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事例79 日鉄物産株式会社

事例79

日鉄物産株式会社
(2019年4月1日社名変更。旧社名:日鉄住金物産株式会社)
職掌転換制度による区分間での異動と、過去の経験を評価した派遣社員からの一般職登用試験の実施等により正規雇用の枠組みを最大に活かした働き方を実現

出典)ヒアリング先提供


会社設立年 2013年10月
本社所在地 東京都港区赤坂八丁目5番27号
業種 鉄鋼、産機・インフラ、繊維、食糧その他の商品の販売及び輸出入業
従業員数

正規雇用のうち、総合職が約1200名、一般職が約500名程度である。
また、勤務地限定の総合職は約60名である。
※2018年10月1日現在

資本金 123億円(2018年3月末現在)
売上高 2兆623億円(連結2018年3月末現在)
取組概要 <背景>
・ 企業設立時から新卒、中途採用、男女、年齢を問わず多様な人材の活用を実施している。
・ 職制に関わらず女性のライフイベントに伴う退職が減少し、勤続年数の長期化が実現した。
<内容>
・ 総合職(全国型)及び総合職(勤務地限定型)並びに一般職の三分方式による雇用管理を実施している。
・ 総合職における全国型と勤務地限定型の間の相互転換に加えて、一般職から総合職への転換、総合職から一般職への転換制度がある。
<効果・結果>
・ 優秀な一般職人材の確保
・ ライフイベントを理由とした離職の防止

PDFデータ

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 同社は、1962年設立の住金物産株式会社と1977年設立の日鐵商事株式会社が2013年10月に経営統合し、日鉄住金物産株式会社として新発足した。(2019年4月に日鉄物産株式会社へ社名変更)
 同社は新日鐵住金グループの中核商社として、国内及び海外において4つのコア事業(「鉄鋼」、「産機・インフラ」、「繊維」、「食糧」)を主に手掛ける複合専業商社である。グループは、子会社123社及び関連会社44社により構成される(2018年3月末現在)。 2013年の経営統合以降、4つのコア事業分野の強化と拡充を図る。2018年4月には三井物産グループから鉄鋼事業の一部を譲り受け、事業規模は内外ともに拡大した。衣食住に関わる商品・サービスを提供する商社としての社会的責任を果たしつつ、グローバル戦略の加速に伴い、各事業分野における戦略的事業投資・設備投資を積極的に検討、実行している。

1.取組の背景

◆働きながら働きたい形を考える

 同社では、従業員のライフスタイルの変化に伴って、総合職と一般職との間での職掌転換や、派遣社員の直接雇用等により、雇用管理区分間での異動を可能とする制度を持っている。従業員は働きたい形が変わったときに、所定の手続きを踏めば新たな働き方を実現することができる。

2.取組の内容

◆一般職として希望する形で働く

 同社の一般職は勤務地の限定性がある。職務については、計上処理等の定型的な業務が主である。勤務地については、採用拠点の東京、大阪、名古屋の3か所いずれかを原則とし、転勤はない。職務内容の違いと責任の軽重、転勤の有無の違いを踏まえて、総合職と比較すると基本給は少なくなる。
 一般職には3段階の資格制度があるが、管理職には昇格しない。入社後数年間は「アシスタントスタッフ」として、基本的な業務を行う。そして、経験を積むことで次の段階として「コアスタッフ」へと昇格する。コアスタッフは中核的なスタッフとして、アシスタントスタッフよりも高度な業務を行う。さらに、コアスタッフの中から、5科目の検定を受けて高い評価を受けた者が「エキスパートスタッフ」となる。エキスパートスタッフは管理職ではないが、先輩として他の一般職に指導を行うリーダー的存在である。このように、一般職という職務と勤務地の限定性を選択した働き方の中でのキャリアアップが可能になっている。

◆職掌転換制度で働き方を変える

 総合職と一般職との職掌転換を希望する従業員は、年に1度、4月に転換希望を申し出ることができる。各種審査を通して転換が可能と判断された場合、その年の7月に職掌を転換する、という仕組みになっている。この際の審査では、一般職から総合職へ転換を希望する場合、勤続3年以上の者を対象として、適性試験・面談・レポート審査を実施し、転換の可否を判断する。
 同社の職掌転換では、実態として一般職から総合職への転換が多い。入社時は一般職が向いていると考えていたものの (※1)、総合職の仕事を間近でみるにつれ、あるいは一般職として業務を行う中で、総合職にチャレンジしたいと考えるようになり、転換を希望する者が多い。入社から4年目で転換する者もいれば、40、50代になってから転換する者もおり、希望者が転換したいと思ったときに転換の機会が与えられている。
 職掌の転換は、総合職から一般職への転換や、総合職の全国型と勤務地限定型との転換も可能である。

(※1)同社では総合職・一般職併願で新卒採用受験をする者も多い。

◆派遣社員として働いた経験を直接雇用後の処遇に反映

 同社には100名ほどの派遣社員が勤めているが、一般職(正社員)への登用試験に応募する派遣社員も数多くいる。同社では派遣社員として1年以上勤務すると、応募することができる。審査に合格した場合は、これまでの職務実績や経験も評価要素として考慮して処遇が決定される。
 派遣社員として勤務した上で一般職として入社する者は、1年勤務後すぐの者から、10年以上勤務した後に応募する者まで多様である。いずれにおいても共通していることは、派遣社員として働き「この企業が好きで、正社員として勤務したい」と思う者が応募していることである。業務内容や企業のことを把握した上で、水準を満たした者を正規雇用することは、同社にとっても大きなメリットである。

3.効果と課題、今後の運用方針

◆派遣社員の直接雇用による即戦力確保

 毎年10名前後の派遣社員が一般職として入社している(人数枠は設けていない)。派遣社員として勤務した実績を評価して処遇を決定する同社の制度は人材確保の観点からも大きなメリットとなっている。

◆地方戦略としての勤務地限定型総合職

 総合職の勤務地限定型の整備は、従業員の要望であることに加え、地域の事情に精通した従業員を確保するという企業としての地方戦略でもある。
 今後とも、様々な形態で限定的な働き方の増加が予想されるが、限定型の従業員が増えすぎた場合は人事施策上の問題が生じ得る。業種柄、海外への転勤は必要不可欠であり、人数バランスについては慎重な検討が必要だ。