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事例73 株式会社オールコネクト

事例73

株式会社オールコネクト
創業当初から、共働き世代のライフスタイルにあった職場環境を整備。
多様な働き方のメニューを用意することで、ダイバーシティ雇用を推進。

出典)株式会社オールコネクト公式サイト(https://www.all-connect.jp/)


会社設立年 2005年
本社所在地 福井県福井市栂野町第15号1番地2
業種 IT・通信業(スマホEC事業、オウンドサービス事業、ライフイノベーション事業)
正社員数 489人(男性:女性=5:5) (2019年1月現在)
非正規雇用労働者数 派遣社員42人(男性:女性=5:5)
アルバイト60人(男性:女性=4:6) (2019年1月現在)
資本金
及び資本準備金
5億6,510万円 (2019年1月末現在)
連結売上高 255億円 (2018年2月期)
取組概要 <背景>
・創業当初から、共働き世帯のライフスタイルにあった職場環境を整備
・最近では、働き方改革の一環として、ダイバーシティ雇用を推進
<内容>
・在宅ワーク制度、モバイルワークの導入
・短時間勤務制度の導入
・短時間正社員の採用を開始
・正社員転換制度を導入し、派遣社員とアルバイトを正社員化
<効果・結果>
・採用競争力の高まり、人材の確保
・従業員の安心感向上、人材の定着
・女性活躍推進

PDFデータ

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 同社は、通信回線の販売代理店事業を目的に、有限会社ALL CONNECTとして福井県に設立された。翌年の8月に株式会社ALL CONNECTに移行し、12月にWeb販売の代行事業を本格スタートした。
 企業理念として、「社会をにぎやかに!」を掲げている。新しい商品やサービスを作り、販売し、流通させることによって、さまざまな業界が活性化し、にぎやかになる。また、最高のサービスを提供する事によって、お客様に「笑顔」が増え、社会は明るくなり、更ににぎやかになっていく。同社は、社会をにぎやかにするために、インフラの提供を中心とした、世界最高の事業を追求し、発展に取り組んでいる。
 同社では、「スマホEC事業」、「オウンドサービス事業」、「ライフイノベーション事業」の3つの事業を展開している。独自のサービスにWebに特化したディーラーとして培ってきた生のノウハウを乗せ、ハイスピードなWebというフィールドで、価値を提供し、日々、インフラプラットフォーム事業で従来の価値観や固定観念に革命を起こしている。

1.取組の背景

◆創業当初より、働きやすい環境作りを意識

 同社は、福井県(本社)と東京(支社)に拠点を置いている。従業員の男女の割合がほとんど同数で、本社がある福井県では、共働き世帯の割合が全国平均よりも高い。そのような背景を受けて、同社では創業当時から、労働力の確保や社員の働きやすさを実現するために、ライフイベントに合わせて働き続けやすい職場環境の整備に注力してきた。
 しかし業界として人材不足の常態化は進み、さらなる労働力確保・定着が求められるようになった。そのような背景から、同社では2016年頃から働き方改革の一環として、多様な考え方や価値観をもった人々を受け入れ、それぞれの人に合った働き方を提供するダイバーシティ雇用政策の構想・実施を進めている。

2.取組の内容(在宅勤務・モバイルワーク)

 新たな働き方の一つとなることを期待し、2016年より構想していたダイバーシティ雇用政策の1つとして、2018年1月より「在宅ワーク制度」と「モバイルワーク」を開始した。

◆在宅ワーク制度

 「在宅ワーク制度」とは、在宅勤務のみで勤務することができる制度である。2018年1月から開始し、現段階ではコールセンター事務・Webデザイナーの業務が対象となっている。
 本制度に対する社内のニーズは多く、制度の運用を開始した当初、5人の利用者枠で募集をかけたが、約25人の応募があった。当初は試験的な運用であったため、前職での経験、在宅ワーク制度を希望する理由、自宅のインターネット環境等、様々な要素を踏まえ5人を選定した。
 在宅ワーク制度の利用者5人のうち2人は半年以上勤務した後退職したが、残り3人が現在も継続して利用している。3人の業務成果を調べたところ、1時間あたりの作業効率が136%も向上したことが判明した。人材の確保・定着を目的に開始したが、作業効率改善という副次的な効果があることが判明したことは、よい成果であったと人事担当者は話す。
 また、本来の目的である優秀な人材の確保・定着という点でも、効果が確認されている。例えば、ある女性正社員は結婚を機に遠方に引っ越す事が決まり、やむなく退職を検討していたが、上長と相談の上業務内容を変更し、在宅ワーク制度を利用することで、退職せずに済み、現在も在宅勤務を継続している。
 また、2018年度に在宅勤務だけのアルバイトの採用も実施しており、半年間の定着率が100%であった。このように、在宅ワーク制度の新設によって、優秀な人材の確保と定着に効果を発揮している。
 今までの成果を踏まえて、今後は積極的に在宅ワーク制度利用者を増やしていく方針である。

