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  • 正社員への転換 ~多様な正社員へ~
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  • 勤務時間を限定した正社員

事例91 社会福祉法人太樹会 和里(にこり)

事例91

社会福祉法人太樹会 和里(にこり)
・社員の要望に応え勤務時間限定正社員制度の導入を実現するとともに、キャリアアップを希望する社員への手厚い支援を行っている

会社設立年 2006年
本社所在地 〒635-0075 奈良県大和高田市野口325番3
業種 医療、福祉
正社員数 103名(男性38名、女性65名)
非正規雇用労働者数 97名(男性20名 女性77名)
【2020年8月現在】

PDFデータ

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社員数


沿革

2006年 社会福祉法人 太樹会 設立
2007年 和里(にこり) 開所
2007年 デイサービスセンター和里(にこり) 開所
2007年 ケアプランセンター 開設
2012年 和里(にこり)南館40床増床
2012年 和里(にこり)香芝 開所
2012年 デイサービスセンター和里(にこり)香芝 開所
2012年 小規模型デイサービスセンター和里(にこり)香芝 開所
2014年 和里(にこり)香芝Ⅱ 開所

 当法人は、奈良県大和高田市に位置し、利用者に「にっこり」と利用してもらうことを目指して特別養護老人ホーム、ショートステイ、デイサービス、居宅介護支援を運営する施設である。
 「和里(にこり)」という施設名には、「和を持って尊(たっと)しとなす」の言葉どおり、聖徳太子ゆかりの斑鳩の里で「にこにこ」と老後を過ごしていただきたいという思いが込められている

1.社員体系

 当社の社員体系は、大きく正社員と非正規雇用労働者に分かれている。さらに非正規雇用労働者は契約社員とパートタイマー社員に分かれており、それぞれ無期雇用の社員と有期雇用の社員がいる。(「付表1 社員体系」参照)
 契約社員とパートタイマーの違いは夜勤の有無であり、契約社員には夜勤があるが、 パートタイマーに夜勤はない。
 基本的な職務内容は全社員同じであるが、正社員は、介護福祉士の資格を保有している社員あるいは資格はないが実務経験が豊富な社員であり、それ以外の社員は非正規雇用労働者に位置づけられる。

付表1 社員体系


※契約社員の勤務時間はフルタイムであり、正社員と同じようにシフトにより勤務する。 
※無期パートタイマー社員は、勤務時間限定正社員と比較してケース担当やインシデント・アクシデント対応等において一定の義務が免除される。また、勤務時間限定正社員は勤務時間のパターンが3通りに定められているが、無期パートタイマー社員は本人の希望する勤務時間で雇用契約を結んでいる。

2.「多様な正社員」制度について

 同施設では、2019年より勤務時間限定正社員制度を導入している。

(1) 制度の概要

 当施設の勤務時間限定正社員は、以下の3パターンのうち、夜勤も含め、ライフスタイルに応じた勤務時間を選択することができる。

 ① 1日7時間で週5日勤務

 ② 1日6時間で週5日勤務

 ③ 1日8時間で週4日勤務(短日勤務)

 制度を利用できる期間に上限はなく、制度を利用するに当たって理由は問わない。
なお、勤務時間限定正社員の採用はしていない。

(2)制度導入のきっかけ

 人材確保は、当施設に限らず福祉業界全体にとって喫緊の課題である。
  離職を防ぎ、長く働き続けてもらうためには、社員がどのような働き方を望んでいるのか知る必要があると考え、座談会やアンケートなどを実施し、社員の働き方に対する希望を調査することにした。
 アンケートの結果、子育て中の社員から、子どもの保育園や学校等への送り迎えをしながら残業や夜勤に対応することは難しいという意見が多数出た。
 また、育児のみでなく、将来的には介護の問題も出てくるということを考慮すると、仕事と育児、介護を両立しながらキャリアアップを図れる制度を導入する必要が明らかとなり、勤務時間限定正社員制度の導入を検討することとなった。

(3)正社員と勤務時間限定正社員との処遇の違いや昇進について

 正社員と勤務時間限定正社員の処遇を比較すると、「付表2 正社員と勤務時間限定正社員の処遇」のとおりとなる。昇進の上限はないため、仕事と育児、介護を両立しながら勤務時間限定正社員としてキャリアアップを図ることができる。

付表2 正社員と勤務時間限定正社員の処遇

(※1) 例えば、算定期間に遅刻、早退、欠勤がなければ出勤率は100%となる。
(※2) 人事考課により決定される掛け率。
(※3) 介護職員処遇改善加算が交付された場合に限り支給する手当。

