウントストアの品揃えに生鮮食品を加えた「スーパーセンター」を合わせた、4つの店舗モデルの構築を進めている。
 「普段の暮らしをより豊かに、より便利に、より楽しく」を経営理念とする同社では、「価値ある安さ」をお客様に提供するべく、特に購買頻度の高い、普段の暮らしに直結する商品について、年間を通じて低価格を実現する取組を行っている。低価格商品群「POWER PRICE商品」、自社開発「プライベート・ブランド商品」は、その代表的な方策となっている。

1.取組の背景

◆正社員登用につながるエリア職制度の実施

 同社の正社員(総合職)には、教育上の観点から、全国の様々な事業所での経験を積むことを目的として、3~4年に1回転勤がある。しかし、個別の事情により転居を伴う転勤が難しい正社員がいることや、30~40代の女性が多いパートタイマーには転居を伴う転勤が正社員(総合職)転換へのハードルの1つとなっていたことから、新しい柔軟な働き方について検討する必要があった。
 このような背景から、同社は、従業員のキャリアアップを目的として、2011年からの正社員転換制度の導入に先立ち、2010年10月にエリア職制度を導入した。

2.取組の内容

◆多様な働き方としての「エリア職」制度の導入

 同社のエリア職は、勤務場所を従業員の自宅から60分以内で通勤できる範囲内としており、転居を伴わない配置転換はあり得る。賃金体系に関しては、総合職に比して、給与を9割、賞与を8割と設定している。昇進・昇格については、責任等級3級(本社では係長職、店舗では店長の一つ下の次長)までのポジションに就くことができる。
 エリア職から総合職のコース転換については、随時受け付けており、レポート提出、人事評価および面接等の結果を勘案して転換の可否が審査される。コース転換については、最大2回まで転換可能な制度としている。


総合職とエリア職について

出典)株式会社ミスターマックス・ホールディングス提供資料より転載


◆パートタイマーのキャリアアップのための「正社員登用制度」の導入

 2011年に導入した正社員転換では、最初はパートタイマーからエリア職への転換に限定して実施していたが、2016年より、応募時にエリア職か総合職かを選択できるように制度を変えた。
 正社員への転換への応募の際に提出する応募シートには、上長が推薦のコメントを記載する。応募時期は年2回あり、応募資格は、原則としてパート・キャリア・パス・プランにおいてクルーⅢ以上のランクであることが求められる。ただし、入社間もないパートタイマーでも上長推薦があれば応募できる場合がある。人事部との一次面接と適性検査を同日に受ける。その結果をもって、役員面接を行い、合格すれば正社員に転換できる。正社員転換への応募は、本人の希望のほか、上長からの声掛けにより応募を促す場合もある。
 面接の際に重視されるのは、仕事に対する理解力を前提とし、社員として今後キャリアアップしていくことに対する意欲である。その意欲を聞き出すために、面接では「仕事をする中で喜びを感じることは何か」、「お客様のためにやって良かったことは何か」等の質問をしている。

◆教育と評価、賃金が連動した制度「パート・キャリア・パス・プラン」

 パートタイマーを対象に、一人一人が自分の仕事にやりがいをもって働ける職場づくりを目的に、各人の目標に沿った教育を行い、身につけた能力によって賃金もアップしていく制度「パート・キャリア・パス・プラン」を導入している。
 同社では、パート・キャリア・パス・プランにより、個人毎に目標を決めて、教育と評価を繰り返し行う。その結果、より多くの能力を発揮し、より多くのやりがいを感じて、より多くの報酬が得られるパートタイマーの育成を図っている。

パート・キャリア・パス・プラン

出典)株式会社ミスターマックス・ホールディングス提供資料より転載


パート・キャリア・パス・プランによるキャリアアップ

出典)株式会社ミスターマックス・ホールディングス提供資料より転載


3.効果と課題、今後の運用方針

◆働き続けられる環境の実現

 近年、子育てとのバランスを取りたい、親の見まもり等の家庭の事情により転居を伴う転勤ができない従業員が年々増加しており、離職が増加するリスクがあったが、エリア職の導入により選択肢が増え、離職防止へとつながったと考えている。また、現在、学生の新卒採用は総合職のみの採用となっているが、将来的にエリア職という選択肢があるという点で、今の学生に対するアピールポイントになると考えている。
 実際の現場において、正社員登用制度の導入以降、正社員に転換した人数は想定していたほど多くはないものの、毎年パート社員から応募があり、パートタイマーにはメリットを感じてもらえている。現場の上長の立場からも、働き続けてほしいやる気のある従業員に対してキャリアアップの道筋を示すことができる良い制度となっている。