◆モバイルワーク

 モバイルワークは、通常フルタイム勤務で働く正社員を対象に、一時的に在宅勤務ができる制度で、在宅ワーク制度と同様、2018年1月から開始した。バックオフィス(人事・総務・経理)や専門職(Webデザイナー、システムエンジニア、Webマーケター)などが対象である。
 モバイルワークの適用条件は、以下の3つである。

 1. 子育てや介護により会社への出社は困難だが、勤務する時間が十分に確保できる方
 2. 病気や怪我により会社への出社は困難だが、通常通り勤務が可能な方
 3. 自然災害により会社への出社は困難だが、通常通り勤務が可能な方
 上記3つのいずれかに該当するとともに、雇用区分は問わないが会社に1年以上在籍していことを適用条件としている。モバイルワークの適用期間は、上長と相談の上決定し、期間の上限はない。
 モバイルワークを利用したい場合、本人から所属部長へ申請を行う必要があり、承認を得た後適用される。例えば、以下のような適用事例がある。


表 モバイルワーク適用事例


 突発的な事態や問題に合わせた短期利用ができることで、個人の事情に合わせた柔軟な働き方を実現している。

3.取組の内容(短時間勤務)

◆育児短時間勤務制度

 同社では創業当時から、育児を目的とした短時間勤務制度を運用している。育児短時間勤務制度の適用期間は、子どもが3歳に達するまでは全従業員が利用できるが、正社員に限り、満10歳に至るまでにしている。2019年2月時点では、正社員12人が利用している。
 育児短時間勤務制度を利用する場合、週5日勤務を前提に、1日当たりの所定労働時間を4~7時間から選択できる。最も利用が多いのは、1日7時間のケースである。
 勤務時間に按分した給与やボーナスが支払われることを除き、短時間勤務制度利用者とフルタイム勤務者との間に処遇の差はない。昇進・昇格も実力次第であり、現在、役職者のうち3名は短時間勤務制度利用者である。
 2018年3月からはダイバーシティ雇用施策の第3弾として、短時間正社員の採用を開始した。採用活動においても、特に女子学生の興味関心が高まっていることを感じており、今後のさらなる人材確保・定着に期待をしている。

4.取組の内容(正社員への転換制度)

◆正社員転換制度

 同社では、優秀な人材の確保・定着の観点から、非正規雇用として勤務するパート社員やアルバイト社員の正社員への転換や派遣社員の正社員採用を実施している。
 応募条件はなく、自薦、他薦(※1)も問わない。毎年2回(基本的に10月と4月)人事考査が行われ、その時の評価結果を踏まえ、転換の可否が判断される。人事評価は、A~Eの5段階評価で行われ、正社員に転換するには勤怠が良好で、C以上(一部を除く)の評価を得る必要がある。上司からの推薦の場合は、C以上の人事評価を得て、かつ、本人の希望を確認した後、正社員へと転換する。
 同社の人事評価は、正社員、パート社員、アルバイト社員ともに同じで、実力次第で昇進・昇格をすることができる。ケースは少ないが、普段の業務のパフォーマンスが高い、または、高い成果を出しているパート社員やアルバイト社員に対し、正社員転換制度の案内を行い、正社員に転換すると同時に役職者に昇進させるケースもある(※2)
 2018年度(2018年3月~2019年1月)は、派遣社員11人、アルバイト12人、合計23人が正社員に登用された。

(※1)普段の業務でのパフォーマンスが高い、または、高い成果を出しているパート社員やアルバイト社員に対し、ぜひ正社員になってほしいと上長が判断し、声をかけることもある。
(※2)役職者の要件として、正社員であることが決められている。

5.その他の取組

◆OHANAプロジェクト

 会社の子育てに対する制度や福利厚生の充実を始め、働きやすい環境づくりの推進を目的として2013年春頃に立ち上げられたプロジェクトである。直接雇用の正社員、パート社員、アルバイト社員が参加することができ、結婚や子どもの有無は問わない。古市取締役を委員長に、主にワーキングマザーを中心としたメンバー構成であるが、男性も参加することができる。
 月に一度の定例ミーティングをはじめ、産休、育休中の社員とプロジェクトメンバーによる年に2度のランチミーティング、OHANA大会議(OHANAスタッフによる意見交換会)が、主な活動内容である。定例ミーティングやOHANA大会議で出た意見を元に、いくつかの制度も創設され、男女問わず、働きやすい環境作りの一翼を担っている。


