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事例80 株式会社ファミリーマート

事例80

株式会社ファミリーマート
パート・アルバイト社員の優秀なスタッフをトレーナーとして登用し、経験や優れた技術を地域全体の店舗へ横展開する。

会社設立年 2001年7月2日
本社所在地 東京都港区芝浦三丁目1番21号
msb Tamachi 田町ステーションタワーS
業種 小売業事業
正社員数 5,090名(男性4,837名、女性253名) (2018年2月現在)
非正規雇用労働者数 ・嘱託社員:505名(男性353名、女性152名)
・パート社員:349名(男性1名、女性348名)
(2018年2月現在)
資本金 83億8千万円 (2018年2月現在)
売上高 3兆160億6千4百万円(チェーン全店売上高)
(2018年2月末現在)
取組概要 <背景>
・全国の優秀なスタッフから、さらなるキャリアアップの希望が寄せられていた。
<内容>
・優秀なスタッフを同社が直接雇用し、地域全体の店舗のスタッフを教育するトレーナーとして登用した。
<効果・結果>
・アルバイト、パート社員に対し、キャリアアップの道筋が明確化された。
・「優秀スタッフ社員登用制度」で登用された社員がトレーナーとして入った店舗から「現場を知っており、スタッフの目線で指導ができるトレーナーの存在は助かる」という、好意的な意見が寄せられた。

PDFデータ

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 株式会社ファミリーマートは、大手コンビニエンスストアフランチャイザーである。
 1973年9月に第一号店を埼玉県狭山市に開店した。1978年4月にはフランチャイズ展開を開始し、1981年9月には株式会社ファミリーマートとして発足。
 2016年9月の経営統合を受け、「サークルK」「サンクス」からファミリーマートへのブランド転換を実施し2018年11月末に全店が転換完了。
 2019年2月28日現在、店舗数は16,430店舗に至り、国内業界第2位の規模を誇る。

1.取組の背景

◆優秀な店舗スタッフのさらなるキャリアアップ

 ファミリーマート各店舗で勤務する多くのスタッフは、同社が直接契約している社員ではない。全国にあるファミリーマートの店舗のほとんどがフランチャイズの加盟店であり、加盟店で勤務するスタッフは、各店舗もしくはその店舗を運営するフランチャイズ加盟者と雇用契約を結んでいる。
 同社では、そのようなフランチャイズ加盟店や直営店で勤務するアルバイト・パート社員を対象に、「スタッフアワード」を開催している。優秀なスタッフを表彰するイベントで、年に1度開催される。「スタッフアワード」のノミネート者に話を聞く機会を設けたところ、「ノミネートを受けたことは、これから勤務する上での自信になるが、今後の目標がなくなってしまった。さらなるキャリアアップにつなげたい。」という声があった。
 同社としても優秀なアルバイト・パート社員のスキルを1店舗だけでなく、他の店舗に波及してもらいたいという考えから、加盟店のアルバイト・パート社員を直接雇用する「優秀スタッフ社員登用制度」を設けることとなった。

2.取組の内容

◆フランチャイズ加盟店スタッフを直接雇用する「優秀スタッフ社員登用制度」

 「優秀スタッフ社員登用制度」において直接雇用となるのは、「スタッフアワード」で表彰を受けたアルバイト、パート社員と、ストアスタッフの資格制度「ストアスタッフトータルシステム(※1)」(表1参照)において「ファミママスター」と「ファミマトレーナー」の資格を持つアルバイト、パート社員が対象となる。

(※1)フランチャイズ加盟店に提供する教育制度である。


表1 ストアスタッフトータルシステム


 対象者は、店舗を運営するオーナーの推薦を受けた後、地域の店舗を管轄する同社の営業所長などの本部社員との面接を2回受けることにより合否が決定される。合格したスタッフは、同社の嘱託社員として雇用される。
 本制度で雇用された嘱託社員は、同社の事業所に所属し、QSCトレーナー若しくはSSTトレーナーとして所轄エリアにある店舗スタッフの教育に従事する。経験を積んだ後、本人の希望や適性に従って、新たな職種にキャリアを広げることが可能である。
 本制度は2017年12月から合計3回実施された。第1期(2017年12月)に3名、第2期(2018年5月)に2名、第3期(同年12月)に5名が、店舗スタッフから同社の嘱託社員となった。第1期と第2期は関東地方の店舗限定で実施し第3期からは全国の店舗が対象として実施された。

3.その他の取り組み

◆短時間勤務制度

 介護や育児等のライフイベントの必要性に応じて、短時間勤務が可能である。これは正社員、嘱託社員問わず利用が可能である。
 例えば、家族等の介護が必要な場合は、期間を定めることなく短時間勤務が可能である。また、育児の場合は、出産から子どもが中学三年生になるまで短時間勤務が可能である。ちなみに出産から子どもが4歳になるまでは育児休職の取得が可能である。

