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事例71 株式会社マルハン

事例71

株式会社マルハン
従業員からのニーズに応えるため、幅広い社員区分を制定し、様々な価値観を持つ従業員が長期に勤続できるように取り組む

出典)株式会社マルハンよりご提供


会社設立年 1972年12月
本社所在地 東京都千代田区丸の内
業種 娯楽業
正社員数 6,054名(2018年9月現在)
グローバル正社員:4,376名
ブロック正社員:592名
ホーム正社員A:245名
ホーム正社員B:18名
グローバル正社員NEXT:12名
ホーム正社員NEXT:1名
職種限定正社員:36名
ショートタイム正社員:774名
非正規雇用労働者数 職種限定契約社員:133名
アルバイト・パートタイマー:6,179名 (2018年9月現在)
資本金 100億円(2018年9月現在)
売上高 1兆5,509億円(2018年3月期)
取組概要 <背景>
パチンコ、アミューズメント業界の特性として、人材確保が難しい、人材が定着しにくいという課題があった。

<内容>
社員区分を増やすことで、多様化する働き方へのニーズへの対応と人材確保、定着を目指す。

<効果・結果>
2018年4月より導入し、2018年6月時点での検証では200名ほどが正社員へ転換を果たした。

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 株式会社マルハンは1972年に設立し、同70年代のマイカーブームを機ととらえた郊外型パチンコ店を事業戦略の軸として、アミューズメント業界内で成長を続けてきた。1992年には、接客やサービスマナーへの注力が希薄であった同業界の常識を変えるべく、サービスマナーモデル店を立ち上げるなど、積極的な業界の改革に取り組み続け、2005年には売上高1兆円を達成し、2016年度実績では1兆6,788億円、総従業員数12,505名に至る。現在ではパチンコ事業だけではく、飲食事業、ゴルフ事業、ボウリング事業など数多くの事業を手掛けるアミューズメント企業の最大手である。

1.取組の背景

◆人材確保と定着が難しい業界特性

 以前よりパチンコ、アミューズメント業界では、その業務上の特性から人材確保が難しいとされており、例え人材を確保したとしても、サービス業としての営業時間や職場環境をはじめとした体力的な問題から、長く定着しないことが問題視されていた。パチンコ事業に限らず、飲食事業、ゴルフ事業、ボウリング事業など数多くの事業を展開するにあたり、人材確保に尽力してきた同社であったが、今後安定的に事業を維持、展開するためには、今よりも安定的な人材確保と定着が必要であり、課題であった。また従業員の増加に伴い、働き方へのニーズが年々多様化しており、人材定着の観点から、それらニーズへの対応が迫られていた。
 以上の背景から2018年4月に雇用制度の改革を行い、さまざまな正社員の社員区分を導入する等、人材確保に向けた取り組みを開始した。

1.取組の内容①(多様な正社員の在り方)

◆無期限雇用化と幅広い正社員の社員区分

 2018年4月、多様な働き方の実現と人材確保に向けて、雇用区分の見直しを実施した。具体的には、これまで正社員を「転宅(転居)転勤異動が可能な社員」と定義していたが、2018年4月からは転宅(転居)転勤の枠を取り払い、「契約期間のない社員」を正社員として再定義した。それに伴い、今まで有期雇用に限定していた契約社員、アルバイト・パートタイマーについて、無期雇用の区分を新たに設け、新たに見直された正社員の定義に基づき、正社員に転換できるように制度を改革した。2018年9月現在で制度化されている正社員の種類は表1のとおりである。さまざまな正社員の社員区分を制度化し、人材確保につなげるよう取り組みを始めている。
 制度改正の1年前から周知を行うなど積極的な正社員転換を推進し、2018年6月時点では約200名が正社員へ転換した。