表 OHANAプロジェクトにより生まれた制度例


6.効果と課題、今後の運用方針

◆時代の流れにあった制度設計と更新

 在宅ワーク制度については、前述の通り、人材の定着のみならず、作業効率の向上も確認できたことから、今後積極的に利用者を増やしていきたいと考えている。
 また、すでにある短時間勤務制度やその他の制度についても、今の内容のまま運用を続けるのではなく、時代の流れや変化に合わせて、柔軟に変更していきたいと考えている。

◆会社の成長と合わせた施策

 現在は、働き方改革、ダイバーシティ雇用として、様々な施策を打つことができているが、その背景には、会社が成長過程にあることが大きい。今後、会社の成長が止まることがあるとした場合、新しい施策の検討や既存制度の更新がどれほど進められるかが課題であると感じている。

7.活躍する従業員の声

スマートフォン課
在宅チーム
山内 千加子さん

年代 30代 性別 女性
勤続年数 10年
キャリアアップの過程 2009年派遣社員として勤務開始。コールセンターで電話対応業務に従事。
2010年正社員として入社。コールセンターのリーダー職として新人教育に従事。
2013年産休・育休を経て、パート社員として復帰。部署異動により事務作業に従事。
2017年正社員に復帰。係長に昇進。短時間勤務(6時間)をしながら、新規申込対応等の事務業務に従事。
2018年に在宅ワーク制度の利用を開始した。在宅勤務を行う初の正社員として、在宅チームのアルバイトの管理業務に従事。現在に至る。

◆「新しい会社」にワクワクして転職

 山内さんは高校卒業後、地元の旅行代理店に正社員として入社。8年間同社に勤務した。接客業に魅力を感じて旅行代理店を選んだ山内さんは、カウンター業務や事務作業等を広く経験。仕事には満足する一方で、会社内のキャリアアップの遅さや残業時間の多いことがネックとなり、「新しい環境でチャレンジしたい」と感じ退職。派遣社員としてオールコネクトで勤務することになった。同社を派遣先に選んだ理由は、派遣会社からの「新しい会社で勢いがある」「キャリアアップが可能」の説明だったと話す。業務内容はコールセンターでの電話対応であった。
 前職で顧客対応を経験していたこともあり、電話対応で高い評価を得た山内さんは、半年後にはチームリーダーに抜擢され、他の派遣社員の見本として、現場のまとめ役の役割を担うことになった。その後、正社員としての入社を打診された。山内さん自身は、派遣社員の「派遣会社を通して処遇の交渉が可能」「いつでも勤務終了できる」という働き方には満足していたが、前職では正社員であったこともあり打診を受けた際、殆ど迷いはなかったと話す。2010年5月に正社員として入社。引き続きコールセンター業務に従事した後は、教育担当として、新規にコールセンター業務に従事する方の教育に携わった。

◆ライフイベントに合わせてパート社員に転換

 正社員としての9年の間に2回の出産を経験した山内さん。産休と育休を取得後、職場復帰時に選んだ雇用形態はパート社員であった。この時は子育てを優先したい気持ちが強く、業務量の調整が可能な部署への配置転換を希望し、パート勤務として1日4時間の所定労働時間で事務作業に従事した。5年間パート社員として勤務したが、会社側から正社員への復帰と係長への昇進を打診された。2回目の打診に対してはかなり迷ったと話す。正社員に復帰することで、労働時間と責任の両方の負荷が強まるため、「自分に両立が可能なのか」と悩んだが、最終的には復帰を承諾し、短時間勤務正社員(6時間勤務)として復帰した。
 振り返ると、正社員として復帰・昇進して短時間勤務(6時間勤務)をしていた4か月間が一番大変な時期だったと語る。転機は現在の所属である在宅チーム(在宅ワーク制度)の新設・社員募集であった。原則として在宅のみで業務を行うチームを新たに設置することに伴い、管理者の立場となる正社員が必要となった。山内さんは、会社から在宅チームの係長の打診を受け、承諾し、係長に就任した。

