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事例92 株式会社日本レーザー

事例92

株式会社日本レーザー
・勤務時間限定正社員制度を軸とした、一人一勤務形態ともいえる多様な働き方を認めることで、人を大切にしながら利益を上げる経営を実現した

会社設立年 1968年
本社所在地 〒162-0051 東京都新宿区西早稲田2丁目14番1号
業種 卸売業
正社員数 49名(男性34名、女性15名)
非正規雇用労働者数 10名(男性5名、女性5名) 
資本金 3,000万円
売上高 48億円(2020年)
【2020年12月現在】

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社員数


沿革

1968年 レーザーの輸入販売商社として、日本電子株式会社の全額出資により設立
1983年 コムテックトレーディング株式会社と合併
1995年 本社を港区芝浦から新宿区西早稲田へ移転
2011年 第1回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞、中小企業庁長官賞受賞
2012年 第10回東京商工会議所「勇気ある経営」大賞、大賞受賞
2013年 経済産業省 「ダイバーシティ経営企業100選」全国43社に入選、受賞
2013年 経済産業省 「おもてなし経営企業選」全国50社に入選、受賞
2013年 東京都 「平成25年度東京ワークライフバランス認定企業 – 多様な勤務形態導入部門」に選定
2013年 経済産業省 「がんばる中小企業・小規模事業者300社」に選定
2015年 厚生労働省 「キャリア支援企業表彰」受賞
2016年 日本能率協会 2015年度KAIKA賞 受賞
2017年 ホワイト企業大賞委員会「第3回ホワイト企業大賞」を受賞
2018年 新宿区「ワーク・ライフ・バランス アイディア賞」を受賞

 加速度的に進む少子高齢化と、人生100年時代の到来を考えると、これからの会社の存在意義は、これまでのように労働の対価としての金銭報酬を支払う場というだけではなく、働くことで得られる、「やりがい、成長する喜び、自己実現」を提供する場へと変化していく。それに応えるべく当社では、「生涯雇用」を掲げ、その一環として独自の働き方を導入している

1.社員体系

 当社の社員体系は、大きく正社員と非正規雇用労働者に分かれている。(付表1「社員体系」参照)
 当社では、嘱託雇用契約社員、再雇用社員、再々雇用社員、再々々雇用社員も正社員として活躍しており、65歳までは無条件で再雇用される。
 当社の正社員は、TOEICで500点以上取っている必要があるが、それ以外の60歳までの社員は、嘱託雇用契約社員となる。
 正社員と嘱託雇用契約社員は、雇用管理区分の転換をすることなく短時間勤務を選択することができるが、再雇用社員等その他の正社員は、全員短時間勤務となっている。

付表1 社員体系



2.「多様な正社員」制度について

 当社では、社員一人ひとりの働き方に合わせた形で勤務時間限定正社員制度を導入している

(1) 制度の概要

 当社の勤務時間限定正社員制度は、始業・就業時刻や週の労働日数を月に120時間~144時間の中で任意に設定することが可能となっている。
 育児や介護、疾病等の理由を問わず制度の利用が可能である。また、制度の利用期間に制限はないため、本人が希望すれば正社員のままで短時間勤務を続けることが可能となっている。

(2)制度導入のきっかけ

 当社では、「生涯雇用」の考えから、「人を大切にして利益を上げる経営」が時代の要請であるとの認識のもと、会社の制度に社員を当てはめるのではなく子育てや介護、病気、高齢など、様々な事情があっても社員が働き続けられるようにと勤務時間限定正社員制度を導入した。制度導入後も、社員一人ひとりの働き方に合わせて柔軟に働けるよう、勤務時間のバリエーションを増やしていった。

(3)正社員と勤務時間限定正社員との処遇の違いや昇進について

 正社員も勤務時間限定正社員も同じ給与・賞与規定に基づき、労働時間で按分した額を支給している。(付表2「正社員と勤務時間限定正社員の待遇の違いについて」参照)

