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事例83 サミット株式会社

事例83

サミット株式会社
・近隣店舗に限定して働ける仕組みとして「地域限定正社員」を導入し、より多くの人が安定・継続的な働き方ができるよう支援

会社設立年 1963年
本社所在地 168-8686 東京都杉並区永福三丁目57番地14号
業種 食品スーパーマーケット及びその他生活関連商品の小売チェーン
正社員数 2,426名(男性1,893名、女性533名)(2019年7月15日現在)
非正規雇用労働者数 パート社員:9,982名(男性1,614名、女性8,368名)(同上)
※週契約労働時間20時間未満、20時間以上、シニアを含む
資本金 39億2,000億円
売上高 2,729億75百万円(2019年3月末現在)

PDFデータ

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現在の従業員数



1963年 米国セーフウェイ社と住友商事株式会社が提携し「株式会社京浜商会」創立
1967年 「株式会社サミットストア」創立
1988年 「株式会社サミット」に社名変更

 同社は首都圏でスーパーマーケットを運営し、東京・埼玉・神奈川・千葉に全115店舗を展開している。「サミットが日本のスーパーマーケットを楽しくする」を事業ビジョンに掲げ、業界をリードする会社を目指している。
 事業ビジョンを実現するため、「①自ら考えて行動している」、「②チャレンジすることが奨励され、やりがいがある」、「③社員同士一体感があって働いていて楽しい」、「④働いた分報われる(公正な処遇)」の4つの視点を掲げている。目指す姿、状態を実現し、“サミットの社員であることの誇り”を一層高めることが求められている。



1.社員体系の全体像

 同社では、2008年と2018年に社員区分の再編を行っている。2008年には、「社員の能力、ライフステージに適した働き方を可能とする」という方針を掲げ、雇用契約期間の有無を問わず活躍できるよう人事制度の整備が進められ、さらに2018年の社員区分の再編では、地域限定正社員制度を導入するとともに、全体的な制度改定を行った。

社員区分の変遷



※エキスパート社員:正社員の定年後の再雇用者(上限65歳)

2.地域限定正社員制度について

(1)導入のきっかけ

 同社では従業員の約75%を契約社員とパートタイム社員、アルバイト社員が占めており、雇用の安定・継続は重要な経営課題の1つであった。少子高齢化や就労人口の減少などが原因となり人材の確保が難しい状況の中で、より多くの人に応募してもらい、また、できるだけ長く働いてもらうには処遇面での魅力を高める必要があるのではないかと考えた。
 その課題解決の一つとして、多様で柔軟な働き方を整備するため、2018年の社員区分再編の際に勤務地限定正社員が制度化された。
 なお、同社は首都圏のみで展開しており、異動があったとしても転居は伴わないのが現状であるため、地域限定正社員に転換しなくても異動に転居を伴うことはないのだが、社員から「介護があるのでできるだけ近い店舗に勤務したい」といった声があがりはじめたのも制度導入のきっかけとなった。

(2)特徴

 導入当初の勤務地限定正社員制度は、キャリア社員(2018年度の社員区分再編以前の契約社員)や、継続的に働いているパートタイム社員、アルバイト社員の定着率の向上や処遇改善を主な目的として導入されたものである。
 正社員がすべての店舗に異動の可能性がある(最大90分程度の通勤時間となる)のに対し、地域限定正社員の異動範囲は通勤60分程度で通勤可能な近隣5店舗に限定される。
 なお、本制度は役職者も利用することが可能である。

社員区分ごとの特徴



(3)導入における工夫点

① 設計時の工夫

 同社では、労使が参加する人事制度検討委員会を定期的に運営しており、そこでは労使一体となって課題を共有し、社員の声をできるだけ吸い上げるよう努めている。地域限定正社員制度も、本委員会での協議を重ね導入された。

② 社員区分の転換

 パートタイム社員、アルバイト社員から正社員への転換は、毎月申請の機会がある。正社員に転換する際に、正社員か地域限定正社員かを選択することができる。逆に、正社員が地域限定正社員に転換したり、地域限定正社員がパートタイム社員やアルバイト社員に転換することもできる。例えば介護等の理由で勤務地を限定したい場合、正社員から一度地域限定正社員に転換し、また戻ることも可能である。また、入社時から地域限定正社員を選択することもできる。近年は通年で採用を行っているが、入社時から地域限定正社員を選択する人も増えている。
 嘱託社員やシニアパート社員といった形態も含め、16~75歳まで、あらゆる年代の人々が個々人のライフスタイルにあわせて勤務形態を選択できることを目指しているのが制度全体の特徴で、「随時、柔軟」に転換することができるよう運用されている。

