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事例86 東京海上日動火災保険株式会社

事例86

東京海上日動火災保険株式会社
・原則として転居を伴う異動がない「エリアコース」のオプションとして一定の範囲内での転居を伴う異動が可能となる「エリアコース(ワイド型)」を制度化

会社設立年 1879年8月
本社所在地 東京都千代田区丸の内1丁目2番1号
業種 金融業・保険業
社員数 17,674名(男性8,086名、女性9,588名(2019年3月末現在)
資本金 1,019億円
売上高 2兆1,666億円(2019年3月末現在)

PDFデータ

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*1 ワイドエリアとは、一定エリア内での転居を伴う転勤がある区分
*2 エリアとは、転居を伴う転勤がない区分

1879年 日本初の保険会社として「東京海上保険会社」創立
1914年 自動車保険の営業認可を日本で初めて取得し販売開始
1944年 「東京海上」「明治火災」「三菱海上」の3社合併により「東京海上火災保険株式会社」設立
1996年 「東京海上日動あんしん生命保険株式会社」設立
2002年 国内初の上場保険持株会社「ミレアホールディングス(現東京海上ホールディングス)」設立
2004年 「東京海上日動火災保険株式会社」誕生

 2019年3月末時点では東京海上日動の国内ネットワークとして、営業部・支店が127カ所、営業室・課・支社が377カ所、22事務所、損害サービス拠点が240カ所となる。
 東京海上グループは、東京海上ホールディングスと、世界に展開するグループ会社により構成されており、東京海上日動を中心とする国内損害保険事業をはじめとし、国内生命保険事業、海外保険事業、金融・一般事業を広く展開している。
 同社は、国内損害保険業界のリーディングカンパニーとして活動を続け、今年、創業140周年となる。お客様に‟あんしん”をお届けし、選ばれ、成長し続ける会社「100年後も良い会社“Good Company”」を目指し、挑戦を続けている。

1.リーダークラスと担当者クラス

 同社の社員区分は「従業員」と「従業員以外」のカテゴリーに分かれており、そのうち従業員については、リーダークラス、担当者クラスに区分している。

※ 従業員以外の社員区分には、特定社員、特命社員、シニア社員、サポート社員がある。

2.勤務地限定制度

(1) 勤務地限定制度

 制度の呼称は異なるが、リーダークラス、担当者クラスそれぞれにおいて勤務地限定制度を設けている。

① 転居を伴う異動のない勤務地限定制度

 リーダークラスでは「エリア型」、担当者クラスでは「エリアコース」と呼ばれる。
 どちらの制度も、社員本人の同意なく転居を伴う異動をさせることはなく、一定の勤務地域において経験を重ねていくコースとなっている。

※ は、コース間の転換可能性を表している。
※ リーダークラスにおける「グローバル型」、担当者クラスにおける「グローバルコース」は、国内外を問わず異動の可能性があるコースである。

② 一定の範囲内で転居を伴う異動がある勤務地限定制度

 リーダークラスでは「ワイドエリア型」、担当者クラスでは「エリアコース(ワイド型)」と呼ばれる。
 担当者クラスにおける「エリアコース」は、もともと本拠地からの転居を伴う異動がないことを前提としているが、オプションとして「エリアコース(ワイド型)」制度を設け、本人の発意により一定のエリア内での転居を伴う異動を選択できるようにすることで、社員の経験・成長の機会の提供や、多様な働き方の実現につなげている。


(3) 担当者クラスにおける「エリアコース(ワイド型)」について

① 導入のきっかけ

 この制度を設けるまでは、転居を伴う異動をしながら早期のキャリアアップを目指す「全国型」と、転居を伴う異動がなく一般職に近い事務職を中心に行う「地域型」に勤務地区分が分かれていた。
 しかし、制度改定により、現在の「グローバルコース」「エリアコース」に再編成するにあたり、「エリアコース」従業員についても、本人の発意により一定のエリア内での転居を伴う異動を選択できるようにすることで、社員の経験・成長の機会の提供や、多様な働き方の実現につなげていくことが、ひいては会社の成長につながると考え、「エリアコース(ワイド型)」制度を導入した。
 異動先の選択肢が増えることで、新たな役割やより大きな役割にチャレンジできるなど、「成長・経験の機会」を拡充することでキャリアアップを後押し、ライフイベント等に応じて転居転勤のないエリアコースを再選択できる制度の必要性を考えたためである。

② 特徴

 「エリアコース(ワイド型)」は、全国を7ブロックに分け、社員は、それぞれのエリア内で転居を伴う異動をすることが可能となっている。
 また、社員の個々の事情に応じて「エリアコース」と「エリアコース(ワイド型)」を回数の制限なく選択・転換できる制度となっており、「ワイド型」を選択するかどうか、年に1回希望の有無を選択することができる。
 例えば、「エリアコース」を選択していた社員が「エリアコース(ワイド型)」に転換した後、再び転居ができない状況となった場合には、「エリアコース」に戻ることができる。