 他にも役割手当、基礎能力手当、営業手当、技術サービス手当、秘密保持手当、特殊勤務手当、通勤手当、調整手当、前払い退職手当等があるが、すべての待遇について、フルタイムの正社員と勤務時間限定正社員とで同じ支給基準で支給している。
 昇格・昇進については、労働時間によって上限が設定されることはない。

付表2 正社員と勤務時間限定正社員の待遇の違いについて

(4)雇用管理区分転換ルール

 正社員から勤務時間限定正社員、勤務時間限定正社員から正社員への転換については、理由を問わず可能である。転換を希望する社員は、転換を希望する日の1か月前までに申請をすれば、雇用管理区分間の転換をすることができる。
 パート社員から正社員または勤務時間限定正社員へ転換を希望する場合には、TOEICで500点以上取ることが条件である。

(5)制度導入における課題と工夫点

 ①ダブルアサインメントとマルチタスクの導入

 勤務時間限定正社員が増えることによる人手不足を解消するために雇用を増やしても、人件費の適正さが保てなくなる恐れがある。そこで、通常は1人で担当する業務に対し2人を配置する、ダブルアサインメントを採用した。
 同時に、1人が複数の専門分野を受けもつマルチタスクの採用により、担当の社員がいなくても他の社員が代わってその業務を遂行できるような体制を整えた。営業、技術、事務のすべての職種でダブルアサインメントとマルチタスクを採用している。

 ②社員の意識改革

 社員に成長意欲や利他・貢献の意識がなければ、ダブルアサインメントやマルチタスクの実現は困難である。利他の心や貢献の意識が全社員に浸透するよう、当社では定期的に「会長塾」を開催し、会長自らが理念教育を行っている。
 会長塾以外にも、全社員が集まる「全社会議」、課長以上が自部門や会社の課題について議論する「幹部会議」、社長や役員が問題提起をし、その課題を現場に落とし込む「グループ会議」、それらの会議を踏まえて部長以上で意思決定を行う「経営推進会議」を行っている。
 また、週に1回、「気づき」と「感謝」をメールで上司や役員に送る「今週の気づき&今週の感謝メール」や社内報などを利用して、理念の浸透に努めている。
 これらの取組によって、勤務時間限定正社員も気持ちよく仕事ができる環境づくりに取り組んでいる。

(6)取組の結果について

 10年以上、離職者がいない。
 また、社員が柔軟に働き続けられる環境を整備するとともに、社員同士が利他・貢献の気持ちを持って働けるようマインドセットをすることによって、在宅勤務を中心とした体制への移行など、企業に大きな変化がある時にも企業全体で一体感を持ち、混乱なくスムーズな対応ができたと考えている。これは、企業理念が全体に浸透し、構築された社員同士の信頼関係が大きく貢献したものと自負している。

(7)今後の課題

 当社では、「人を大切にしながら利益を上げる経営」こそが未来への重要な指針であると考え、「一人一勤務形態」の多様な働き方を実現しているが、社員一人ひとりの働き方のニーズに応えていくことは、同時に人事労務担当者の負担の増加につながってしまうため、どのように解決していくかがこれからの課題であると考えている。
 永続的な課題としては、社員の幸福度の向上へ貢献し続けることであると考えている。

3.他の「多様な働き方」制度について

 ・在宅勤務体制

 当社では、全社員在宅勤務が可能な体制を確立している。ただし、商品の現物を扱う必要のあるパート社員については出勤が不可避であるため、パート社員の出勤に合わせ担当正社員が交替で週に一両日出社することで対応している。

 ・学習への援助

 社員が仕事を続ける限りは成長し続けてもらう必要があるため、売上の1%は教育に投資すると決め、社員1人につき年間50万円程度を教育費に当てることとしている。社員は、その費用をTOEICの受験や書籍購入、経営者大学への通学(1年間)、海外出張研修等に充てることができる。