(4)雇用管理区分転換ルール

 正社員が勤務時間限定正社員に転換するためには、直近の人事考課(成果や意欲、態度等により評価)がS、A、B、C、DのうちB(与えられた等級基準を満たしており、良好)評価以上であることが必要であり、これは正社員から転換する場合も非正規雇用労働者から転換する場合にも共通の要件となる。
 非正規雇用労働者が勤務時間限定正社員への転換を希望する場合には、上記に加え、契約社員またはパートタイマー社員として6か月以上勤務していること(雇用契約期間の有無は問わない)、あるいは厚生労働省が実施する有期実習型訓練(正社員転換を目的に行う訓練)の修了者であることが必要である。
 反対に、勤務時間限定正社員が正社員に転換を希望する場合には、上記に加え、勤務時間や勤務日に制約がないこと、時期、部署、職種の異動にも制約がないことが条件となる。
 雇用管理区分の転換を希望する社員は、随時申し出ることができ、申出の後、所属長からの推薦を受けて和里と香芝それぞれの施設長の面接試験に合格する必要がある。
 合格した者は、賃金締切日の翌日から勤務時間限定正社員として勤務することとなる。

※勤務時間限定正社員から非正規雇用労働者からの転換については試験等は実施しない。
※希望者が複数の場合は人事評価の結果が高い社員が優先される。

(5)制度導入における課題と工夫点

 制度の導入に当たっては、給与計算等の労務管理が煩雑になること等の理由から、理事長の理解を得ることが最大の課題であった。
 理事長に勤務時間限定正社員制導入のメリットを理解してもらうため、時間をかけて説明し、制度導入にこぎつけた。さらに、理事長への説明に当たっては、様々な同業福祉施設の取組をリサーチし、関連するセミナーに参加するなどして制度導入のメリット等、情報収集を行った。
 当施設では、以前より経営陣との密なコミュニケーションに努めており、社員からの要望や人事労務に関することは随時経営陣に共有するようにしている。

(6)取組の結果について

 現在、2名が勤務時間限定正社員制度を利用しているが、家庭と仕事の両立に努め充実した毎日を送っている。この2人の働き方を見て今後、制度利用者が増えることが予想される。
 応募者数の変化は精査していないが、労働者向けの見学会などで勤務時間限定正社員制度について説明すると好意的な受け止めをされるため、今後、応募者数の増加に期待している。

(7)今後の課題

 勤務時間限定正社員制度の導入により雇用管理は煩雑になるなど大変な面もあるが、施設側が社員に対して思いやりを持つことが制度を持続させる秘訣である。また、制度を利用している社員は、労働時間は短いとしても、適切に業務を遂行するとともに、終業時に必要な引継ぎをしっかり行うことが重要である。
 そして、よりよい組織を作るためには、管理職や人事労務担当者が労務管理について学び、労使間の調整役となることが必要であると考えている。
 さらに、当施設では現在、同一労働同一賃金に向けた給与規定の見直しや、在宅ワークやオンライン研修の導入も検討している。

3.他の「多様な働き方」制度について

 ・法を上回る育児と仕事の両立支援

 育児休業は子どもが3歳まで、育児のための短時間勤務制度と所定外労働の免除は、6歳までの法定を上回る制度としている。

4.活躍する社員へのインタビュー

 育児のために勤務時間限定正社員制度を利用している社員に話を聞いた。


デイサービス 鎌田 薫さん
Q.
制度を利用したきっかけは何ですか。
A.
非正規雇用労働者として勤務していた時、人事異動でデイサービスセンター配属となり、支援職へ職種変更しました。 その後、介護福祉士の資格を取得し、正社員になりたいと思ったことがきっかけで、勤務時間限定正社員に転換しました。
当時は、まだ子供が小さかったのですが、キャリアアップしたいという気持ちが強かったので介護福祉士の資格に挑戦しました。
資格取得にかかる費用は会社の研修支援等貸付金制度を利用したので、経済的な問題はありませんでした。
Q.
制度を利用したことによるメリットを教えてください。
A.
勤務時間限定正社員に転換したことで、自分自身のやりがいに繋がったことと、資格手当が加算され所得が上がったことです。
また、子育て中なので学校、習い事などの送迎に大変助かっております。
Q.
制度について要望はありますか。
A.
現在の勤務時間限定正社員制度では、3通りの勤務時間から選択して働くことができますが、よりたくさんの選択肢があれば利用したいと思います。