◆在宅業務の可能性を広げたい

 在宅チームは、会社内の「在宅でも作業が可能」な事務作業を集約して担当する部署であり、2019年現在、3名のアルバイト(8時間勤務)と山内さん(7時間勤務に変更)で構成されている。山内さんの日々の業務は、3名のアルバイトの進捗管理と労務管理が中心。週に1日は本社に出社して、対面での打ち合わせや会議に出席している他は基本的には在宅勤務を行っている。
 在宅勤務に転換して以降、自身は仕事と家庭を両立する上での負担感が軽減した。チーム全体としては、在宅チームの業務成果を1年間分析した結果、在宅での実施により効率化が図れる業務が明らかになった。加えて、人材確保という観点からは、「出社を伴うのであればパート勤務しかできないが、在宅であればフルタイム勤務が可能」という人材に対する採用機会になるのではないかと考えている。出産後のパート社員としての復帰、その後の短時間勤務(6時間勤務)の負担を実感している山内さんだからこそ、在宅ワーク制度の意義を痛感しており、このまま部署として残す必要があると考えている。今後は在宅チームの実績と可能性を整理の上、拡大を目標に自身も在宅勤務を継続していきたいと考えている。

デザイン本部 第二企画部
企画課 イラストレーター
清水美穂子 さん

年代 30代 性別 女性
勤続年数 6年
キャリアアップの過程 2013年時間限定正社員(※3)として入社。イラストレーターとして業務に従事。
2019年4月よりフルタイム正社員に転換予定。

(※3)当時は制度として確立していなかったが、優秀な人材確保のために例外的に短時間勤務とした。その後、育児短時間勤務制度が整備された。

◆グラフィックデザインも可能なイラストレーターを目指して

 服飾系の専門学校を卒業後、グラフィックデザイナーのアシスタントとして他社に就職した清水さん。元々絵を描くことが好きで、当時はPCを使って仕事をすることが一般的ではなかったため、グラフィックデザインの技術を習得すれば将来のキャリアの選択肢が増えることを期待して就職先を選んだ。隣席のイラストレーターに触発され、「グラフィックデザインができるイラストレーターを目指そう」という気持ちで結婚退職するまで3年程度勤務した。結婚後はフリーランスで活動。母校でデザインを指導したり、イラストを発表したりする活動を続けていた。その後子育て期間中には、当時黎明期だったECサイトの管理会社に入社。ウェブサイト管理業務に従事しつつ、イラストレーターとしての活動も継続していた。
 転機はオールコネクトの社員からの突然の入社の打診だった。当時、同社ではデザイン業務の内製化を検討しており、PCやウェブに詳しく、かつ、イラストを描くことができる人材を探していたところ、作品発表を続けていた清水さんと出会い、入社を打診した。清水さん自身は、迷いは全くなかったと話す。新しい会社ということもあり、会社ウェブサイトや社員から感じる勢いや新しいことにチャレンジしていく雰囲気から、自分もその一員になれることにワクワクしたという。入社時には、①短時間勤務(所定労働時間7時間)②残業不可を条件として、時間限定正社員として入社。社内イラストレーターとして業務に従事することになった。

◆付加価値を生み出すイラストを描く

 現在は会社の商材関連のイラストを担当する他、社内報の作成に従事している。イラストレーターとしての難しさは、数値での評価が難しい点だと話す清水さん。「良いイラスト」を描いたことと会社の業績の関係を検証することが難しいため、「自分のイラストは付加価値を生み出しているのか」という点を常に意識しながら日々の業務に従事しているという。また、PCやウェブに関する新しい技術の習得も重要であるため、インプットを意識的に行うように心がけている。
 デザイン関連業務の難しさとして、担当作業が行程全体の下流にあるため納期が厳しい状態になりやすい点があるが、清水さん自身は残業ができない。そこで、並行する業務のスケジュール管理を徹底し、社員とのコミュニケーションの中で発注意図を汲みとるなど、一度でOKが出るイラスト作成ができるよう自分の中の引き出しを増やすことを意識していると話す。時間が限られているからこそ、短時間で高品質のアウトプットを作成できるよう励んでいる。

◆1時間の短縮の重要性を感じてフルタイム勤務へ

 短時間正社員の清水さんの所定労働時間は7時間。この1時間の短縮が子育て中の清水さんにはとても重要だったと語る。法定労働時間より1時間短いだけのようにも感じるが、毎日17時に業務が終わることで、子供とコミュニケーションをとりながらの夕飯づくりや、一緒に宿題に取り組む等、夕方以降の時間を子育てのために使える最適な所定労働時間であった。
 清水さんは、会社が1時間の短縮を認めて採用してくれたことに感謝を抱いているという。入社時から子供の手が離れたらフルタイム勤務に転換して、もっと貢献すると決めていたと話す。子供の成長や年齢を考え、2019年4月からフルタイム勤務に転換予定で会社とも調整を開始している。今後も業務内容はイラストレーターであるが、労働可能時間が増えることで業務への取り組み方の幅が広がり、より多くの依頼に余裕をもって対応できる等、業務の機会が増えることに期待している。