表1 制度化されている正社員と概要

1 エリアについては、全国を30ブロックに区分けしている。

2 同社の定年は65歳である。

◆新たな正社員区分:ホーム正社員

 ホーム正社員は、家族等との生活を重要視して転宅(転居)を望まない社員のニーズに応えるために、2018年4月に新規に設けられた社員区分である。ホーム正社員は、ホーム正社員Aとホーム正社員Bに分けられる。ホーム正社員Aはシフトに制限がないが、ホーム正社員Bは本人の希望により、出勤できない時間帯などをシフトから除外できる。ホーム正社員Bは一部の職種や担当業務(パチンコ部門のホール・カウンター担当)に限るが、ある程度シフトに制限が設定できるようにし、勤務時間においても社員のニーズに柔軟に対応できるよう制度を整えた。これまでホーム正社員は有期契約の契約社員だったが、2018年4月に全員、無期契約に転換した。

◆新たな正社員区分:ショートタイム正社員

 2018年4月に新規に制度化された社員区分である。フルタイム勤務は難しいが、無期雇用で安定して働きたいという従業員のニーズへの対応と、ライフスタイルや個人の事情に合わせて長く働き続けてほしいという企業側の目的がマッチし、今回設けられた。時給制であることや勤務時間やシフトの調整が可能である点は、アルバイトやパートタイマーと大きくは変わらないが、雇用期間が無期限になり、正社員の区分に該当することから財形貯蓄を使用することが出来るようになった。
 アルバイト・パートタイマーとして5年以上勤務した場合、ショートタイム正社員への転換が可能である。2018年8月には、5年以上勤務し、かつショートタイム正社員に転換を希望したアルバイト・パートタイマーの従業員778人を一斉に転換した。


2. 取組の内容②(社員区分間の転換(※3)等)

(※3) 同社では正社員への転換を正社員への「登用」、社員区分の転換を社員区分の「変更」という表現を用いている。

 同社では社員区分間における転換も制度化し、社員の向上心やライフイベントに合わせて雇用の形態を変更できるよう、年に2度(6月、11月)の登用試験を実施している。

◆アルバイト・パートタイマー、ショートタイム正社員からホーム正社員、ブロック正社員、グローバル正社員への登用

 アルバイト・パートタイマー及びショートタイム正社員は、3か月の勤務実績と店長からの推薦を条件に、6月と11月の年2回行われるホーム正社員、ブロック正社員、グローバル正社員への登用試験を受けることができ、さらなるキャリアアップが可能となっている。アルバイト・パートタイマー及びショートタイム正社員は、店長から推薦を受けた後、受験対象者に対する説明会に参加し、正社員への登用に関する詳細な説明を受ける。説明会後、登用試験に臨むことになるが、試験内容は面接のみであり、過去の受験者は概ね通過している。2018年6月時点で209名が登用試験を受験した。登用過程は制度として明確化されおり、周知も進められている。人事としても人材の安定的な定着を目的に、アルバイト・パートタイマーからホーム正社員、ブロック正社員、グローバル正社員への登用を推進している。

◆ホーム正社員、ブロック正社員、グローバル正社員の間での社員区分変更

 ライフスタイルや個人の事情に応じて働き方を選択できることで、長期的に働ける環境づくりを目的として、ホーム正社員、ブロック正社員、グローバル正社員の間での社員区分変更が制度化されている。
 基本的には、5年毎の基準年齢(20、25、30、・・・・55歳)ごとにホーム正社員、ブロック正社員、グローバル正社員の間で変更が可能である。現ブロック正社員がグローバル正社員へ、現ホーム正社員Aがグローバル正社員もしくはブロック正社員へ、現ホーム正社員Bが現ホーム正社員Aもしくはブロック正社員もしくはグローバル正社員へ等、3区分の中での変更の制限は基本的になく、自由に選択することができる。また、変更後1年を経過すれば、再度の変更も可能である。
 また、入籍や産休、育休が終了する時、介護が必要となった時、配偶者が転勤となった時などの場合、一定期間経ずともライフイベントに応じて社員区分を変更することができる。5年毎というサイクルに則り、計画的に自分の人生設計、働き方設計をすることができると同時に、生活環境が大きく変化した際に雇用条件も柔軟に変更できるようにしており、働き続けやすい環境つくりを行っている。

