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事例81 三井住友海上火災保険株式会社

事例81

三井住友海上火災保険株式会社
<取組のポイント>
原則として転居を伴う転勤がない「エリアコース」に加えて、一定のエリア内での転居を伴う異動を可能とする「ワイドエリアコース」を制度化

会社設立年 1918年10月
本社所在地 東京都千代田区神田駿河台3丁目9番
業種 金融業・保険業
正社員数 14,577名(男性7,136名、女性7,441名(2019年3月末現在)
非正規雇用労働者数 パート社員:4,978名(男性130名、女性4,848名)
(2019年9月末現在)
資本金 1,395億9,552円
売上高 1兆5,124億円(2019年3月末現在)

PDFデータ

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(2019年9月末現在・社外出向者を除く)

2001年 「三井海上火災保険株式会社」と「住友海上火災保険株式会社」の合併により
「三井住友海上火災保険株式会社」設立
2008年 「三井住友海上グループホールディングス」が持株会社となり、その子会社となる
2010年 「三井住友海上グループホールディングス」、「あいおい損害保険株式会社」、「ニッセイ同和損害保険株式会社」が経営統合し、「MS&ADインシュアランスグループホールディングス」設立

 同社は、「MS&ADインシュアランスグループホールディングス」の中でも中核的な事業である損害保険事業を担っており、「金融サービス事業」や「国内損害保険事業」等、様々な事業を展開している。
 グローバルな保険・金融サービス事業を通じて、安心と安全を提供し、活力ある社会の発展と地球の健やかな未来を支えることを経営理念とし、「お客さま第一」、「誠実」、「チームワーク」、「革新」、「プロフェッショナリズム」の行動指針の下、サービスの提供に努めている。
 国内の営業ネットワークとして481営業課支社、38,122代理店(2019年3月末現在)と、損害サポートネットワークとして214保険金お支払いセンター、約9,050名の損害サポート専門スタッフ(2019年7月1日現在)を保有する。さらに、世界42か国・地域に広がり、特にアジアでは、ASEAN10か国すべての国で元受事業を行っている唯一の損害保険会社として世界トップクラスのネットワークを誇っている。

1.全域社員と地域社員

 同社の基幹系社員(正社員)は、国内外問わず異動の可能性がある「全域社員」と、原則して転居を伴う異動の可能性がない「地域社員」に分かれる。「地域社員(エリアコース)」は導入当初はその1区分のみであったが、一定地域内で転居を伴う転勤の可能性がある「地域社員(ワイドエリアコース)」が2019年4月に新設され、地域社員は、コースを選択できるようになった。

基幹系社員の区分



※基幹系社員以外の社員区分には、損害調査業務を専門におこなうアジャスター社員や有期雇用のスタッフ社員などがある。

2.勤務地限定正社員制度について

(1) 地域社員(ワイドエリアコース)について

① 導入のきっかけ

 もともとは、国内外問わず異動のある全域社員と、転居を伴う異動がない地域社員の2区分のみであったが、地域社員であっても、本人の同意を前提に2年間限定で転居を伴う異動ができる制度(=ブロック内転居・転勤制度)を利用し、ある一定の範囲内で転居を伴う異動をしながら働くことで自らのキャリアを積むことはできた。
 2019年4月に、ブロック内転居転勤制度に代わる、「地域社員(ワイドエリアコース)」の区分を制度化した。背景としては、さまざまな地域や部門で新たに経験を積み、さらなるキャリアアップをめざしたいと考える地域社員が増えており、キャリアアップの機会を提供するという観点からである。また、ブロック内転居・転勤制度のように、社員と個別に相談し同意を得て異動先を決定するよりも、地域社員(ワイドエリアコース)を選択した社員に対しては、決められたエリアの中であれば異動を命じることができ、個別に調整する必要がなくなるという人事運用上の必要性と、地域社員(エリアコース)のみの設定では、人が集まる地域ではよいが、そうでない地域での採用が難しいといった課題解決の観点もある。

基幹系社員区分の変遷



※「総合職」、「一般職」の社員区分はそれぞれ「全域社員」、「地域社員」の前身である

② 特徴

 日本全国を10エリア(北海道、東北、首都圏、関東甲信越、中部、北陸、関西、中国、四国、九州)に分け、本拠地が含まれるエリア内+本拠地と隣接している都道府県のどこかに異動する。
 例えば、本拠地が青森であれば、異動範囲は東北エリア及び北海道ということになる。
 また、地域社員(ワイドエリアコース)を選択した社員は、エリア内での異動が発令されれば3年間はその異動先で勤務するが、その後は再び別の場所へ異動というわけではなく、本拠地の戻っての勤務となる。そしてまた異動の発令が出れば、3年間異動先で勤務しまた本拠地に戻るといった流れとなる。

③ 業務内容について

 同社の地域限定正社員制度の特徴として、全域社員も地域社員も担う業務が同じであるということである。

④ コース区分の転換について

 地域社員の中の、エリアコースとワイドエリアコース間で転換することは緩やかに認めている。これは、地域社員(ワイドエリアコース)を選択すると二度と地域社員(エリアコース)に戻れないということになると、エリアコースの社員がワイドエリアコースを選択しなくなってしまうことを防ぐためである。
 エリアコースとワイドエリアコース間の転換は、秋に社内通達を出し、希望者は年1回(4月1日付)でコース区分が転換となる。エリアコースからワイドエリアコースは転換の要件はない。但し、ワイドエリアコースからエリアコースについては、ライフイベント(育児・介護等)による事由が伴うことを要件としている。
 実際には、2019年4月に地域社員(ワイドエリアコース)を新設してから、110人が地域社員(エリアコース)から地域社員(ワイドエリアコース)に転換した。
 一方で、全域社員は転居を伴う異動がある前提で入社しているため、全域社員から地域社員への転換は原則として行わない。但し、やむを得ない理由(親の介護をしなければならないが本人以外に看る人がいない等)の場合は、全域社員から地域社員への転換を認めるケースもある。

 逆に、「地域社員」から「全域社員」への転換については、年1回希望者が書類選考、面接、小論文により、合格した場合に社員区分転換が可能となる。なお、転換試験の対象者に要件等は設けていない。

社員区分の転換ルール


⑤ 処遇

 全域社員は転居を伴う異動に伴う経済的負担があるため、入社時点で地域社員(エリアコース)より賃金を高く設定している。地域社員(ワイドエリアコース)では、転居を伴う異動の可能性があるため、実際異動をしていない、本拠地で勤務している期間については基本給に5%加算しており、実際に異動をすれば20%加算している。またその際は、帰省のための交通費を年12回支給するなど、支援施策も整えている。
 その他勤務時間、等級制度や昇給・昇格、福利厚生の条件はどのコース区分でも同じである。

図表5 各社員区分の処遇



3.制度導入のメリットや効果

 地域社員(ワイドエリアコース)を設け、実際にコース転換する社員も増えていくことで、さまざまな地域や部門で新たに経験を積み、さらなるキャリアアップをめざしたいという、社員のステップアップの意識が向上している。また、ワイドエリアコースは決められたエリアの中での異動が前提となるコースのため、会社としても円滑に異動運用ができるようになった。

4.他の「多様な働き方」制度

 ・MSクラウドソーシング(育児休業中の社員が育児等の合間を有効活用し、自宅で臨時就業できる) 等

5.今後の課題

 新たな土地で経験を積んで活躍する社員の好事例を増やし、より多くの社員がワイドエリアコースを選択するよう促進していきたいと考えている。
 社員それぞれが、キャリアアップの意識を高く持ち様々な経験をしていってほしいと考えている。