◆より柔軟な働き方を支援できる制度へ

 エリア職に関する課題としては、現行のルールでは転換の回数を2回に限っていることが挙げられる。例えば、総合職として入社し、子育てのタイミングでエリア職へと転換、再度総合職に戻ると、すでに2回転換していることから、介護などの理由でもう一度エリア職へ転換することができない。ワーク・ライフ・バランスの観点から、より柔軟な制度に向けて、今後検討していく必要があると考えている。
 パートタイマーからエリア職に転換した従業員はこれまでに57名(男性40名、女性17名)いる(2019年2月現在)。今後は、女性の応募を増やしたいと考えている。男性は20代で正社員になりたいという希望で転換を希望する従業員が一定数いる一方で、女性は、2018年現在、転換の実績としてエリア職への転換の2名に留まっている。2016年に実施したパートタイマーに対する正社員登用に関するアンケート調査では、応募しない理由としては短時間の勤務を希望していることが最も多く、そのほかには扶養の範囲内で働きたい等の声があった。そのような個々の事情はあるものの、正社員への転換のハードルが高いと感じていることが考えられるため、パートタイマーへの働きかけなどの工夫についても検討したいと考えている。

4.活躍する従業員の声

エリア職 店舗職 係員 
石田望 さん

年代 40代 性別 男性
勤続年数 25年
キャリアアップの過程 新卒で入社した後、2016年7月、入社22年目に総合職からエリア職へ転換し、現職。これまでに7店舗での勤務と本部職10年の勤務歴(転居を伴う転勤は7回)。

◆子どもの進学をきっかけにエリア職へ

 新卒で入社後、22年目に総合職(次長)からエリア職へ転換した石田さん。一番の理由は子どもの高校への進学だったという。転換前までは大分で単身赴任をしており、月に1回の自宅との往復および月に1回単身赴任先に妻が赴くというライフスタイルであった。しかし、子どもが思春期に差し掛かるタイミングで父親が家にいる必要性を感じ、総合職に戻ることを視野に入れたエリア職への転換を決断した。自宅に近い店舗へ異動したが、手取り年収はそれほど変わらなかった。そして、エリア職へ転換したことで石田さんの家事や子育て時間も増え、ライフスタイルが改善したと感じている。
 エリア職であっても、お店に必要とされる人材として力を発揮するということによるモチベーションは変わっていない。子どもの受験が終わったタイミングでまた総合職に戻って、将来的には次長になることを目指しており、それもモチベーションの一部となっているという。

◆個々の事情に応じた転換将来ビジョンの会社との共有

 石田さんのエリア職への転換は一時的な理由によるものであるが、介護などの長期的な理由でエリア職への転換を希望する人もいるため、個々の事情に応じた転換について、会社との間でコミュニケーションを密にとれる仕組みが必要だと考えている。現状の年1回の申し出のタイミングとは別に、ヒアリングシートなどを用いて、エリア職を希望する期間や理由等とともに将来的なビジョンの共有を行うとよいのではないかと感じている。

エリア職 店舗職
山﨑亜衣さん

年代 30代 性別 女性
勤続年数 4年
キャリアアップの過程 2014年にパートタイマーとして入社。入社当時から正社員を希望しており、2017年10月に正社員のエリア職へ転換し、現職。現在は育児短時間勤務を利用している。

◆責任は重くなったが、やりがいを感じて働く

 パートタイマーとして入社した当時の業務は、正社員の指示を受けながら、売り場づくりや売価の差し替えであった。正社員になってからは、自分の担当売り場以外にも、サービスカウンタ-業務、レジ管理等の仕事が増え、責任は重くなったものの、山﨑さんは日々やりがいを感じて働いているという。
 また、自身のパートタイマー時代の経験を活かし、パートタイマーの作業計画を作成してパートタイマーの指導にも当たっている。

◆育児短時間勤務希望の人が希望を持てるように

 山﨑さんは、ゆくゆくは次長職を目指したいと考えている。育児短時間勤務をしながらのキャリアアップには厳しさも多少感じているが、パートタイマーから正社員に転換して育児短時間勤務を利用する初めての例であることから、育児と正社員転換の両立を希望するパートタイマーが希望を持てるように、ロールモデルとなる働き方を見せたいと考えている。また、男性が多い職場の中で、他店舗に勤務する子育て中の社員同士が応援しあう仕組みができないかと考えている。