◆モチベーションの向上により定着率を上げる「コンテスト」の実施

 同社では、店舗スタッフのモチベーションと接客力の向上を目的に、2016年度から「接客コンテスト」を開催している。各店舗から代表を選出し、エリア大会、ブロック大会、全国大会を開催する。エリア大会で勝ち抜いた上位数名がブロック大会に出場し、ブロック大会で勝ち抜いた数名が全国大会に出場できるという、ハイレベルかつ大規模なコンテストである。コンテストの模様は動画で記録し、社員はその動画を見て接客技術の向上に取り組むことができる。また、各店舗ではユニットを組み、清掃や機器の入替えなど各業務の改善に取り組んでいる。ライフスタイルに合わせて無理なく働きながら、日々の業務だけでなく、ユニット活動やコンテスト等の同社独自の取組を通して、自身の接客技術、業務技術のさらなる向上を図ることができる。

3.今後の運用方針

 正社員への転換制度は2018年4月より導入され、6月時点ですでに200名程度の実績がある。ただし、現在は初回の実施実績のみしかないため、今後引き続き実績を重ね、効果検証を行い、引き続き働きやすい環境つくりを進めていきたいと考えている。
 同社では、働く環境の整備の一環として、その他、育児時短制度の細分化(時短可能制度を細分化し、30分単位にて状況に合わせて取得可能とする)、育児休業規定の期間延長(子の看護休暇、時間外労働・深夜業の制限・勤務時間の短縮・片番シフトなどを小学校3年生まで延長)など、他にもさまざまな取組を実施している。それらの取組と合わせて、キャリアアップだけでなく、様々な価値観や希望に沿った環境づくりを進め、ますますの人材定着を目指している。

4.活躍する従業員の声

川口店 ホール・カウンター担当
N.Yさん

年代 20代 性別 女性
勤続年数 5年
キャリアアップの過程 5年間のアルバイトとしての勤続後、2018年8月にショートタイム正社員へと転換した。
川口店でホール・カウンター担当として働いている。

◆アルバイトからショートタイム正社員へ

 同社に入社する以前は、他社のパチンコ店で勤務をしていた。業界内でも同社の接客レベルの高さは有名であり、その接客技術を学ぶことを希望して、同社にアルバイトとして入社した。アルバイトとして5年間勤続したタイミングで、新しい雇用区分が会社から案内されたことをきっかけに、2018年8月にショートタイム正社員に転換した。無期で勤務し続けられる一方で、今まで通り柔軟に勤務シフトを調整できることは、ショートタイム正社員に転換したメリットであると実感している。さらなる接客技術の向上を目指して、「接客コンテスト」の動画を見るなど日々研鑽している。

川口店 ホール・カウンター担当
H.N さん

年代 40代 性別 男性
勤続年数 5.5年
キャリアアップの過程 5年間のアルバイトとしての勤続後、2018年8月にショートタイム正社員へと転換した。
川口店でホール・カウンター担当として働いている。

◆アルバイトからショートタイム正社員へ

 家族の看護のため、安定した会社で勤務することを望んでいた中、同社公式サイトでマルハンの企業理念「マルハンイズム(※4)」を知り、共感を得たことから、同社に応募し、アルバイトとして入社した。アルバイトとして5年以上勤続し、2018年8月にアルバイトからショートタイム正社員に転換した。

(※4) マルハンが目指すものやマルハンらしさを表したもの。以下7つの項目で成り立っている。
・同社の基本的な経営指針や存在価値を示す「経営理念」
・経営理念に基づいた目指す企業像としての「ビジョン」
・社会に対する企業全体の取り組み方を表した「企業姿勢」
・事業活動を通して顧客に届ける「提供価値」
・チームとして成果を出すために重要な考え方を示した「組織理念」
・従業員の行動規範を記した「行動指針」
・心構えとしての「社訓」