社員区分の転換


③ 処遇

 地域限定正社員には、基本給(年齢給、職能給)、賞与ともに正社員の賃金テーブルの80%の額が支給される。他の手当や年金制度(確定拠出年金)は正社員と同じ支給基準である。
 正社員も地域限定正社員も、その等級に応じて期待される役割が決められており、共通の基準で昇格する。地域限定正社員に昇格の上限はない。

3.他の「多様な働き方」制度

・再雇用制度(育児や介護等、様々な理由で一度退職した人を、再度雇用する)
・短時間勤務制度(介護や育児での利用を認める。一日5時間以上勤務できれば、1時間単位で労働時間を短縮できる。育児の場合、子どもが小学校3年生の修了まで取得可能。介護では制度に定めた3年間の期間に加え、最長1年まで取得可能)

4.取組の効果と今後の課題

① 取組の効果

 地域限定正社員へ転換したパートタイム社員や、地域限定正社員に応募してくる人が一定数出ており、人材の確保という点で効果が出始めていると感じる。また、制度を導入する前は運用のみで実施してきた人事異動が、制度化されることで明確な運用ができるようになった点もメリットとなった。

※2017年度は元キャリア社員の転換人数/ ※2019年度は7月15日現在の人数

② 今後の課題

 採用の面では一定の効果は出た。次は定着率が課題となる。より柔軟な働き方を促進することによって、正社員の入社3年以内の離職率を減少させることを目標としている。
 また、今後は、多様な働き方へのニーズがますます高まると思われるので、きめ細やかな制度運用を行っていきたい。また,海外からの留学生の正社員化についても今後は対応していきたい。

5.活躍する従業員の声

ベーカリー部門チーフ 長嶋 香織さん

年代 40代 性別 女性
勤続年数 17年
2003年よりパートタイム社員として勤務。「地域限定(店舗限定)社員」を経て2013年に正社員となった。現在、ベーカリー部門チーフを務める。

◆住まいに近い店舗のパートタイム社員を経て、地域限定社員として勤務

 以前百貨店に勤務していて、その後、家族の介護等で数年間は家庭に入っていた。子どもが幼稚園に通うようになり、空いた時間でできるパートタイムの仕事を探し、同社に入社した。勤務日数、勤務時間は、週4日、5時間勤務であった。
 当時は子供が小さかったため、通勤時間がかからないよう地元の東浦和店で勤務していた。
 その後、勤務日数・時間を週5日、7時間勤務に増やし、さらにキャリア社員(契約社員、週40時間勤務)を経て、2009年に「地域限定(店舗限定)社員」(当時は有期雇用の契約社員)となった。
 パートタイム社員からキャリア社員となった時には、「会社に認められた」というような自覚を持った。また、地域限定(店舗限定)社員に転換したが、正社員よりも通勤時間が短く、体力的な負担が少ないことや、家事などの時間を確保できること、子供の急病などに対応できることなど、さまざまなメリットがある。近隣に頼ることができる親族がいないため、いざというときに柔軟に対応できる環境であることも、地域限定正社員に転換した理由の1つである。

◆地域限定社員から正社員へ。さらなるキャリアアップを目指す

 2013年に正社員に転換した。この頃には子供も高校生になっていたので、働く時間の制約は少なくなっていた。
 正社員転換に伴い他店への異動を命じられた。現在は、北区にある王子桜田通り店でベーカリー部門チーフを務めている。部下は正社員1名、パート・アルバイト27名で、人材育成、店舗運営、収支責任を担う立場となった。
 現在、店長を目指して奮闘中である。自分は正社員となったことでさらにチャレンジできることとなり、非常に充実した日々を送っている。
 自分が地域限定(店舗限定)社員として勤務していた頃は有期雇用で、昇格してもチーフ止まりだったが、現在の制度(2018年改定)では、地域限定正社員は無期雇用で、店長にもなることができるようになった。パートタイム社員などで、これからさらなるステップアップを目指すような人にとって、地域限定正社員制度により、いっそう働きやすい環境が整備されたと実感している。