「エリアコース(ワイド型)」の勤務エリアの区分


③ 導入における工夫点

 導入当初の「エリアコース(ワイド型)」は、入社2年目から選択できる制度としており、転居を伴う異動は最短3年目から実現する制度としていたが、入社後一定期間が経過すると、ライフイベント等により本拠地以外での勤務が難しくなり制度を選択することが難しくなることから、より早い段階で選択できるようにすることを望む声などが寄せられた。
 これを踏まえ、制度導入から3年経過した2019年4月からは、入社当初から「エリアコース(ワイド型)」を選択できるようにしたことに加え、転居を伴う異動が実現した際に支給する付加給を拡充したことにより、改定前は200名程度であった「エリアコース(ワイド型)」の社員が400名弱にまでに増えている。

④ 処遇

 等級制度や昇給・昇格、各種手当、福利厚生の条件は全コース共通であるが、転居を伴う異動のあるグローバルコース・エリアコース(ワイド型)については、所定の手当(付加給)が支給される。

担当者クラスの各コースの処遇




3.他の「多様な働き方」制度

 ・JOBリクエスト制度(自らの適性を生かして、これまでとは異なる新たな役割等にチャレンジできる応募型の制度。)
 ・マイセレクト制度(時差出勤)
 ・企画業務型裁量労働制(働く時間を社員の裁量で決める) 等



4.今後の課題

 昨今、共働きや、育児・介護等の生活上の様々な事情を抱える社員が増えているが、こうした社員の力を最大限に引き出していくためにも、引き続き勤務地や勤務時間を選択できる柔軟な働き方を提供していくとともに、社員が自発的に色々なことにチャレンジができるような環境をさらに整えていくことで、本人の成長と、会社の成長につなげていきたいと考える。
 「多様な働き方」推進は、個々人にとっての柔軟な働き方とやりがいを向上させるとともに、社員一人ひとりの成長、ひいては会社の成長を実現していく取り組みといえる。今後も意欲的に活用する人が一層増えていくように、各種制度の理解浸透を図るとともに、年間を通じた人材育成やキャリア構築支援の仕組みも連動させながら、きめ細かい制度運用を推進していきたい。



5.活躍する従業員の声

人事企画部 課長代理 Y さん

年代 40代 性別 女性
勤続年数 20年
一般職となる「地域型」として入社ののち、制度改定以降は、「エリアコース」従業員として、自身のキャリアビジョンに応じたキャリアアップとやライフスタイルと両立させている。

◆ライフスタイルを考慮し「エリアコース」を選択

 「一般職(地域型)」は、職位の上限があったが、制度改正により上限がなくなったため、付与される役割やチャレンジできる仕事の範囲も広がったと感じる。また、「エリアコース」では、転居を伴う転勤はないが、転居を伴わない異動はあるため、新たな場所で活躍することも可能であると感じた。
 自分のライフイベントなどに合わせて、「エリアコース」と「エリアコースのワイド型」を行き来することもできるので、「子育てが始まってしばらく動きたくないため、「エリアコース」にする」等、そのような選択肢も選ぶことができる。また、「独身の間や、子供の手が離れたら転勤したい」という希望も叶えることができるため、「自分がその時にどうしたいか」というのを考えて、チャレンジして行けば良いと思う。
 周りにいる「エリアコース(ワイド型)」を選択し利用している人も、「しばらくはワイド型で頑張りたいが、次のライフイベントがあったらエリアコースに戻りたい」と言っている。
 また、「エリアコース」の人が「エリアコース(ワイド型)」となり、再び「エリアコース」に戻ってきたときに、以前より成長していることがわかる。
 臆さずにチャレンジすることで、自分にも周りの人にもメリットがある制度であると思う。

◆社員区分に関わらない成長の機会の創出

 転居を伴う異動ができなくても、他のコースから異動して来る人と働くことができたり、その人の経験を生で聞くことができたりと、交流の幅が狭まるわけではない。
 「エリアコース」と「エリアコース(ワイド型)」は同じコースであるが、やはり「グローバルコース」で全国転勤をしているような人と私とは違う」と思ってしまうような人も、「エリアコース(ワイド型)」の人の声だと身近に聞けたり、それを参考に「こうしたいな」と自分のキャリアプランを改めて考えたりするようなので、「エリアコース(ワイド型)」の存在は「エリアコース」の人にとっても、メリットは大きいと思う。
 また、制度ができる前までは、必ず全国型の男性が担っていた役割を「エリアコース」の人が行うようになり、「エリアコース」の業務範囲も実際に広がっていると感じる。