4.効果と課題、今後の運用方針

◆効果

 優秀なアルバイト、パート社員に対しキャリアアップの道筋を示す、という当初の目的を遂げることができた。また、本制度で登用された社員がトレーナーとして入った店舗から「現場を知っており、スタッフの目線で指導ができるトレーナーの存在は助かる」という、好意的な意見も寄せられた。

◆勤務地の制約が課題

 「優秀スタッフ社員登用制度」で嘱託社員に転換した場合、地域を担当する事業所の所属となるため、事業所のあるエリアでの勤務となる。従って、事業所に通勤可能なスタッフのみ本制度への応募が可能であり、必然的に本制度の対象が絞られているのが現状である。対象者を広げるため、勤務地等の働く環境の整備を検討している。

◆正社員登用制度の検討

 現在は、店舗のスタッフから同社が直接雇用する嘱託社員へのキャリアフローのみ、制度として存在している。今後は、店舗スタッフから正社員までのキャリアフローを制度として設けることを検討している。
 同社の意向としても、コンビニエンスストアは地域と密着していることが重要としており、地元で長年働いてきたスタッフを将来的に正社員化し、地元の店舗の管理運営を任せることで、地域と店舗のつながりを強固に維持できるとしている。

5.活躍する従業員の声

千葉ディストリクト
SSTトレーナー
吉田 明子 さん

年代 40代 性別 女性
勤続年数 9年
キャリアアップの過程 2009年、フランチャイズ加盟店舗を運営する法人にパート社員して入社した。加盟店舗だけでなく、直営店での勤務も経験した後に、2018年にファミマトレーナーの資格を得た。その後、「優秀スタッフ社員登用制度」に応募し、2018年5月から同社嘱託社員として登用され、現在は、千葉エリアの店舗スタッフの教育に携わっている。

◆キャリアアップの大きなチャンス

 2009年からパート社員としてフランチャイズ加盟店や直営店で勤務し、2018年にファミマトレーナーの資格を得た。パート社員として勤務する中、40代からのさらなるキャリアアップに対しハードルを感じていた中、「優秀スタッフ社員登用制度」が設けられた。「優秀スタッフ社員登用制度」に対しては、制度開始時から興味を抱いており、制度によりキャリアアップの道筋が示されたことで、キャリアアップに対する希望、意欲が高まっていた。「優秀スタッフ社員登用制度」の第2期に応募し、2018年5月に嘱託社員として登用された。嘱託社員として登用されたことは大きなキャリアアップになったと感じており、家族からも称賛された。
 現在は、SSTトレーナーとして加盟店スタッフを指導しており、自分の9年間の経験を活かせることに喜びを感じている。今後は、より多くの店舗のスタッフのトレーニング担当をしたいと考えている。

◆環境の変化への対応

 直接雇用の嘱託社員となったことで、職務内容をはじめ職場や上司、同僚など職場環境が大きく変化したが、研修センターでの研修や人事研修、OJTによる指導など、手厚い教育体制があり、登用直後から受けることによって新たな環境に適応することができた。
 また、パート社員として店舗に勤めていた頃は、子どもの学校行事などはシフトを調整することで対応していたが、嘱託社員はフルタイム制であり、シフト制と比べて柔軟に対応はできない。しかし、登用直後から有給休暇が10日分支給されており、これを利用することで対応できている。

北関東ディストリクト
QSCトレーナー
榎 英絵 さん

年代 30代 性別 女性
勤続年数 5年
キャリアアップの過程 2014年にフランチャイズ店舗を運営する法人にパート社員として入社した。「優秀スタッフ社員登用制度」に応募し、2018年5月から同社嘱託社員として登用された。現在は、北関東エリアの店舗スタッフの教育に携わっている。

◆更なるキャリアアップを目指して

 大学卒業後、専業主婦として家事と育児を担う一方、同世代が社会で活躍している姿に憧れを持っていた。夫が勤める法人が運営するフランチャイズ加盟店に入社し、入社からわずか2年の間にストアスタッフトータルシステムの最高位であるファミママスターの資格を取得した。その後は、法人が運営する複数の店舗において、新人スタッフの教育に携わった。2018年、「優秀スタッフ社員登用制度」に応募し、同社の嘱託社員となった。嘱託社員になったことで、店舗スタッフでは得られなかった賞与が支給されるなど、収入面でキャリアアップの恩恵を実感している。さらに、さらなるキャリアアップの道として、同社から正社員になる可能性が示されており、榎さん自身も可能な限り早く正社員になり、さらなるキャリアアップを目指したいと考えている。

◆挑戦できる環境

 同社へ申請すれば店舗のオーナー以外であっても店長研修を受けることが可能であり、新しいことに挑戦できる環境が整っていると感じている。こういった環境を活用することで、将来的にはQSCトレーナーだけではなく、スーパーバイザーなど様々な職種に携わり、社会人としての幅広いステージで活躍できると考えている。後輩にも「優秀スタッフ社員登用制度」を活用することで、新たな可能性を広げるチャンスをつかんでもらいたいと考えている。