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事例76 三菱地所株式会社

事例76

三菱地所株式会社
多様なニーズをふまえ、中長期的なライフプランをふまえた働き方が選択できる

出典)三菱地所株式会社提供資料より転載


会社設立年 1937年
本社所在地 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビル
業種 不動産業
正社員数 単体806名 連結8,856名(男性618名、女性188名)
(2018年 3月31日現在)
非正規雇用労働者数 臨時従業員(パートアルバイト、契約社員、再雇用、嘱託含む)190名
(単体2018年3月31日現在)
資本金 142,023,169,897円 (連結 2018年5月25日現在)
営業収益 1,194,049百万円 (連結 2018年3月31日現在)
取組概要 <背景>
・社員の共働きの増加やライフスタイルの多様化等に伴い、地域限定の働き方に対するニーズの増加
<内容>
・2017年の人事制度改革において総合職(転勤有り)に「一定の要件を満たした場合に転勤をしない働き方」を選択できる制度を新設。
<効果・結果>
・中長期的なライフプランをふまえた働き方を選択できるようになった。
・転勤を理由とした離職の防止。

PDFデータ

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<沿革・企業概要>
 1890年に三菱社が丸の内の陸軍省用地などの政府からの払下げを受け、1893年には三菱合資会社が設立し、事業の一層の拡大を実現した。このような中、同社は資本金1,500万円にて三菱合資会社より丸ノ内ビル並びに同敷地の所有権及び丸の内地区ほかの土地建物営業権を譲り受け、設立された。1953年に東京・大阪両証券取引所に株式を上場。以降、1959年の丸の内総合改造計画に代表されるように、丸ノ内を中心に総合ディベロッパーとしての責務を果たしている。
 基本使命として「まちづくりを通じた社会への貢献」を掲げ、その事業領域は丸の内に代表されるオフィスや商業施設の開発・賃貸・管理、収益用不動産の開発、住宅用地の開発・分譲、更には設計監理や不動産仲介など多岐にわたっている。2002年から始まった丸の内再構築プロジェクトでは、連鎖型再開発という手法を用いることで、丸の内の活気と賑わいを大手町、有楽町へと拡大し、国際金融拠点やインフラ整備などを通じて国際競争力の強化を推進することを目指している。また、海外事業に関しても、1972年のMitsubishi Estate New York社設立以来培ってきた実績とネットワークを活用し、米国・ニューヨーク及び英国・ロンドン,シンガポール等の東南アジアを中心に資産ポートフォリオを築いている。
 本店は大手町に位置し、全国に7つの支店を有する。

1.取組の背景

◆地域限定の勤務に対するニーズの高まりをふまえた制度の検討

 同社には全国に支店や海外の現地法人があり、総合職で働く者にとっては常に転居を伴う転勤の可能性があった。総合職であれば、従来は転勤の発令があれば転勤に応じる社員が多かったが、採用地限定の勤務に対するニーズが近年高まっており、人事制度改革の一つのメニューとして、地域限定の働き方についての検討を開始した。
 背景としては、共働き社員が増えていること等が影響しており、採用者の最も多い首都圏エリアで勤務し続けたいというニーズが多かった。1年に一度実施している人事面談(社員と人事部員による個別面談)で、社員の異動希望等のキャリアプラン等について話を聞いているが、「育児や介護、家族との同居希望等の理由からできれば転勤を避けたい。」という相談が以前より増えてきており、会社としては社員が高いモチベーションで能力を発揮し働き続けられるよう、そうしたニーズを解決するための公平で使いやすい制度の導入が必要と感じた。どの程度の社員が制度の利用を希望するか予測できない不安もあったが、検討過程においては、社員の声も聞きながら制度の使いやすさやワークライフバランスに主眼を置いて制度の詳細について検討し、2017年4月より人事制度の改定に合わせて制度を導入した。

2.取組の内容(勤務地限定制度)

◆「勤務地限定制度」の導入

 2017年度に人事制度全体を見直し、その際に「勤務地限定制度」を新しく導入した。2017年度に初回の希望を受け付け、2018年度から適用した。
 「勤務地限定制度」は、総合職として勤務している者が選択する働き方である。制度利用にあたっては、入社からの経過年数等の一定の条件を満たす必要はあるが、理由や期間を問わないこととした。また、中長期的なライフプランをふまえ制度を利用して欲しいと考え、制度利用から原則5年間は利用解除をできないこととした。また、利用対象者は、「採用時の勤務地に勤務している総合職」としている。(例えば、首都圏採用で関西支店や北海道支店に転勤中の者が、支店での勤務を希望したり東京に戻ることを希望したりするための制度利用は不可。)
 制度利用を希望する者は原則12月までに申請することとなっており、翌年の4月から適用される。解除する際も12月までに申し出ることになっている。
 総合職と地域限定の総合職の処遇等の違いだが、「勤務地限定制度」を利用すると、総合職の月例賃金は、一定の割合で減額となる。社員はその賃金差をふまえながら、希望するコースについて選択することとなる。
 その他、賞与、退職金・年金、福利厚生、昇格等においては、制度利用有無による処遇差は設けていない。

◆職種の新設、転換制度の導入

 その他、2017年度の人事制度改革において、多様な人材が活躍による会社の競争力強化を目的として、専門領域において高度な専門知識やノウハウを発揮して働く「専任職」や「専門職」を新設した。また、有期雇用の契約社員について、長く会社で活躍し続けたい(活躍し続けて欲しい)という本人や現場のニーズに応える目的で、「専任職」や「業務職」という無期雇用社員への転換制度を新設し、運用を開始している。

3.効果と課題、今後の運用方針

◆多様な働き方の後押し

 検討の背景となっていた、「社員の多様なライフスタイルへの対応」という点については、制度利用者が徐々に増えていることからも一定の効果が出ているものと考えている。また、採用の面においても、将来的に「勤務地限定制度」を利用できることをアナウンスしているため、会社として個々のワークスタイルに配慮しているというメッセージを伝えることができる利点はあると考えている。
 また、長期的にみると、転勤を理由とした退職の予防につながり、離職率の低下につながると考えている。さらに、制度を設けたことによって、制度を利用していない総合職には転勤の可能性があるという認識を持ってもらうことで、人事部としても配置の検討がしやすくなる面もある。
 今後は、例えば社員の「遠隔地における介護」や「配偶者の転勤」の際等に、採用地以外でも働き続けたいとの声が上がった場合に、多様な働き方の推進、人材確保の観点から、グループ会社も巻き込んだ施策の検討もしていきたいと考えている。

◆現場が必要とする優秀な人材が働き続けられる

 無期雇用社員への転換制度の導入により、高いスキルやノウハウを有する契約社員に長く活躍してもらえる環境が整備できた。転換にあたっては、「専任職」等の期待役割等について高いレベルを求めて転換試験を実施しており、希望者全員を登用する制度ではないが、モチベーションや能力が高い人材の確保や採用力の向上につながっている。